【感想】「10年後の仕事図鑑」

落合陽一氏と堀江貴文氏の共著です。テーマは「目まぐるしく変わる世界であなたはどう生きるか?」です。この本の議論はこれからの働き方が科学技術によって大きく変わるということを再度確認した後、これからの角度から職業や業界を見た場合、どうなるのか?という議論へ進みます。そして、その社会でどう立ち回るべきなのか?という話に移ります。

あまりにもブログ等でレビュー等されすぎている本なので、本稿では個人的に印象に残ったものを取り上げていきます。

生まれる職業・伸びる職業

◎観光業
 デービット・アトキンソンが著した『新観光立国論』という本にもあるように、今観光業はとても注目されています。ホリエモンと落合さんは”現地に行かないとできないこと、つまり希少性の高い体験を商品にすることが求められると説いています。たとえば、日本酒で有名な京都府の灘。日本史の教科書にも江戸時代からの日本酒の主要醸造地として書かれています。日本の食文化は世界遺産にも登録されるほど注目を集めています。観光で大切な要素の一つに「食事」があります。そこで、灘で日本酒を実際にお米から一から作ることのできるアクテビティなどを売り出していけば、「やりたい!」と思う外国人は一定数要るのではないかと思います。
 現代の消費の傾向として「コト消費」や「ヒト消費」が見られます。高度経済成長期などに3C と唱えられ、給料を稼ぎ、モノを買うというのが美徳とされていた時代がありました。しかし、消費に精神的な満足を得たいと考える人も増えているように感じます。ディズニーランドの入園料が高くても行こうとする人々はそこで売っている食べ物やお土産が欲しくて行っているという人もいるでしょう。しかし、「ディズニーランドで過ごす夢のような時間」にお金を払っている人が半数以上なのではないのでしょうか。
講談社の現代ビジネスにこれと関連する記事がありました。鈴木貴博氏が書いているこの記事です。「○○県の××市でしかできない体験」というのをどう差別化していくのか課題になってくるでしょう。

”新しいことに興味を失えば10代でも老人”

これはChapter5のホリエモンのパートで出てくる言葉です。今の義務教育制度は同学年同士で進級していくことになっています。これだと、同年代の人とずっと生活していくことになります。すると、だんだん人間関係や思考が固定化されていき、「自分自身を変革しよう!」という柔軟性が無くなっていってしまうことがあると。思えば、普段大学で仲の良い友人とずっと過ごしていると、なんとなく「新しいことを始めよう」みたいな気持ちが生まれにくくなってしまうことはよくあると思います。。今まで通り仲良くすることは重要ですが、今まで通りの関係にプラスしてあんまり仲良くすることがないような層のひととも仲良くなってみると、新しい気付きがあるのかもしれません。

「遊ぶ」「働く」「学ぶ」をサイクルさせる

 普段の生活の中でこの3つをサイクルさせることが重要だそうです。普通、「遊ぶ」というのは働くことや学ぶことと大きく違っているように見えますが、労働がロボットに代替されていく中で、人間に最後生み出せる価値は「遊ぶ」ということになるそうです。実際、既存団体などの規制なども多い日本で、そんなに簡単に従来の労働がロボットに取って代わられるかは疑問の余地がありますが…
 しかし、金銭的価値を生むかどうかは別にして、例えばギターを練習(遊ぶ)して、それをYoutubeなどに投稿すれば報酬がもらえる仕組みにはなっています(働く)。その動画などで得た感想を普段の練習に生かす(学ぶ)ことができれば、楽器演奏が趣味であり、仕事であり、学びにもなるわけです。現代は個人で発信できるプラットフォームに恵まれています。このnoteもその一つだと思います。
 実際やってみると、スキルを習得するための「没頭」段階が一番難しいです。「ほかにするべきことがあるのではないか?」などど気が散ったりしてしまい、いかに目の前のことに集中することが難しいかを痛感します。特に趣味の場合、いかに損得勘定の気持ちを最大限抑えて打ち込めるか?というのは自分にとって永遠の加太になりそうです。
 『多動力』も参考にし、私が考えた最上のサイクルとしては、まず①情報収集と②興味を持つことです。「これ面白そうかもしれない」くらいの軽いノリが大切だともいます。興味を持ってマジックなどの入門書などを買って読んだとします。ただし、あんまり興味のわかない時もあると思います。その時は「メルカリに出品しよう」くらいの気持ちで。とにかくハードルを下げることが重要です。つぎに③没頭です。もちろん、これは一日の自分のできる範囲の時間と能力で最大限没頭するのがベストです。最初から一日没頭できるものを探す方が無理だと思うので。やってみてちょっとでも「楽しい」と思えたなら、さらに④やってみて浮かんだ疑問を人に聞いたりネット検索したり、微調整したりしてまた没頭する。あんまり楽しくなかったら、④打ち捨てて次のものを探す。そして①と②に戻る。没頭したものが⑤飽きたら、これもまた①と②に戻る。こうして、没頭できた結果として得たスキルを組み合わせて新たな価値を生み出していく。この過程や結果を何らかの方法で発信していければ、自分を応援してくれる人も増える、というからくりです。

モチベーションを価値に消化するためには?


最後のChapterで落合氏は
・論理力
・言語能力
・思考体力
・専門性
・グローバル的視座
・経済、金融的視座
が必要だと言います。この中でも、思考体力と論理力は特に身に着けるべきだと思います。論理的にプロセスを考え、集中することは様々なことに応用できます。ピアノをやる際に、まず手をほぐし、現状の自分のレベルを把握し、練習する。手順を考えたり、現状把握をしたりなど、論理的に施行するスキルは大切です。

自分にとってこの本は仕事に対する本というよりも、普段に生活について考えるためのものだったと思います。そして、「やる」ということの大切さを考えさせられました。



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