SEKIRO各エンディング感想

今更ですが、難易度の高さにぶん投げていたSEKIROをようやく全エンディング見れたので考察にもならない感想を。

当然ですがネタバレです。またこれを見る方はすでにある程度SEKIROをプレイしていると思うので用語の解説などは省きます。

・不死断ち

おそらくは多くの人が初見で見ることになるであろうエンディング。

・内容
 九郎様の願い通り、桜竜の涙を飲ませて不死斬りにて介錯。
 人として死なせてあげる、という内容。
 通常の手段ではいかなる傷もたちどころに治り死ねない竜胤の御子。
 おそらくは病の類でも死ねないと思う。(もっとも、先代の御子・丈は竜咳で弱っていたとされているわけだが……まぁ竜咳で死んだとは言明されていないし、竜咳は通常の病とはまた異なるので。あくまで通常の病では、という意味。)
 その御子を死なせること=不死を断つという構成。
 また竜胤があることでこれを巡った争いが起きたり(実際に弦一郎、梟がそれぞれ思惑あって動いていた)、人の有り様を歪める(九郎談)ため、それを元から断つという意味合いもあるだろう。

・解決したこと
 不死断ちEDで解決したことは、現時代で唯一の竜胤の御子=九郎様を介錯することで葦名における竜胤の騒動を終わらせたこと。
 太文字の部分の理由については次ぎの解決していないことで説明する。
 また、間接的というかその過程でたまたまこなしたにすぎないが、梟の野望も打ち砕いたことにはなる。

・解決していないこと
 まずは元凶である桜竜
 倒して拝涙はしたものの、明確に桜竜を滅ぼしたという表現はない
 倒した際の表記も忍殺ではなく拝涙だし、桜竜が消える表現もなかったのでおそらく桜竜自体はまだ健在と思われる。
 涙を求める者が真っ赤な刀担いで現れるたびに涙腺斬られる桜竜たんカワイソス(

 そして桜竜が健在なので、当然竜胤の力そのものも健在である。
 あくまで現時代での御子を介錯したにすぎない。
 竜胤の御子が生まれる過程はわからないが、仙郷に桜竜がある限りいずれまた竜胤の御子は生まれるものと思われる。
 狼が救ったのは“九郎様”だけなのだ。

 また、エマの“九郎様と狼、どちらも救いたい”という願いも解決できなかったことになる。
 っていうか、この台詞自体が帰郷EDの存在をほのめかすギミックですよね。

・死んだ人(主要キャラ)
 このゲームでこれをカウントすること自体無意味かもしれませんが(
 一応、死んだ人間の違いから何か見えてこないかな…こないか…

 ・弦一郎
 ・一心
 ・梟
 ・九郎

 あとあくまでプレイヤーの任意になってしまうが、仏師殿とソコモトさんも一応死んでるか…ソコモトさんは主要じゃないけど(

・狼のその後
 
不死断ちルートではその後、狼さんが二代目仏師殿になって終わる。
 仏師殿を彷彿とさせる姿で仏を掘り続けるチワワ師殿にエマが忍び義手を差し出しながら「これはやはり貴方が持っているべきです。また新たな忍びが力を求めて現れる時のために」的なことを言う(台詞うろおぼえ)
 不穏オブ不穏である。
 というか、この終わり方がまさに竜胤の元凶は断たれていないよという根拠になる。
 ブラッドボーンのヤーナムの夜明けED、ダクソの火継ぎEDを彷彿とさせる。
 つまり、竜胤の元凶をなんとかしないかぎりいつまでも同じことが繰り返されるという暗示である。
 また狼さんが仏師殿を引き継いだということは、いずれ怨嗟の炎が狼さんに降り積もるということになる。
 ただしこれは怨嗟の鬼を討伐している場合であり、倒さずにクリアした世界線では…どうなるんだ…
 怨嗟の鬼は大手門で極鬼庭形部討滅戦として存在し続けるのか!?
 嫌だぞ現代までそんな体幹どころか絆までブレイクしそうなコンテンツ残り続けるの……
 そのあたりはまったく語られないので闇の中である。
狼さん「……わしの掘る仏様は、どうやったって九郎様顔になる」

・人返り

不死断ちの犠牲者が逆転したバージョン。

・内容
 エマと共に“九郎様を生かそうキャンペーン”を画策し、桜竜の涙常桜の花を飲ませた上で竜胤の持ち主を縛る最後の不死=狼さんが自刃することで、九郎様が人間になるという内容。
 狼さんの「最後の不死を、成敗いたす」という言葉がグッとくる。

・解決したこと
 九郎様の決意には背く形にはなるものの、自身の「為すべきことを、為す」を貫き、九郎様を人間に返した
 なおこの構図は一世代前に丈と巴の構図と重なっている。
 丈と巴も、赤の不死斬りこそ手に入れれなかったものの巴が黒の不死斬りで自刃することで幕を閉じている。
 その結果、黒の不死斬りの力、“開門”で生まれたのが九郎様ではないかと思われる。
 梟の野望も打ち砕かれている。というか、どのルートでも梟さんの野望は叶わないんですけどね(

・解決していないこと
 やはり元凶(桜竜)の件が未解決となる。
 九郎様から竜胤の力を消すことはできたが、おそらくいずれまた竜胤の御子が生まれるのではないだろうか。
 エマの“どっちも助けたい”という願いも叶えられていない。
 怨嗟の件はこちらでもプレイヤー次第である。
 というか、狼さんが極鬼庭形部討滅戦をコンプリートしているのならその怨嗟を引き継いだ狼さんが自刃しているので、その場合は怨嗟の降り積もる先がなくなっているわけだが……それがどうなるか、コレガワカラナイ。

・死んだ人
 ・弦一郎
 ・一心
 ・梟
 ・狼

 九郎様が狼にすげ替わっただけですね。

・九郎様のその後
 狼さんがその身で示したくれた「為すべきことを、為す」を胸にどこかへ旅立つ
 きっと本人が言った通り、「人として生き、人として死ぬ」ことができたことでしょう。
 ……海外のゲームだったらもうすでに竜胤の力を失っていることを知らない勢力に付けねらわれる続編とか出そうですが(
 さて気になるのはこのルートの場合、二振りの不死斬りの行方
 狼さんの墓前には楔丸しか供えられていないように見えた。
 まぁ、あんなやべぇ刀を野党にでも拾われそうなところに放置していったりしないでしょうけど…
 旅立つ九郎様も帯刀してる様子はなかった
 となると、さすがにやばいブツなのでどこかに封印したのかもしれない。
 或いはエマ殿にしっかり管理してもらう方向で預けたのかもしれない。
 特にエマは修羅が現れたら斬るという修羅絶対斬り捨てるマンの誓いを持っているようなので、不死斬りは役立つかもしれないし。
 これも海外のゲームだと続編で騒動起こしそうですね(

 もう一つ細かいことだけど…九郎様が旅立った方向
 壊れてる橋の方に見えたんですけど……もう一度ムービー見てみないとなんとも言えませんが、橋が直されてる様子もなかったとように記憶しています…
 九郎様、どこへ……
 まぁ橋が直されていたのかもしれないし、橋の方ではなく抜け道のほうに戻ってから別の場所へ旅立ったのかもしれないし、単純に製作スタッフが行き止まりなのを忘れてただけかもしれませんね。

・竜の帰郷

多くの人が一番すっきりする形のエンディングではないでしょうか(グッドエンディングとは言ってない)

・内容
 九郎様、狼の二人が生存したまま竜の故郷である西へと旅立つ=桜竜を元の場所へ帰すことで竜胤の因果を終わらせるという内容。
 変若の御子が揺り篭化しており、九郎様に桜竜の涙氷涙を飲ませることが条件。
 その方法を教えてくれるのが人造御子であるお米ちゃんこと変若の御子
 その情報源は蟲が憑いて不死となったことで俺神様に認められたわ!と勘違いした仙峯上人率いる異端仏教仙峯寺勢ではあるが、仙峯寺(というか仙峯上人?)は仙郷、桜竜(と竜胤の御子)についてかなり調べまわっていたようなので葦名製の情報よりは確かだったと思われる。
 事実、変若の御子の“揺り篭化”は成功しているわけだし。
 変若の御子を“揺り篭”とすることで九郎様を取り込み、その状態ではるか西へ向かう、傍らには狼さん。というところで終わる。

・解決したこと
 竜胤を帰すことで九郎様も狼さんも生きたまま不死断ち、人返りを果たすので竜胤の騒動を根っこから解決できたのではないかと思う。
 もっとも、淀みの元凶である桜竜は仙郷に残ったままなのに竜胤を故郷に帰すと解決するの?と思うが、確かお米ちゃんが「竜胤を帰せば桜竜を帰したことになる」的なことを言っていた気がしないでもない(曖昧
 違ったかもしれない(
 が、話の流れ的にはそういう話だったはずである。
 もしそうなら、竜胤とはダクソでいうソウルみたいなもので、竜胤の御子は桜竜のソウルを持った人のことなのかもしれない。
 証拠はないので推察だが。
 一世代に竜胤の御子が一人しかいないのもそういうことなのでは?
 まぁ推察はおいておくが、“揺り篭”になるというのはどうやら運搬用の容器になるということのようで、エンディングムービーではお米ちゃんのお腹が若干ぽっこりしてるように見える……
 服装のせいかもしれないのでなんとも言えませんが。
 お米ちゃんから生まれられるならぼくも竜胤の御子になりたいですねぇ…(
 話がそれましたが、エマさんの“二人とも生かしたい”という願いも解決しています。

・解決していないこと
 怨嗟の件は相変わらず…怨嗟鬼を討伐したルートなら怨嗟の降り積もる先が、討伐していないルートなら怨嗟の鬼そのものが未解決ですね…
 もっとも、怨嗟の件はそもそも別件なので九郎様と狼の不死断ちの物語には関係はないわけですが…
 そうなると、怨嗟を抱えて九郎様内蔵お米ちゃんを守るのはちょっとしんどいので怨嗟の鬼は大手門に放っておくのがベストなのでしょうか…
 もともと怨嗟の鬼の発端はともかく、怨嗟自体は惨たらしい戦を続けてる日の本の責任なわけですし…
 あと、地味に黒の不死斬りの処遇についても語られていません。
 エマさんが厳重に管理してくれていると信じたい(

・死んだ人
 ・弦一郎
 ・一心
 ・梟

 さて、“揺り篭”となった者がその役目を終えたとき、どうなるんでしょうね……“揺り篭化”した時点でお米ちゃんは視力を失っているわけですが…
 まぁ長い旅になるだろうし、お米ちゃんもそのようなことを言ってたはずなので、目的を果たす頃にはお米ちゃんも狼さんもかなりのお歳になってる可能性もありますが。
 そのうえで目的を果たして死ぬのであれば、まぁ…大往生ですかね。
 とりあえず現状では、竜胤の力を利用しようとした(+その気はなかったが孫の願いなので最後の戦いに挑んだ)者たちだけが命を落としたという内容ですね。

・その後の人々
 九郎様内蔵お米ちゃん、狼さんは西へ。
 遥か西と漠然と言われてるけど結局どこやねん(
 まぁ設定的にインドあたりかなとは思います。仏教的に
 欧州まで西ではないと思う。
 中国だと…さすがに「遥か西」というほどの距離でもないような…
 桜と竜って言えば中国な気もしますが。
 エマさんは一切わかりません。
 正直、二人とも生かしたいと最初に口にしてくれたのに、お米ちゃんからその方法を教えてもらえたよ報告しようとしたのに追加台詞すらなく誠に遺憾です(
 他のEDではほぼ空気で不死斬りくれる人だけのポジションだったお米ちゃんが重要ポジションとして物語に関わってくれたのに、エマさんが絡まないのは悲しいゾ……
 まぁさすがに一心戦後に九郎様がどうなったかを報告もせずに旅立てないとは思うので、きっと戦いのあとにエマさんに話したとは思いますが。
 
 九郎様が揺り篭の中にはいる、という超絶曖昧で姿形も見えないままのエンディングなので九郎様ファンには受け入れがたい人もいるでしょうけど、竜胤の騒動と九郎様と狼さんの物語の決着としてはこれが一番問題解決を果たしていると思います。
 丈と巴が果たせなかったことでもありますし。
 原理的にも前述のソウル方式なら納得もいきます。

 まぁどのEDが最適解なのかは見た人に委ねられている、そういう作り方がフロム作品ですけどね。

・修羅

・内容
 忍びの掟に従い、主を捨てる。
 梟の曰く「謀よ」に乗ったかのように見えて……
 実は来るもの全てを斬り伏せる修羅となっていた。
 という内容。

・解決したこと
 何にも解決していませんね…?
 唯一、黒の不死斬りの処遇については解決(?)しています。
 狼さんの手の中。
 
赤・黒両方を手中に。
 不死を殺し、人を黄泉返らせる。
 もっとも修羅に堕ちた狼さんがその用途で使うようには思えませんが。
 ただこの修羅に至る過程の心理描写がないので、何故御子を捨てた瞬間に修羅に堕ちたのかが想像つかないのです。
 或いは、エマ・一心と斬り、梟を斬ったときに堕ちたのでしょうか。
 もっと前から堕ちていたのでしょうか。
 黒の不死斬りを拾い上げたときの狼さんは何を考えていたのだろう……

 あ、あと一応梟の野望も潰えてたか(

・解決していないこと
 もちろん竜胤もろもろ未解決ですね。
 仏師殿と怨嗟も未解決です。
 怨嗟は…修羅狼さんが引き受けることになったのかもしれませんが。
 最後に「長く鬼が住むことになった」って言われてますし。
 とある考察者さんの動画でも、黒の不死斬りを拾い上げる瞬間にカメラフォーカスが狼さんの左手に、そして炎が巻き上がると解説されていたのであれがまさに怨嗟を引き受けた瞬間なのでしょう。
 引き受けたっていうよりは、自分のものにしたって感じのほうがしっくり来るかな?

・死んだ人
 ・エマ
 ・一心
 ・梟

 何気の修羅ルートだと弦一郎帰還前なので生存しています。
 弦ちゃんなら帰還後修羅の一件を知って修羅狼さん倒しに行きそうですが。(そして敗れるんだろうし)
 九郎様もその後どうなったかはわかりません。
 修羅狼さんが九郎様をどうするかもちょっとわからないかな……忠誠は捨てたから生かす理由はないけど、殺す理由もないので。
 ただあの責任感の強い九郎様が修羅堕ちした狼さんをそのまま野放しにするとも思えませんし、弦一郎か仏師殿か…誰かと組んで止めようとする可能性はありますね…
 どの道、きっと誰にも狼さんは止められなかったのでしょう。
 「長く鬼が住んだ」ので。

・その後の狼さん
 どのくらい「鬼」として住んだのでしょうね。
 そもそも竜胤の力で死なない狼さん。
 誰にも止められないのであれば、ずっと先の時代でも生きているのでは…
 もしくは後の時代に修羅を斬れる者が現れたのでしょうか…
 全エンディング中、一番その後が闇の中です。

・まとめ

 私が好きなのはやはり竜の帰郷ですが、どれが好みか、どれを正史と捉えるかはプレイヤー次第ですね。

 なお修羅以外のエンディングでは、九郎様に桜竜の涙(+α)を飲ませたときの反応がそれぞれ若干違っているように見えたのですが、気のせいでしょうか?(飲ませるときの素材エフェクトはそれぞれ違っていた)

 桜竜の涙のみ→「ううっ…!」と苦しそうに呻く
 桜竜の涙+常桜の花→上記のよりやや短めに「うっ…うう…」と呻く
 桜竜の涙+氷涙→「う…ううん…」と上記二つよりもやや安らかな感じ

 もう一回見比べないと断言はできませんが…どうなんでしょ。
 涙のみの時はまさに今からお前を殺す。って時ですし、+常桜の時は自爆するしかねぇ(カッ カッ)って時で、+氷涙の時は今から揺り篭にお入りくださいって時。
 もし反応が違うなら、芸が細かいですね…

 しかしこうしてまとめて見ると、SEKIROは主軸となる桜竜+竜胤+九郎様+狼の物語と、黒の不死斬り+怨嗟+猩猩(仏師)+エマの物語がそれぞれ因果関係をもっていて、それらが葦名+弦一郎+一心という舞台の上で起きていたんだなぁと思います。
 なかなかに面白いゲームでした。
 お米は、大事。

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