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イギリス企業でテレワーク(もラクばかりではない)

私はコロナ前からフリーランスとして働いています。在宅でする仕事もあれば、必要があればクライアント企業のオフィスで仕事したりしていました。クライアントは主に英国企業です。

コロナによるロックダウンで、依頼される仕事は全てリモートで行う事になりました。(イギリスでは2020年3月から規制が厳しくなったり緩くなったりを繰り返しましたが、ロックダウン下では在宅ワークが不可能な職種以外は家でする事が義務付けられています。)

リモートワーク大賛成の私でしたが幾つかの仕事をした後、在宅も良い事ばかりでもないなと感じられたので忘れないうちに書いておこうと思います。また一言で「テレワーク」と言っても企業によって在宅バンザイ!となる会社もあれば、こんなんなら出社した方がいいかも…と感じる会社もあり、当然ながら違いがみられました。以下に3社の例をご紹介します。

1.英系コンサル大手A社

この会社では以前、オフィスで仕事したことがありました。セキュリティ(クライアントの情報を守る)のため、自分のパソコンの使用は認められていません。仕事開始日の朝9時にロンドン都心のオフィスまでラップトップを受け取りに行くことになりました。近代的でピカピカのオフィスビルのロビーでラップトップを受け取ると、帰宅途中に担当者から、家について用意ができたら連絡してほしいとメッセージが入ります。

予め用意されたアウトルックのアカウントのセットアップを済ませ、担当者にコンタクトしました。担当者(このプロジェクトの上司)はイタリア人男性。とても良い人そうで一安心。メールが主でしたが、何回かZoomミーティングもしました。

ラップトップのテクニカルな問題があるときは、IT担当の方が対応してくれました。驚いたのは、IT関係にしろ、仕事上の事にしろ、何か質問すると秒速で回答が来ます。良い事なのでしょうが逆に言えば、自分も瞬時返信が期待されているという事なのでちょっとプレッシャーを感じます。オフィスワークではメールの返事がしばらく来なくても、ミーティング中や食事中かも、と普通思ってもらえますが、在宅では勤務時間中はパソコンの前に座っているのが前提なので返事が遅れる=サボっている認定されるのかも?と勝手に妙な圧力を感じます。コミュニケーションはもちろん英語なので、どういう言い回しをしようか…なんて考える余裕もないくらい。この点はリモートワークならではのプレッシャーでした。コロナ前に日常的に顔を見合わせて仕事していた気心の知れている同僚同士であればもっとリラックスした関係かもしれないのですが。まあ他の人同士も秒速返信だったので、その様な会社カルチャーなのでしょう。日本でも最近、メールに即返信が仕事のできる証的な風潮があるみたいですね。まあそうかもしれないのですが、昔の牧歌的な仕事の仕方がちょっと懐かしくなります。←(こんな事言ったら仕事できないおばさん認定間違いなし。)

担当者は良い人だったのですが、仕事が計画通りのスケジュールで進まなかった時「今朝、何してたの?」とちょっとイラつき気味に言われてしまったことがありました。この国で、例えばフリーランスのプラマーに水道管修理を依頼すると通常1時間幾らのチャージなので、わざと仕事を遅くしてお金を稼ごうとする人も珍しくないのです。まさかその手の人間と思われたかな?とちょっと衝撃でした。オフィスで一緒に働けば、やはり人間性というものは分かるものだし、そのようなセコイ怪しまれ方をした事は無いのですが、お互い顔の見えない相手に信用されるというのは難しいものだなあと実感しました。リモートワーク大好き派の私でしたが、顔を付き合わせ、同じ場を共有しながら働く事の良さも再認識した経験でした。

それでも、仕事終了の直後に夕食の支度を始められるのは、なんだかワープ(死語?)した気分になり大変な時間の節約です。ただオンとオフを切り替えづらい側面もあります。仕事帰りにちょっとお店に寄ったり、地下鉄の中で他の人達を見たりするのもとても重要な社会参加だったのかなぁとも思いました。

ラップトップのピックアップと返却はちょっと面倒でしたが、そのおかげでロックダウン中のロンドン中心部(第二次ロックダウンの街の写真https://note.com/cuppa88/n/n2ed4f98e376e は主にその時に撮りました)の様子を見る事が出来たので結果的に良かったです。

2. 英系法律系 B社

リーガル系会社の仕事も何度か頼まれました。ここもやはりセキュリティの関係上、自分のパソコンの使用はできません。しかしA社と違い、配達会社によってラップトップが自宅へ配送されました。

ラップトップが届いたら、まずはセキュリティのためのセットアップ。事前にセットアップの方法が記されたメールが送られていて、それに従って進めて行くのですが、パスワード入力の画面がでたので指定されたパスワードを入力するも通らない。マニュアルを良く読むとパスワードを入力する場所を私が間違えていたのですが、英語で書かれている複数のマニュアルを読みながらなので、その後もいろいろと引っかかってなかなかスムーズに進みません。しかもセキュリティが二重三重になっているので、1つクリアしたらまた次のタスクに挑戦と言った調子です。立ち往生すると、その度担当者に連絡したり、IT担当者に繋がれたり。正直セットアップだけで、どっと疲れました。

私がとろいのか、もっと若い人やITに強い人ならもっと問題なく早くできるのかはわかりませんが、後から気づくとセットアップだけで3時間以上も費やしているではありませんか。我ながらショック。再びできない人認定されたかもしれません(私ならする 笑) まあ、一度覚えれば2回目からは初期セットアップも30分以内で行えるようになりましたが。

本来の仕事よりもセットアップでほぼ労力を使い果たした感じでしたが担当者(イギリス人男性)はとても丁寧で感じの良い人でした。途中、電話で話したり、オンラインミーティングもしましたが、コンタクトは主にメールかTeamsでのチャット。イギリス人と仕事をして感じるのですが、常にThank youと仕事に対して感謝の気持ちを表してくれること、仕事を指示する側と受ける側の違いはあれ、(少なくとも表面上は)フラットでフレンドリーに接してくれることを感じます。また、インド人の同僚にインドからサポートしてもらったり、時差を気にしながらでしたが世界中と繋がりながら作業をし、まさにオンラインで仕事をする利点を感じました。

ちなみに、ある程度大きな会社で働く度に思うのですが、皆、言葉遣いが綺麗で、私が普段、地元で接している人達の英語と正直違います。つい癖でカジュアルな話し方をしそうのになるのですが、場によって話し言葉も書き言葉も気を付けないといけないなあと思いました。(日本でも勿論そういう事はありますが、イギリスの方が顕著と言うか、差が激しい!)

一番驚いたのが、一日の最後に、何時から何時まで、何のプロジェクトの、何の仕事をしたかを、細かくフォームに記入して報告しなければなかった事です。(フォームももちろんオンライン上)プロジェクトや、作業の種類にひとつひとつコードがあり、それを間違えないように記録していくのも神経を使います。私が外部のコントラクターなのでこれを提出するのか、コロナによってテレワークとなった社員も要求されるのか分かりませんが、ちょっと細かすぎ…。分刻みで監視されているようで、オフィスで仕事をしている時の方がむしろのんびり、牧歌的に働ける気がしました。おばさん再び、遠い昔を懐かしみます。

3.英系コンサル 中小C社

コンサル会社と言ってもA社よりは規模の小さいC社。自分のパソコンが使用可でした。やはり使い慣れているPCだとサクサクやりやすい。上記2社と比べると、全体的にザックリした感じでした。 

上司はケンブリッジ大卒のイギリス人女性。はじめに「どこのタイムゾーンにいるの?」と聞かれたのでGMTと答えました。なるほど当たり前だけどイギリスにある会社だからといって働く人がイギリスにいなければならない必要ないのだなあと、改めてリモートワークの利点を実感。ちなみに彼女は北京にステイしていたそう。2週間位のプロジェクトでしたが、おおまかに、こんなスケジュールで、というだけで細かい仕事の進め方や外部とのやり取りの計画は私に任せてもらえました。

私からは一応、一日の最後に進捗状況などの報告メールを入れましたが、時差もあり彼女からは2日に1回戻ってくるペース。結果を出せばよいというスタンスだったので、好きな時間に散歩や家事もでき、上記2社の様な在宅ならではのプレッシャーは感じませんでした。この会社が一番在宅ワークのメリットを感じられ、仕事がしやすかったです。

4. 余談

イギリスの宅配は(人にもよると思いますが)とてもいい加減な事が多く、指定時間に来なかったり、ブザーも鳴らさず勝手に他の場所に届けられたり(!)する事が多々あります。B社のラップトップの配達も「〇日の9amから6pmの間に配達します」という、お得意の素晴らしいピンポイントぶり(涙)。指定された日に届かずに翌日朝に届いたこともありました。ロックダウンなのだから家にいるとはいえ、高価なものだし受け取るまでは落ち着かず、これだけで一日無駄に過ごした気分になります。ある時はブザーが鳴ったので玄関のドアを開けると、外にラップトップの入った袋が放置されていました……。配達人の姿は既に見えず。万が一、私が外出していたりしたら盗まれるかもしれないのに。プロジェクト終了後のラップトップのピックアップもやはり家で待たなくてはならず、一日無駄にし(以下略)

まあ、出社する事を思えば家で待ってるだけなので文句言う筋合いでもないのですが、イギリスの配達会社のサービスはもう少し向上してもらえたらと切に願います。

こんな風に書くと売れっ子フリーランスの様ですが、実は12月から1月にかけては仕事が一件も来ていません。この後どうなるんでしょうねえ。

最後まで読んでくださってありがとうございます!サポートしていただいたら、イギリスでは滅多に食べられない美味しい日本食を食べに行きます!