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いの話/そんなに簡単にやられない

 一日が終わりを告げた。

 男の子は、一人で窓際の席に座って、頬杖をついて、ヨーロッパ風の窓から外をぼんやりと眺めている。外は広い自然に溢れた緑の庭である。その堂々たる庭の果ては、限りなく澄んだ夕方の空だ。

 いま、一つの長くて白い航跡雲が、そのゴールドとムラサキが混じり合った空を伸び伸びと渡っている。
 その濁りのない夕暮れ空を横切って、ただ一つだけの細長い雲は、まるで男の子の胸中で、ただ一つの願い:家に帰りたがる。

 この男の子は深山矢部礼。二週間前、彼は七歳の誕生日を迎えたばかり。そして、誕生日が過ぎた一週間後、彼の見知らぬ父親が、彼をこのあまり知られていない寄宿学校へ送ってきた。

 このクリサリスと呼ばれる学校は、太平洋のとある島に設けられた。この島は、経緯度がいいので、一年中で春のごとく温かい。
 それにしても、この常に晴れ渡っている島に住んでいる矢部礼が、その帰りたい思いのせいで、彼の心の曇りは晴れることなく、一週間が過ぎた
 「この学校を離れたい!この島から出て行きたい!」と、彼が心の中に叫び続けている。

 「おい!クロゲ!今日の掃除当番は、お前だよ!」
 何か嫌なものを呼んでいるような口調は、矢部礼を現実に戻らせた。
彼は、現実に戻っていたけど、現実に繋がれない。

 一週間だけに英語を習っている矢部礼は、まだペラペラになれない。

 クリサリスは、彼にスクールメイトとしてある生徒を手配していたが、やっぱり身近に連れている通訳員じゃない。時々、自分が頑張るべき場合もある。
 そう言っても、一週間で学ぶことができるのは、「こんにちは」とか「ありがとう」とか、こんな一般的な単語、あるいは日常でよく使う言い回しだけだ。

 悪漢のような人に会ったら、どうすればいいのか、常に誰も教えてくれない。

 「聞こえないの?聞き取れないの?返事してよ!このバカクロゲ!」
 今、矢部礼を不快にさせた口調で、悪漢のような男の子は、さらに挑発的な態度で悪口を言った。
 クロゲはどういう意味か、矢部礼はまだわからない。でも、その意地悪な表情で大きな声の言い方では、ほとんど良くないことを表す。

 現在はクリサリスの放課後の自由時間。
 晩ご飯まで、まだ三十分。誰もいない教室に、ただこの悪漢ガキと矢部礼だけだ。

 矢部礼は自分の席から立って、悪漢ガキへ歩き行っている。同時に、黒板の隣の掲示板をちらりと見て、「Today duty : Cruise and Katie」

「教えてください」と、滑らかでない口調で英語で言った。
「クロゲはどういう意味ですか?ちなみに、俺はクルーズじゃない!」
 矢部礼も悪漢ガキに大声で問って、反論した。

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近く図書館に行って、私を探せ~♫

この世界の中で、君は、どんなライフスタイルに憧れる?
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あの不思議の国の中で、「私を飲んで」という紙が貼られてしまった奴です。
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