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道具で愉しむ、ひとりごはん


家族というものは
年を経るごとにかたちを変えていくもので。
今年娘が社会に出てからは、
ことに一人で食事をすることが増えましたが、
一番大きく心に残る変化は、
やはり7年前の、息子の独立のときだったかもしれません。

部屋が決まって、息子とふたり、
うちにある器や鍋類、生活用品を車に積み
何もない空っぽの部屋へ車で向かい、
洗濯機に冷蔵庫、電気に水道、
不自由ながらもひと通り揃ったのを見届けて
良かったなぁ…と思いつつ、家に戻りました。

出て行ったあとは、仕事も忙しかったし、
きっとひと息つけるだろうという予想に反し
なかなかこのほっとひと息に、慣れて行きませんでした。
やはり家族がこのうちから引越し、独立するということは
思いのほか大きな出来事だったのだと思います。

その後数日、
この予想外の著しい変化に慣れず茫然と過ごしたあと、
しばらくしてふと見渡すと…

食器棚にもシンク下にも
運んだ荷物の分の隙間があちこちにできていて。

なんとなく気まぐれに
せっかくのありがたいスペース、
新しい暮らしに合わせて、並べ替えてみようと、腰を上げてみたら、
不思議と、今まで奥のほうにしまっていた、おひとりさま好適品?が
俄然、光を放って見えてきました。

小さなすり鉢、ココット、ミルクパン、鉄の小さなフライパン(スキレット)、ミニおろし金、鍋焼きうどん用の小さな土鍋、小さなホットプレートなど。

道具から入って少しずつ始まった、おひとりさま体験。
それがじわじわと楽しみになり、今に至ります。

誰の好みも考えず、
仕上がりを待つ者のために急ぐこともなく、
ときに手を抜き、またときにゆっくりと
わがままなごはん作りを面白がるようになりました。



小さいホットプレートは朝に夕に大活躍。

パンに霧をふいて蓋をしたら、チーズトーストもカリッとふわっと焼けました。


ごく小さなすり鉢は、一人分だけちょこっと作るたれ作りに便利です。

茹でて水にとったふきのとう2個分を刻み、みそと砂糖を合わせ、すり鉢のままレンジ加熱した、ちょこっと蕗味噌。
じゃがいもや、ちょっとくせのあるチーズと合わせたり。

チアシードといりごまを半ずりにし、ぽん酢でのばし、10分ほど置いてトロリと食べ頃になってから、まぐろと生海苔のしゃぶ鍋に添えたり。

スキレットは器に盛り変えず、いつもそのまま。
ネギだらけの小さなステーキと、その日に食べたい野菜を一緒に焼きます。
卓上にそのまま出せて、ミニサイズな道具たち。
小さい分、片付けも楽でまた嬉しいです♪

同じような理由で、一人の時使いやすいのが直火の器。スキレットより小さいものが多く、
オーブンでもレンジでもトースターでも使えます。


子供はいずれ離れていくもので、
こうなってみると、
可愛かった幼い頃も、
保育園や学校で起きたさまざまな事件も
会話もままならなかった反抗期の山のようなトラブルでさえも、
ひとつひとつが実は幸せとも言えるのだと思い出されます。

渦中にいる時はあんなに苦しかったのに
そんな日々が終わってみると、
ただ一緒に暮らせたことが宝物なのだと思うように。

そんなふうに、
いつか全てが思い出に変わるんだと実感し始めた立ち位置から、
(しかも間違いだらけの子育てをして来た身でありながら偉そうにと思いつつ、)
今まさにお子さんとあれこれぶつかったりイライラさせられたり、心配の尽きない日々を過ごされている方がいらしたら、
もう戻らない、一緒にいられる毎日をどうか大切に楽しんで、と声をかけたくなりました。

当時、寂しさから離れたい一心で
空いた息子の部屋を自分の仕事部屋に模様替えしましたが、
その後ステイホームのときを迎え、
リモートワークに適した場所にもなりました。

私も少しは子離れできているようです。


#note #料理 #おひとりさま  #ひとりご飯 #調理道具 #子離れ









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