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コロナ禍でさらに注目度の上がったヘルステック(デジタルヘルス)に関する最新動向を紹介!

近年、ヘルスケア領域でのデジタヘルスケアに最新テクノロジーを組み合わせた言葉、「HealthTech」という言葉も存在しますが、CES2022においては「デジタルヘルス」というカテゴリーで多くの企業が出展していました。具体的には、全体で2000社以上の出展がありましたが、そのうち417社、つまり1/5もの企業がデジタルヘルス企業として出展しており、その注目度の高さがうかがえます。

特に、コロナ禍においては、遠隔医療に関わる技術が急速に注目を浴びつつあります。日本においても、コロナ禍における医療逼迫が社会課題になっていることからも分かる通り、世界的にもいかにリモート環境下で治療を行うかに大きな注目が集まっているのです。 

ヘルスケア関連では近年、私たちの身近なものにおいてももう一つ注目されているテクノロジーがあります。

それは「睡眠」に関するテクノロジーです。二年前のCES2018において、初めて「SleepTech」のブースを設置されていることから分かる通り、睡眠改善に関する技術も大きな注目を集めています。

更にコロナ禍に入ってから、その社会情勢の不安やデジタル画面のモニター時間増加が睡眠の質の低下を招いており、その改善を促すサービスもCES2022においても数多くの製品が発表していました。

これら遠隔医療や睡眠に関する技術を中心に、最新製品の紹介からそこから見えてきたトレンドに関して紹介いたします。

遠隔医療

まずは遠隔医療に関するデジタルヘルス企業の主な取り組みに関してみていきましょう!

◆オムロン

オムロン社は、同社が世界で展開する遠隔医療サービス”VitalSight”の最新情報や、AIを活用した脳・心血管疾患の予兆検知に関する京都大学との共同研究について発表しました。

既に米国で高血圧患者向け遠隔モニタリングシステム”VitalSight”の提供が開始されており、約1年が経過した今、対象者の42%の血圧値が改善されたことが確認されています。

"VitalSight"では、患者が家庭で測定した血圧や体重データを医師と共有することができます。医師は専用の管理画面で、通院時以外の患者の状態を詳しく確認できます。さらに、患者の状態変化を知らせるアラート機能により、よりタイムリーな治療・診断につなげることができます。病院の電子カルテとの接続も可能です。

<使用イメージ>

①医師が「VitalSight」使用を指示、自宅にキットが届く
②セット内の通信ハブを自宅の電源に接続
③測定したバイタルデータは自動でプラットフォームへ転送され医師は遠隔でデータを確認

また、オムロン社は、心疾患の早期発見を目指し、家庭での心電図記録の普及に取り組んでいます。

高血圧患者の心房細動の早期発見のため、家庭用の心電計付き血圧計”Complete”を開発しました。本製品は、両手の指先で電極に触れるタイプの心電計と、カフを腕に巻く上腕式血圧計を一体化した機器です。機器で記録した心電図波形をスマートフォンアプリが分析し、正常か異常かのメッセージが表示されるので、患者自らが受診するきっかけにもつながります。将来的には、心電図をメールで医師に送信し診断を仰ぐといった、遠隔医療サービスでの活用にもチャレンジしています。

さらに、オムロン社は、AIを活用した予兆検知で、脳・心血管疾患の発症予防にも挑戦しています。

上記のような機器によって家庭で計測した血圧などのバイタルデータを、AI技術を使って健康管理に生かし、普段の生活の中で病気の発症を防ぐ取組みです。京都大学とタッグを組み、2021年6月1日に共同研究「健康医療AI講座」を設置し、ヘルスケアAIの開発をスタートしています。


◆LGエレクトロニクス

LGエレクトロニクス社は、北米で販売するスマートTVにシニア向けテレヘルスケアアプリ“Independa Health Hub”をプリインストールすることを発表しました。

テレビベースのソーシャルサービスを提供する米Independa社のアプリ「Independa Health Hub」は、LG TV上で様々な遠隔医療サービスを提供します。

直観的なインターフェースから、各医師を選択しリモートによる面談を行ったり、家族や友人、恋人とテレビ通話を行ったり、エクササイズビデオ、医療に関する教育コンテンツを視聴することが可能です。

さらに、通知はLGWebOSに統合されているため、テレビの番組やアプリに関係なく、視聴中に服薬のリマインダーが画面に表示されます。

このLGエレクトロニクス社の例からも分かる通り、従来のヘルステック企業以外においても遠隔医療に対するニーズが上がっていることが伺えます。リモート環境下での面談は、モニターからの画面が重要な情報となってくるため、その部分の企業からの医療展開も今後充分考えられるでしょう。


◆iMEDISYNC

韓国のソウルに本社を置くiMEDISYNC社が、脳波や心拍の測定が可能な帽子型デバイス”iSyncWave”を発表しました。

iMEDISYNC社によると、”iSyncWave”は、利用者の頭のサイズと形状に自動適合し、性別、年齢に関わらずデータを取得する、高品質のEEGセンサーを備えた革新的な脳スキャンデバイスです。

本製品は、AIディープラーニングアルゴリズムにより、EEG(脳波)とHRV(心拍数の変動)を分析、評価します。わずか10分で、従来の方法では検出できない複数の精神状態や脳の障害の初期兆候(アルツハイマー型認知症など)が分析されます。これは、EEGブレインマッピングとLEDセラピーを統合した技術によって行われます。

最近ソフトウェアアップグレードが追加され、FCC(米国連邦通信委員会)の承認により、EU、アジア、オーストラリアにおいて、iSyncWaveを研究と診断に使用できるようになっています。


SleepTech

続いては、SleepTechに関する技術動向ですが、その前にSleepTech市場のコロナ禍での動向を見てまいりましょう。

パンデミック以降、睡眠の質の低下が世界各国で課題となっています。その理由として主に上げられるのが、この先の見えない社会情勢に対する不安と、リモート環境下でデジタル画面を見る時間が増えたことにより、交感神経が活性化し、眠れないといった問題が発生しています。

更に、日本は世界の中でも最も大きな睡眠課題を抱えており、日々の睡眠に対して満足している人の割合は僅か29%と、世界で最も低い水準となっています。

また、世界に目を向けても、約7割の人々がパンデミック以降「新たな睡眠課題を抱えている」と回答しており、世界的に注目度が上がっている分野の一つとなっています。

以降、最新SleepTech製品の情報を紹介していきます!

◆COWAY

韓国の生活家電メーカーCOWAY社が、空気圧の変化を検知するスマートマットレス”Smart Care Air Mattress”(スマートケア エアマットレス)を公開しました。

市場の主流はスプリングマットレスである中、本製品は、COWAY社独自の特許技術である「エアセル」がエアポケット内に含まれており、利用者の体型と姿勢による空気圧の変化を検知します。

エアポケットは、体圧と睡眠を検出した後、空気圧を制御し、利用者に合わせてベッドの硬さを9段階で調整します。

また、IoT技術により他の家電製品と連動させ、最適な睡眠環境を作り出すスマートスリープソリューションも公開されました。

利用者がベッドに入ると、照明が消え、マットレスの硬さが調節されます。加えて、加湿器と空気清浄機は、熟睡に最適な空気環境を自動で作り出します。起床時には、利用者の動きを感知して、照明が自動点灯され、マットレスのリラックスウェイクアップモードが作動します。加湿器と空気清浄機も、起床時に合わせた空気状態に自動調整されます。


◆Anssil

韓国のスタートアップ企業Anssil社が、圧力センサーにより体重・体型の感知するスマートマットレス”Honoree”を発表し、「CES 2022 Innovation Award」を受賞しました。

Anssil社のスマートマットレス「Honoree」は、IoT技術により利用者の睡眠パターンを学習し、1,400万本のストリング(ひも)によって最高の睡眠状態を実現します。

体圧センサーにより、ユーザーの体型を認識し、リアルタイムで体圧を測定し、睡眠姿勢によって常に変化するマットレスとの圧力や接触面積の情報を取得します。

そして、取得したデータは睡眠パターンの解析に活用されます。それらの情報に基づき、各利用者のニーズに合わせて、マットレスの硬さ、湿度、温度をストリングサポーターが自動調節します。

まとめ

いかがだったでしょうか。

ご紹介しました通り、パンデミック以降ヘルスケアの最大の注目キーワードは「遠隔医療」です。「遠隔医療」は医者とのリモート面談などがイメージ付きやすいですが、それだけではありません。

日頃バイタルデータを取ることで、病気の予知や日常の健康アドバイスも可能となります。

そのためには、バイタルデータをいかに集めるかはもちろん、それらのAI分析やリアルタイム性、そしてそれら全体をシステムとしていかに統合していくかという観点も非常に重要となってきているのです。

今後はそこにロボット技術などもさらに発達すると、患者が病院に行かなくとも病気を全て治せてしまう、そんな未来も近いうちにやってくるかもしれませんね。

引用:キューブアンドカンパニー

また、日本は世界一の睡眠不足大国ともいわれています。人生の1/3を占める睡眠は、仕事やその他日常生活の質を向上させるために非常に重要な役割を担っています。これまでは、睡眠状態を測ることのみにとどまっていたマットレスも、今では寝ている人の状態に合わせて形状が変化したり、生活改善のアドバイスまでしくれたりするなど、テクノロジーの発達が留まることを知りません。

また事例を上げてみたところ、偶然にも韓国企業が非常に多くこのヘルスケア領域の製品を出展していることに気づかされました。世界的に注目度の高い領域に積極的に新製品を投入しそのイニシアチブを握ろうとする姿勢は、私たち日本企業も見習うところがあるかもしれません。

本記事で紹介したスマートマットレスのような効果な製品でなくとも、現在身の回りにはバイタルセンサーにあふれています。

いままで健康にあまり関心のなかった皆さんも、そういったデバイスを気軽に活用して、是非ご自身の健康改善に活かしてみてはいかがでしょうか!

そして次の記事は、ここ最近バズワード化している「メタバース」に関してです。「メタバース」とは何か?から最新の動向に至るまでCES2022で見えてきた現在地を紹介したいと思います!!