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カスタマーサクセスの赤本を読み直して、大切だと思った3つのポイント



はじめに

こんにちは。

インプットしたことへの解像度を高める為に、アウトプットもセットで行うべく、noteをやっていきたいと思います。(自己紹介はこちら↓です)

カスタマーサクセスを頑張っていきたいということで、昔読んだ「CSの赤本」と呼ばれているこちらの書籍について、改めて振り返っていきたいと思います。

最初に読んだ当時は「これからCSを立ち上げるぞー!」という状況でしたが、それ以降、2社でCS業務に従事する中で経験を積めたこともありますので、実体験も踏まえて、考察していきたいと思います。

まず、自分がこの書籍の中から大切だと思うポイントを3つ挙げるとするならば、下記の通りです。(長くなりそうなので、こちらのnoteではポイントのみ整理した上で、それぞれについては別のnoteにまとめていこうと思います)

大切だと思う3つのポイント

①プロダクトが活用されている = カスタマーサクセスではない

成功=カスタマーの事業へ実際にもたらされた成果・業績(生活者の場合は「生活上の成果」)

この定義で注意してほしいのは、「成功」はプロダクトが利用し尽くされているという事実でも、プロダクトがもたらす直接的な結果でもないという点だ。「成功」はカスタマーの事業が成長する(ないし生活がより良くなる)ことに直結する現実の成果を言う。

弘子ラザヴィ著『カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」』より

お客様は日々プロダクトにログインしているし、主要な機能も活用はされている。だけれども、ご担当者からは「上手く使いこなせていないんです…」と言われることは、よくあるのではないかと思います。

例えばSFAの場合、「使ってはいるんだけれど、あくまでゴールは営業部門の売上を増やすこと。今は顧客情報や商談情報の登録は出来ているけど、それを見て、でどうやって営業戦略を立てるの?という議論がうちは出来ていない。今こうなっていますはわかるんだけれど、未来に向けた行動計画を立てる力が、うちの営業にはないんですよね…。」みたいな状況によく陥ると思います。

一方で、経費精算ツールのような、シンプルにオペレーションを実行することが目的のプロダクトであれば、「経費精算を行う個人のスキルを高める」というような話にはならないはずなので、必ずしもこうはならないケースもあると思います。

ですので、そのプロダクトが目指している価値提供の種類にもよるとは思うのですが、「プロダクトの利用だけでは成し得ない顧客の成功をいかに実現するか?」は、今後のSaaS業界においては大きなテーマになるのではと感じています。

そして、この領域は通常のカスタマーサクセスの人材要件とは少し異なる能力が求められるのではないかと考えており、サクセスを実現する為の新たな役割が必要になのではないかと感じています。


②オンボーディングにおいて「Time to Value」をいかに短くするか?

一般的に、プロダクトに初めて触れた直後に大きな成果や成功を届けるのは難しい。そこでオンボーディングでは、カスタマーが価値を実感するまでに要する時間(速さ)を重視する。価値は小さくてもいいから少しでも早く届けるべし、という考え方だ。カスタマーサクセスの世界ではこれを「タイム・トゥ・バリュー(Time to Value)」と呼ぶ。

弘子ラザヴィ著『カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」』より

カスタマーサクセスはオンボーディングが重要と言われる中で、アダプション率(※)を高めるには、最初の成功体験をいかに早く顧客に提供できるか?が重要だという話です。(CSに従事する方々にとっては既に自明な話ではありますが)

※アダプション率:オンボーディングが完了した顧客のうち、サクセスした顧客の比率

例えば、

  • PCの画面上に映し出されたダッシュボードを見て、今まで気付けていなかった営業組織の問題に気付くことができた!

  • メルマガのテンプレがたくさん用意されていて、ドラッグ&ドロップで見栄えの良いメールを簡単に作ることができる!

のような、ユーザが価値を感じる瞬間を早く届けましょうということですね。

そして、この障壁になるのがエフォート(プロダクトを利用する上での煩わしさ)であり、

  • 画面上から自分がやりたい操作の導線が見つかりづらい

  • 読み込みが重たい

  • ヘルプページの画面スクショが今のデザインと違う

  • サポートに問い合わせても、的確な回答がすぐに返ってこない

などが生じないよう、エフォートレスな体験を提供する必要がある訳ですが、これが地味に難しい部分でもあると感じます。

以上を踏まえた上で、下記について考えを深めてみたいと思いました。

  • ユーザにとってのオンボーディングの難易度をいかに下げるか

    • お客様の社内にカスタマーサクセスの実行者を作る

    • そもそもプロダクトで実行しようとする業務領域で難易度は変わる?

  • エフォートレスを実現する為の組織文化、体制をいかに作るか

    • 「これ絶対直した方がいいですよね?」vs「そういう仕様なので」の認識相違の解消

    • 「地味な仕事を誰が対応する?問題」にどう向き合うか


③他部門との連携を通して、いかに顧客を主に置いた組織文化を作るか?

一般的に、プロダクトチームの目的は「機能としてテクノロジーが正しく使われること」だが、カスタマーサクセスの目的は「テクノロジーを使ってカスタマーが事業で成功すること」だ。

弘子ラザヴィ著『カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」』より

引用箇所はCSと開発チームとの連携に関してですが、SaaSビジネスは異なるKPIを持つ他部門と、下記の通り、いかに相手の視点を考慮して協働するかというチームワークが非常に重視されるかと思います。

セールスとカスタマーサクセス

「カスタマーがサクセスするかどうかは、セールスの契約段階で50%が決まる」ということが他の書籍で紹介されていた気がしますが、まさにそうで、サクセスしない顧客に販売してしまったり、実際に提供できないサービスをコミットして契約してしまった結果、その後が上手くいかないというのは、失敗パターンのあるあるだと思います。

  • ユースケースがハマらない顧客なのに、知り合いで買ってくれるからといって売ってしまう

  • 本来は顧客側でやる作業を、CSが代行すると勝手に行ってしまう

とかですね。

売上を追っていて、どうしても仕方ないケースもあるかもしれませんが、「どういう提案をしたのか?」「その後、導入は上手くいったのか?」をセールス・カスタマーサクセス間で会話して、提案・支援内容を擦り合わせることは、非常に大切なことだと思います。


マーケティングとカスタマーサクセス

新規事業の立ち上げをしていた時に、早くLPに掲載できる事例記事を作れるよう、CSとして支援を頑張っていました。

ただ、それ以外にマーケとCSの連携って具体的に何だっけ?と少し筆が止まってしまったので、検索してみるとこちらの記事が参考になりました。

まず大切なこととして、CSからマーケにサクセス事例を伝えて、サクセスしやすい顧客像と訴求方法について、解像度高く共有することが挙げられています。

マーケは営業・CSと比べて顧客と直接接する時間が圧倒的に短い訳ですから、マーケティングコンテンツを考える際に、しっかりと訴求したい相手の顔と心情をイメージできるよう、CSから情報共有することは大切ですね。

また、活用促進を目的としたイベントやヘルプページの作成等、1対Nのコミュニケーションを行うという点でも両部門には共通点があるかと思います。

この際のコンテンツ企画・制作については、マーケの方が経験値が高い場合が多いと思いますので、ノウハウ共有ができると組織として強くなっていきそうです。

少し部門同士の距離が遠い分、連携できれば競合に対して差別化できる部分かもしれません。

開発とカスタマーサクセス

実際にプロダクトを利用する顧客からフィードバックを直接受ける立場として、CSから開発に顧客の声を届けることは大切な役割のひとつです。

  • 自分の意見ではなく、お客様が実際に言ったことを伝える(あるいは切り分けて伝える)

  • お客様から欲しいと言われたものをそのまま持ち帰るのではなく、なぜ必要なのか?何を実現したいのか?を捉える(顧客は解決策を考えるプロではない)

ということは、開発チームからカスタマーサクセスへの要望として、良く言われることかと思います。

一方でカスタマーサクセスとしては、開発チームに「作ろうとしたものが作れたか?」「意図した通りに動いているか?」だけでなく、その先にある「顧客が価値を感じているか?」という顧客視点を持って、プロダクトを開発できる文化を醸成していく役割があると思います。

何か顧客から要望が出た際に「まぁそれはエンジニアとしては、そういう仕様ですとしか回答できないです」で終わってしまうのか、本当に良い顧客体験を作る為に、どうすれば改善できるか?を一緒に考えて貰える文化があるかどうかで、プロダクトの品質は大きく変わってくるかと思います。

要は自分の役割の立場からだけでなく、相手の役割の視点を持ってコミュニケーションできるかという話で、CSとしても開発サイドの視点を持ってやりとりしていく必要があります。

SaaSビジネスが増えていく中で部門間連携が大切だということは、度々指摘されるテーマではありますが、実際、どこまで出来ているかは組織によって様々かと思いますので、上手く連携してサービスをお客様に届けるにはどうすべきか?について、考えを深めていきたいと思います。

おわりに

以上、3つのポイントを挙げましたが、それぞれ1つずつ、自分なりに考察していくと、全て合わせるとそれなりの量になりそうなので、テーマごとにアウトプットしていきたいと思います。

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