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植田総裁の発言を冷静に分析、情報の信憑性を疑う姿勢の重要性

日銀の政策決定会合が終わり、結果として大規模緩和継続で年内はこのままの為替レートで推移しそうな気配です。ただ、最近の為替レートはかなり変動しました。
冷静に植田総裁の話を聞けば、今回の決定は予想通りのものであり、サプライズではありませんでした。しかし、市場関係者やマスコミも含めて、不必要な動揺を引き起こしたように感じられます。私がいつも参考にさせていただいている後藤さんの記事を見れば、植田総裁はマスコミが報じたようなことは言っていないことがわかります。

植田総裁の説明と報道の誤解による切り取り

まずは植田日銀総裁が国会で説明した発言がきっかけです。ここで、報道の誤解による切り取りが始まります。また市場関係者も今か今かと待ち受けている金融緩和解除に前のめりになっているため、頭の中が緩和解除モードになっているのでしょう、勝手に発言を金融政策に関する発言だと受け取ってしまいました。
でも、植田総裁は前後の文脈からするとそんなこと言ってないわけです。植田総裁はあくまで仕事に対する姿勢として「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と言ったにすぎず、金融政策に関しての発言ではありませんでした。それは本人の答弁を冷静に聞けばわかる話です。しかし、報道各社や市場関係者はどうやらそう受け取らなかったようです。そして、年内にもマイナス金利解除か、となり、1日に5円も急騰する円高になったというわけです。

日銀政策決定会合の結果

12月の日銀政策決定会合で、植田総裁は緩和継続という判断を下しました。明確に緩和解除するとは言っていませんでしたので、彼自身は特に路線変更を意図していたわけではないでしょう。しかし、マスコミや市場関係者はそう受け取りませんでした。
緩和解除の可能性があると言っていたのに、緩和継続や路線変更と報じられ、結果的に今度は急に円安になるような影響がありました。NHKの報道解説では、12月の国会での発言と照らし合わせることなく、植田総裁の発言が変わったという文脈で放送されました。他の報道機関も同様だと思われます。この一連の動きは、報道や市場関係者の主観的な解釈が実証された出来事でした。

情報の信憑性を疑う姿勢の重要性

12月の為替レートのボラティリティは、自分で実際に植田総裁の発言についてちゃんと調べることの大切さと、切り取りにより関係筋が振り回され、結果として市場がそれによって大きく動く、ということを実感した動きでした。
こういった流れをつかむには、普段から巷に溢れている情報は伝言ゲームみたいなものだという信憑性を疑う姿勢を忘れないことが必要だと痛感しています。この先も、往々にしてこういう事が起こりそうです。特に為替レートの動きは注意が必要かと思います。なぜならキーマンの発言で簡単に上下に動くものだからです。
基本的にアメリカは緩和方向へ、日本は引き締め方向へ、という事なので、円高ドル安に触れやすいと思いますが、関係者の発言とそれを受け取る側の解釈の齟齬で大きく動く可能性があります。冷静に見ていけば周りがあたふたしているのを見てクスッとなるような感じではありますが、そういう楽しみも含めてウォッチしていきたいと思います。
全体傾向としては円高ドル安ですが、GDP成長率の差が日米でありますので、その差が縮まらない限り、円の価値は長期的に下がり続ける可能性があるような気はしますが、どうでしょう。


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