マガジンのカバー画像

1,298
詩を纏めています よろしくどうぞ
運営しているクリエイター

2020年9月の記事一覧

名前なき者

無常の荒野に佇む
狩人は夜を待たずに
現れた獲物を撃ち
星の光に抱かれて眠る
幾つもの名前なき者が
現れては消える中
今日もライフルを担ぎ
獲物を狩り続ける
時間が意味を無くす迄

優しい歌

しがない夜にだけ
咲く花があると言う
見てみたいけれど
僕はもう歩けない
優しい歌が流れる
街には行けないんだ
通り過ぎる季節は
冷たくて狂いそうさ

光の方へ

暗闇から
生まれ落ちた
僕達は
光の方へ
歩いて逝く
その果てに
何も無くても
途中で
脱落しても
光を求め
歩み続ける
誰もが
独りきりで

桔梗

夜の闇に紛れる様
桔梗の花で手を染めた
誰にも気付かれず
標的を手に掛け眠る
夢はもう見れないと
知りながら時は過ぎ
刻々と朝が顔を出す
何もかも見透かす様な

秋の夜叉

終わる秋の中に溶け
雪駄を鳴らす夜叉
その音が街に響いたら
貴方とはさよならだ
優しさに飽きてる僕は
人為らず者へと変わり
この国を破壊するだろう
涙を零す暇すら無い
虚しい人達を横目に流し

私を抱きしめて

全てを掴んだ
私を抱きしめて
全てに絶望した
私を抱きしめて
夕焼けを纏った
銀色の騎士が
この胸を貫く迄

首魁

魔法に掛けられ
罪を犯す悪人
指を鳴らせば
長き夢から
目覚めてしまうよ
本当の事は
何時も分からず
姿なき者達に
処分されてしまった

ダンスホールでブギィを

真夜中のダンスホール
途切れないブギィ
忘れてしまった事を
思い出せない僕は
踊り続けるだけ
夜と朝を越えても
ダンスホールでブギィを
踊り続けるだけさ

アカシァ

澄んだ瞳の男
慰められる女
アカシァが咲く
街外れで見た
秘密を胸に抱き
異国の空へ消えた

星喰い

窓の無い部屋で
貴方は異国の街が
喰い尽くされるのを
ずっと眺めて居た
僕はその部屋から
黙って出て逝く
穏やかなこの夜に
優しい悲劇が訪れ
全てが掻き消えた
僕だけを残して

アンラック

ご機嫌なナンバー
流すジュークボックス
ヘッドライトが
眩し過ぎるカマロ
少し箍が外れた
博士の好きな水爆
当たらないスロット
蹴り壊すヤンキー
アンラックな
何時もの夜に泣かない
カラスとカナリアは
恋をしているのさ

ライト・スティック・バード

罪人が隠した財宝は
今夜明かされる
縛り首なら本望だと
言い残して闇に散った
まるで鎮魂の様に
明かりの無い空を
飛びかう酉の中
確かに輝いて見える
星を一つ見付けたのさ
今はまだ秘密にしよう
誰にも話さなければ
失くしたりしないから

ヘンプベアー

街の片隅で泣いてる
誰かの声が聞こえた
消えそうな悲しみは
今にも壊れそうだ
貴方にはそれが見え
そして聞こえるのか
あの声が虚しさが
鉄の掟に囚われた僕は
そのまま通り過ぎて
アジトへと向かう
何時もと変わらない
アジトへ帰るだけさ

焦燥

ウッドベースを鳴らし
過ぎ去る毎日に
焦る心はもう
形を保てなくなった
自由な言葉だけを
選んだなら
神に為れただろうか
最適な答えなど
もう分からない
骨すら残らずに
僕は死んでしまうよ