歴史が動いた日
「パラサイト」ポン・ジュノ快挙って話
いやもちろん、嫌韓なこの時代、大声で韓国が大好きですなんて言える人間ではない。
でもこれは映画好きであるアジア人として、心からの感謝を送りたいと思える快挙だ。
ポン・ジュノ監督が監督賞、パラサイトが作品賞。
申し訳ないけど、この事実を聞いた瞬間、私の体は異常とも言える熱と、鳥肌に包まれた。
アメリカの映画賞で、韓国語の韓国映画が賞を取った。
これがどれほどまでに誇るべきことか。
グランメゾン東京を視聴した際に書いた私の日本のドラマの嫌いな点。
日本人のドメスティックな演技では絶対にアカデミーを取ることは出来ないだろう。
何かとB級なり、カルト的人気なりと揶揄される中国、香港映画も難しい。
世界的なってことで考えればインド映画かと考えてはいたが、まさか韓国映画がアカデミー賞を取ってしまうとは。
これこそダイバーシティ
70年代に、白人と黒人や、黒人だけで何かを成し遂げたことを美談にする映画が嫌いだ。
そういった映画が話題になったり、アカデミー賞にノミネートされたりすると、私は須らく、かつての差別を行った人達のオナニーを見せられているような錯覚に陥る。
しかし、その映画が素晴らしく感動できることも間違いない。
だからこそ日本にいて、2000年近く根付いてきた男尊女卑と称される文化が、グローバル社会の流れにて、脚光を浴びて、世界から嫌悪の目で見られるのはなんだか気に入らない。
かつてはスペインが、ローマが、モンゴルが、ドイツが、アメリカが、イギリスが侵略者であったが、今の世の中は全て、枢軸国もとい、敗北者が非難の的となっている。
日本人だからなのかはわからないが、少なからず、かつて多くのアフリカ系アメリカ人を虐げていたアングロサクソンが、日本の女性を中心に渦巻く問題に口を出してくるのはなんだかムカつく。
そんなひねくれた精神を持っているから、誰もが感動する人種を超えた感動物語に、正直に涙を流せないのもわかっている。
だが、このパラサイト及びポン・ジュノ監督が成し遂げた偉業は、その白人至上主義を香らせる人種感動物語とは違い、明らかに彼らの力によって勝ち取った賞だ。
平等をモチーフにした白人が作った映画がノミネートされるより、そういった社会問題に深く突っ込まない(経済格差について言及してはいるが、今の論点はそこじゃない)海外作品が受賞するというのは確実に世界が、オナニーではないダイバーシティへと近づいてきていることを痛烈に感じる。
簡潔に言えば
今宵だけは嫌韓も反日も無しにして、ポン・ジュノ監督が成し遂げた歴史に残されるべき偉業にアジア人として酔いしれたい。
一映画好きとして言えることはただそれだけだ。
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