ゆめを みました

突発的な夢なんて いくらでも見るけど
『戦争が終わったあと』の夢は
初めて見ました。

また誰か
おそらに還れたのでしょうか。
その助けになれたなら
なによりですが……

ゆめは、戦争の終結から始まりました。
大事な人を戦争で失った傷も癒えぬ時代
息子が、親友が、そんな話のなか
『どこに石碑や銅像を置こうか』という話でした。

ひとりは、最も戦火の高かった土地へ。
そのひとは帰ってこれた方なのか、
『あいつはこの、真っ黒な大地の上で、死んでいったんだよ』と。
その心内までは話してくれませんでしたが
白い紙に、戦時の色が重なり、平和な色が重なり、変に混ざってどす黒くなったところ
そこを指していました。
でも、言うのを躊躇っていました。

話がめっちゃ飛びますが
新聞社で働いていた講師が知り合いにおりました。
『どす黒い』などの『どす』はどういう意味ですかと聞いて
『こびりついて取れないような、それ以上黒くならないような、極めて』という意味ですと
律儀に答えてくださいました。

話を戻しまして
言いよどみ、言い出せないまま、その『どす黒い場所』は選べなくなりました。
他の場所をと見ているうち、わたしは
『死んだ後に目が覚めるなら、ここがいい』と思う場所があって
話し合いの誰もが目をつけなかった。

『慰霊碑なのですよね。では戦火の中で亡くなった方の魂が目覚める場所。
私なら、ここで目が覚めたなら、「平和な世が来たんだ」って、嬉しくなります』と言いました。
走り出して、豊かな自然が回復していく様子も。
人々が生きている様子も、見れる。

もちろん、恨みのある死者のことは頭になかったですが
大事な人たちが笑える世界になったり
大事な故郷が燃えて不毛の土地になっていない
私はそれは嬉しいことだよと。

どす黒い場所に石碑をと言った人は、死んだ人が嬉しいと思える場所がいいんじゃないか
そんなお花畑な頭の私を見て
「……そう。そうだね」と呟いて、夢は終わりました。

何が良かったとかは、知りませんが
どす黒い場所に石碑を建てても、長らくは自然が還ってこないから
「私なら浮かばれますよ」なんてチープな言葉で、夢は終わりました。

戦時中に命を落とした魂と出会ったことがあります。「お前も、恨みを捨て、そらへ還れと綺麗事を言うのか?」と聞かれたこともあります。
その人だったかも、しれません。
ずっと、還れなかったようだったから。

おやすみなさい。

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