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ギターのリアンプのお話

DIの録り方の話をしたから、今度はリアンプの話をしようかと。
といってもまぁ、大事なことはGodspeed先生の記事でだいたい出てるんでそっち読めばいいと思う。

ちゃんとした記事は既に存在することがわかったね。
よし、それじゃあ私は何の役にも立たない駄文を書くことにしよう。

ゲインに気を付ける

ラインの音を録る時はS/N比を考えてできる限り大きな音で録った方がいい、という話をライン録りTipsの時に書いた。
このTipsで書いた通りに録ったなら、リアンプする時は何も考えずにインターフェイスからアンプまで繋ぐのではなくて、ちょっと考えてから録る必要がある。

リアンプをしない、本来のレコーディングであれば気にする必要はないのだけど、一度ラインの音をPCに録った場合は、「ラインの音を録った時に上げた音量を、元の音量まで下げてやる」必要がある。
ライン録りTipsで書いた通りに大きな音で録ったなら、その時に音量を上げた分だけ下げてからアンプに突っ込んでやらないといけない。
そこはリアンプについてるボリュームを使おう。ついてないならDAWのフェーダを下げるなり何なりすればいいんじゃないかな。

AD/DA変換で発生する遅延を補正する

DAしてADしたら音は遅れる。所謂DAWのレイテンシーの話ではなくて、DAしたり、ADする時に遅延が生まれるんよ。
……という乱暴な解説は正確ではなかったような気がするけど、もう引退して長い身なので詳しいことは覚えてない。
AD/DAの性能や録音/再生時のサンプリング周波数によってどれくらい遅延するかが異なるので、自動で完全には補正できないと思う。

理論的な話はぶっちゃけどうでもいい。
リアンプする前にインターフェイスのOutとInを適当なケーブルで直結して、DAしたあとADしたら何サンプル遅延するのかを計測するといい。ペンツールで1サンプルだけ音が鳴る波形を作って、それを再生して録るだけで測れる。
インターフェイスとサンプリング周波数が変わらない限り、基本的には常に一定の直で遅延するので、あとはリアンプしたあとにその遅延分だけ補正してやればいい。
Cubaseとかだと録音した音源を何サンプルずらすか、みたいな設定も実はあるのだけど、DAしてADした時と、ADだけした時の遅延がイコールであるとは限らないので手動で補正することをお勧めする。

これはリアンプに限らず、アナログで出し戻しするならマストでやらなきゃいけないこと。アナログ機器を扱うような人なら知らないはずがないんで、こんなもん釈迦に説法なんですけど。

ちなみに、LynxのAD/DAはこのAD/DA変換がクッソ早いって聞いたことがある。逆に、かの有名なPTHDの192i/oはクッソ遅くて笑った。

リアンプに向かないもの

ハイゲインアンプに突っ込む時と、完全なクリーンで録る時はリアンプしてもいいと思う。でも、クランチの時は演奏のダイナミクスと歪み量が直結するので絶対にやめたほうがいい。弾いた時にモニタリングしてた歪み方をリアンプで再現するのはほぼ不可能なので。
死ぬほどリアンプしてきたけど、クランチ主体の演奏はリアンプせずに録ってた。私でもそうなんだから、プレイスタイルがそっち寄りの人は絶対にリアンプなんかしない方がいい。

リアンプで本当にやるべきこと

ちゃんとアンプを通して鳴らす、という意味でのリアンプができる環境なら、制作に使うよりも音の研究に使った方がいい。
リアンプなんてちょっと音の質を下げて時短するためだけのツールなんで、制作においてはそんなに重要なツールじゃない。

でも、何かを比較したい時に、比較したいもの以外の要素を徹底的に排除して、本来比較したい差分だけを取得することができるっていうのは大きい。
例えば、演奏もアンプもキャビもマイクの位置も全部同じだけど、スピーカーユニットだけが違うとか。電源ケーブルだけ違うとか、ケーブルだけ違うとか。

クリエイターの範囲であればそこまで厳密にやる必要なんてないんだけど。でも、もし音に対して何かしら追求したいという意思があるのなら、そういうやり方で徹底的に差分を客観視できる環境を作るというのは非常に重要なことだと思う。

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