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社会的インパクト投資レポートvol.10:「中東地域ソーラー事業者支援ファンド」シリーズ

2018年6月18日、当社は「社会的インパクト投資宣言(※1)」を発表しました。社会的インパクト投資とは、貧困層支援や教育問題など社会的課題の解決に取り組む企業や領域に投資し、経済的なリターンと社会的なリターンの両立を実現する投資手法を指します。この社会的インパクト投資レポートでは、当社の各ファンドシリーズが具体的にどのような社会的リターンを実現するかについて、定量的かつ定性的にお伝えしてまいります。

今回は本編第10弾として、2019年4月より販売を開始し、期日にしたがって順次償還実績を重ねる(※2)とともに、現在も募集を順調に進めさせていただいております(※3)「中東地域ソーラー事業者支援ファンド」シリーズについてお伝えいたします。

本ファンドシリーズは、アラブ首長国連邦(UAE)に本拠を置くエンジニアリング企業 ODEH ASALEM AUTOMATION SYSTEMS – ODASCO LLC(以下「ODASCO社」)の特別目的会社であるGLOBAL ENERGY SYSTEMS – FZE(以下「GES社」)が、中東地域の砂漠地帯において、通信施設の確実な稼働を確保するために実施中の、携帯電話基地局の発電動力を従来のディーゼルから太陽光発電に置き換える事業への融資を対象とするものです。なお、本ファンドシリーズは、GES社の親会社であるODASCO社の保証付きの貸付となっております(※4)。

※1 当社の社会的インパクト投資に対する考え方についてはこちら
https://crowdcredit.jp/about/social-investment )もあわせてご参照ください。

※2 本ファンドシリーズの償還実績につきまして、詳しくはこちらの満期時運用レポート( https://platform.crowdcredit.jp/operation/index/45 )をご参照ください。

※3 現在募集中のファンドにつきまして、詳しくはこちらのファンド情報
https://platform.crowdcredit.jp/fund/ )をご確認ください。

※4 2021年3月29日付で、GES社およびODASCO社経営陣から届いた投資家の皆様へのメッセージを公開しています。以下もあわせてご覧ください。

1. 「中東地域ソーラー事業者支援ファンド」シリーズの社会的インパクトの概要

近年の社会的リターンに関する世界的な取り組みとして、2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」があります。SDGsでは、持続可能な世界を実現するために17の分野で目標を定めています。

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本ファンドシリーズは、アラブ首長国連邦(UAE)にてEPC事業(※5)を展開するGES社を実質的な貸付先(海外資金需要者)とするものであり、17の目標のうち主に「7. エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」および「13. 気候変動に具体的な対策を」を目指しています。

※5 EPC事業とは、設計(Engineering)、調達(Procurement)、建設(Construction)を含むプロジェクトの建設工事を請け負う事業のことを指します。

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以下では、本ファンドシリーズがどのようにこれらの目標の達成に貢献しているかについてご説明いたします。

2. アラブ首長国連邦(UAE)の状況

世界一高いビルのブルジュ・ハリファ、大型商業施設やホテルが建ち並ぶ沖合の人工島群のパームアイランドなど、世界屈指の観光都市であるドバイ。白亜の建物が美しいシェイク・ザイ―ド・グランドモスクがあるアブダビ。アラブ首長国連邦(UAE)といえば、こういった様子を思い浮かべる方が多いかもしれません。

アラブ首長国連邦(UAE)は現在、観光業等のサービス産業や製造業等、産業の多角化が進んでいますが、それを支えているのが豊富な石油収入です。アラブ首長国連邦(UAE)内で産出される原油や天然ガスのほとんどはアブダビで採掘され、石油・ガスパイプラインを通じ、国内外に輸送されています。

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3. GES社の業務概要

冒頭でもお伝えしたとおり、本ファンドの実質的な貸付先(海外資金需要者)のGES社は、アラブ首長国連邦(UAE)に本拠を置くエンジニアリング企業であるODASCO社の特別目的会社です。同社は、石油・ガスパイプラインのセンサーの安定的な稼働を実現するために必要な携帯電話基地の動力源を、従来のディーゼル発電から太陽光発電システムに置き換える事業を推進しております。現在募集中のファンドを通じて投資家の皆様からお預かりした資金は、本事業に必要な初期段階の建設資金に活用されています。

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アブダビで採掘された石油・ガスは、パイプラインを通じて、アラブ首長国連邦(UAE)国内外に輸送されています。携帯電話基地局には、主に携帯電話通信網を利用したワイヤレスセンサーが設置されていますが、これはパイプラインの安全・円滑な稼働のために、接続部の異変(漏れなど)を即座に検知、遮断や事故を未然に防ぐ目的です。

中東地域における携帯電話基地局の多くは、送電網のない砂漠地帯に敷設されているため、携帯電話基地局への電力供給のため、ディーゼルエンジン型の発電機を常時稼働させる必要があります。安定的な稼働のため、週に2~3回の給油やメンテナンス等が必要となり、年間1拠点あたりの維持管理コストは5,000米ドル(約55万円、1米ドル=110円換算)程度と、携帯通信事業者の収益を圧迫する大きな要因の一つになっています。あわせて、窒素酸化物(NOx)、二酸化炭素(CO2)の排出による大気汚染や地球温暖化への影響も懸念されています。

上記の課題を解決するために、GES社は、アラブ首長国連邦(UAE)の政府系携帯通信事業者からの受託を受け、携帯電話基地局の動力源のソーラー化を進めています。中東地域は晴天日が多く日照時間も長いため、安定的な発電が見込め、既存のディーゼル発電を太陽光発電に置き換えることで維持管理コストを下げ、大気汚染や温室効果ガスの排出削減を進めることができます。また、大型バッテリーも併設することで、昼夜問わず安定的な電力供給の実現が可能となります。

4. 本ファンドシリーズを通じて創出される社会的インパクト

GES社は、本ファンドシリーズを通じ、今までに35基の携帯電話基地局のソーラー化を推進しています。これらの携帯電話基地局35基が稼働することで、GES社は、1年間でディーゼルオイル消費量約100万ℓ以上と、二酸化炭素(CO2)排出量約3千トン(東京ドーム約1.2個分の容量)(※6)の削減が達成されると試算しています。同社は、今後もアラブ首長国連邦(UAE)内でさらに約50基の携帯電話基地局のソーラー化事業を実施する予定です。また、アラブ首長国連邦(UAE)での実績に基づいて、ヨルダンでも同様の事業推進を予定しています。

※6 ①二酸化炭素(CO2)排出量:2,930トン×510㎥/トン、②東京ドーム:1,240,000㎥、③(①÷②):東京ドーム約1.2個(GES社提供資料に基づきクラウドクレジット試算)

5. 補足:GES社の親会社ODASCO社が見込む今後の事業展開について

本ファンドシリーズの実質的な貸付先であるGES社の親会社ODASCO社は、上記にてご説明したディーゼル発電型の携帯基地局を完全なソーラー稼働方式へと転換する事業のさらなる展開に加え、太陽光発電を活用し、環境への配慮を行った事業の推進を行っていく予定です。

具体的には、世界で最も水資源の少ない国の一つであるヨルダンにて、水資源の確保・配水システムの電源をディーゼルから太陽光発電に置き換える事業を推進しています。すでにヨルダン北部、シリア国境近くのマフラク県でのカルディア井戸開発プロジェクトにおいて、太陽光発電により地下水の汲上・地域や農場への配水を実施しています。これにより、ランニングコストが削減され、安価で安定した水へのアクセスが実現されることとなります。

また、農場の働き手としてシリア難民を雇用、安定的な収入の機会を提供しています。ODASC社は2022年6月までに、ヨルダン国内の他4か所で太陽光発電を用いた水資源開発(地下水汲上)事業を推進し、該当地域における水不足の緩和とクリーンエネルギーによる安定したエネルギーの供給を実現する予定です。

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6. 結び

ここまでで、「中東地域ソーラー事業者支援ファンド」シリーズの実質的な貸付先(海外資金需要者)の事業を通じた社会的インパクトについてご説明しました。当社では、引き続き本ファンドシリーズを通じて、中東地域における環境に配慮したクリーンエネルギーの推進を支援してまいります。投資家の皆様におかれましては、変わらぬご愛顧のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

◇ファンドの手数料およびリスクについて
ご出資いただく際の販売手数料はいただいておりません。
なお、出資に対して、年率換算で最大4.0%の運用手数料を運用開始時に(または運用開始時および2年度目以降毎年度に)いただきます。
また為替手数料その他の費用をご負担いただく場合があります。
為替相場の変動、国の政治的・経済的なカントリーリスクや債務者の債務不履行等により、元本に欠損が生じるおそれがあります。
ファンドごとに、手数料等およびリスク内容や性質が異なります。
詳しくは、匿名組合契約書や契約締結前交付書面等をよくお読みください。
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