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【オンライン特別企画】<3社共催>投資で社会が豊かになるって本当?~お金をふやすためだけじゃない、新しい投資の考え方~

2020年7月11日、当社(クラウドクレジット株式会社)は、コモンズ投信株式会社、株式会社丸井グループ傘下のtsumiki証券株式会社と3社共催オンラインセミナーを開催いたしました。当社としては初のZOOMを活用したオンラインセミナーになります。

本セミナーでは、『投資で社会が豊かになるって本当?お金をふやすためだけじゃない、新しい投資の考え方』をテーマに、「社会とお金を育てる投資」にかける3社の想いや取組みをお伝えしました。今回は本セミナーの第2部にあたる講師3名のトークセッション(鼎談)をご紹介いたします(※)。

※ 本セミナー当日のタイムスケジュール等はこちら( https://crowdcredit.jp/seminar/info/101 )をご参照ください。

イマジネーション(想像力)が生み出す不安とコインの裏表の期待、希望

仲木氏:「ありがとうの連鎖」って良いですね。

渋澤氏:子ども向けの説明なのですが、わかりやすいですよね。「笑顔をふやす」ということが重要な社会的インパクトだと思います。柔らかい言葉で本質を表現すると、子どもでもわかりますし、もちろん大人にもわかってもらえます。

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渋澤健氏(コモンズ投信株式会社 取締役会長兼ESG最高責任者)

渋澤氏:「なぜ銀行預金が多いのですか?」と尋ねると、「不安だからです」と答える方が多いです。不安は想像力が豊かでなければ生じません。「お金がなかったら・・・」、「仕事がなかったら・・・」というイマジネーション(想像力)があるからこそ不安になります。イマジネーションは、地球上では人間にしかないといわれています。自分のいない遠い場所、遠い未来はチンパンジーには考えられません。不安はコインの裏表で、期待と希望です。

未来には、「必ず起こる不確実性のない未来」と「不確実性のある見えない未来」があります。後者の見えない未来が良いほう、悪いほうのどちらに転ぶかにおいて、不安か、期待かの考え方に分かれるかと思いますが、それは自分自身でしか決められません。人間はイマジネーションを持っているので、不安も期待も抱きます。バランスが大事だと思います。誰でも不安は抱きますが、不安の反対には期待や希望があるというバランスを持つことが大事だと思います。

仲木氏:見えないことが不安につながっているという面もあると思います。コモンズ投信さんやクラウドクレジットさんのように運営者、投資先が見えるようにする取組みで、個人投資家の皆様の不安を軽減できると良いと思います。

自分のこと、我がこととして伝えることの大切さ

渋澤氏:「理念はわかりましたが、他の金融機関も色々考えていますよ!」というお声をいただいていますが、その通りですね。大事なことはその会社のトップ、コモンズの場合でいえば、社長の伊井が語っていることと他の社員が語っていることが違うなら、それは嘘になってしまいます。ただ、それが違う言葉、違う表現かもしれないけれども、同じ意味のメッセージがその会社のどの立場の人からでも聞こえてくるなら、僕は本物だと思っています。そこで働いている人たちが、自分のこと、我がこととして伝えられるかどうかです。

仲木氏:私たちも自分事として捉えることが大事だと思っています。tsumiki証券の中でも、各社員がお客様にどう伝えるのかを重要視しています。パートナーの各社と話す時は、言葉だけではなく、実際に行動しているかを確認しています。また、「もし渋澤さんがいなくなったらどうなるか?」といったサスティナブルな部分も確認させていただいています。

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仲木威雄氏(tsumiki証券株式会社 代表取締役COO)

渋澤氏:コモンズは大丈夫だと思います。私はいつも居ないので宇宙人と呼ばれていますから(笑)

「社会的インパクト投資」の現実と今後の可能性

参加者の方からの質問:開発金融を勉強している大学2年生です。著者がノーベル経済学賞を受賞したことで再び脚光を浴びている『貧乏人の経済学』でも書かれているとおり、銀行は債務不履行のリスクがある人々への融資は極力避けようとするので、マイクロファイナンス機関による貧困層や極貧層、小規模企業への出資は、彼らが生計を立てるうえで重要になってくると思います。クラウドクレジットさんの投資先は、ある程度債務返済能力のある企業(小規模・中規模)とのことでしたが、今後新興国の零細企業に対する出資を行う予定はあるのでしょうか。

杉山:「零細企業に日本の方のお金が届く」という像は、たくさんの笑顔が生まれそうなイメージがあるかもしれません。この点やってみて難しいなと思うのは、実際のアジアやアフリカなどでの市中の仕事は泥臭い業務が多いです。私は夢ではなく現実を語るケースが多くて申し訳ないですが、こういう先は日本やアメリカのような財務諸表もないですし、たとえではありますが、夜逃げもやろうと思えば一晩でできてしまうので、日本の投資家の方のお金を届ける仕組みは、正直まだ当社でもこれといったものは考案できていません。

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杉山智行(クラウドクレジット株式会社 代表取締役)

杉山:寄付ではなく投資となると、財務諸表を見せていただいて、状況を把握しながら推移を追いますので、当社のスタイルではまだそういったセグメントへの投資は難しいです。日本でいう地銀や信金のように、日々その地域の企業に足を運んで、簡単な帳簿を見て相談に乗ってあげられるような現地のマイクロファイナンス機関が、そういう役割を果たしていると思います。当社ではこういったマイクロファイナンス機関にお金を届けてはいます。現実的な解としては、直接、零細企業へお金を届けるのではなく、そうした零細企業の相談に乗りサポートする財務諸表のある企業にお金を貸すことが、日本からできることだと考えています。

渋澤氏:「信用」というのが、株式投資でも、融資でも一番大切です。経営者や会社を信用しなければ株主にはなりませんし、返済してくれなければ融資はできません。その中で株式投資と融資の違いを挙げるとすれば、1つは、貸付は返済が前提です。株式投資の場合は、会社の資本になりますので、返ってこないお金です。その点で、信用の考え方の違いがあります。

財務諸表は数字として精査できる、見えるかたちですが、長期投資を考えるうえではあくまでも過去の成績、氷山の一角であって、それ以外の見えない部分が長期投資の面白いところ、要だと思っています。最終的な資金需要者の選定は、マイクロファイナンス機関にお任せするということですが、+αの非財務的な価値判断は、マイクロファイナンス機関の場合はどう判断するのでしょうか。

杉山:当社は2018年から「社会的インパクト投資(※)」を提供しています。現在は当社ファンド全体の15%ほどになりました。実際にマイクロファイナンス機関へ貸付するファンドもあります。その点、段階を踏まないといけませんが、最初は本当にサンプルチェックのようなかたちで、彼らが貸してくださっている現地の中小企業をご紹介いただいて、実際に現地の中小企業を見て、「どんな企業、人にお金が届いて、どう笑顔があふれるのか」を確認しています。

※ 当社の提供する「社会的インパクト投資」につきまして、詳しくは以下をご覧ください。

杉山:現在は「社会的インパクト測定」を考えていまして、人事評価でスコアを付けるような仕組みを使って、測定していこうとしています。ミッションやビジョン、ゴールに対して、この企業はこれくらいできているというような、そういったことをスコアカードベースで出していこうとしています。その次はロジックモデル等をやることになるのかと思いますが、急にやると複雑すぎるので、まずは一歩一歩やっていきたいと思います。

コロナ禍で変わったこと、変わらなかったこと

仲木氏:3社への質問で、「コロナ禍で理念やビジネスモデルの変更などはありましたか?」と。

渋澤氏:理念に変化はありませんが、強化はありました。また、理念の表現の手段も変わったと思います。我々は対話を大事にするのが創業理念で、たくさんのセミナーを開催してきました。以前はリアルで体温を感じながらやることが大事だと思っていまして、Webだと難しいと感じていてあまりやっていませんでした。しかし、コロナ禍でやることになった時に、「実は結構いけるよね!」とWebでも体温を感じられる方法が見つかり、その表現の変化が理念の強化につながったと思います。

杉山:「どこまで保守的なことを言い続けるのだ」と思われるかもしれませんが(笑)、クラウドクレジットの場合は、当社とお客様で一緒にフロンティアを開拓しており、先人がおらず、わからない部分が多く、びくびくしている面もあります。寄付より大きい金額が市中に回るのが投資の妙味ですが、当社ファンドの場合、株のように「半分にまで暴落してしまっても倍になればとんとん」ということはありません。一度ファンドがデフォルトして、資産価値が半分とかになってしまうと、取り返すのはかなり大変です。ですから、こういう時期になると、理念やビジョンも重要ですが、「こういう時にがたついていると持続性に問題があるのではないか」となってしまいますので、7割経済を生き抜いていける方に融資をつけるようなスタイルになります。理念は変わらないけれども、「ゆくゆくはこうありたい」という姿との距離は少し空いてしまうかもしれません。今はディフェンスのほうが重要で、生き残る企業を支援するという局面だと考えています。

仲木氏:私たちも理念は変わりません。お客さんの動きがしっかりしていたことが印象的でした。不要不急のお金ではないけど、将来の準備のお金はやめない、積み立てをし続ける、積立額を増加しておくというお客さんの行動が起きました。将来の不安を安心に変えるのは勿論ですが、良い会社のお金を流すということがお客さんに伝わっているのではないかなと思います。もっと伝えたいなと感じています。

Withコロナ時代、Afterコロナ時代の生き方

仲木氏: コロナ禍にあって、以前よりも生き方がデザインできる世の中に向かって変化している点は面白いと思います。お二人の生き方について伺いたいです。

渋澤氏:生き方ですか。私は来年還暦になります。あまり自分が還暦になる人生って考えてなかったので、リアルに迫ってきたことを考えると、残された人生、自分がやりたいことをやるしかないなと感じています。コロナ禍で亡くなった知り合いも何人かおり、とてもショックで、残された人生は誰にもわからないなとひしひしと感じました。人に迷惑をお掛けしない範囲内で、自分がせっかく生まれてきたからやりたいことをやる、大事なことはできるかできないかではなく、「やりたい!」だなと考えています。

杉山:日本にはお金が余っているといわれていますけれど、裏を返せば、こんなに使えるお金がある国って日本しかないかなと。ポテンシャルは世界でも随一です。そのお金をどこに投資する可能性があるかというと、選択肢として新興国もあり得ると思います。20世紀のアフリカの場合は、お金を投資してもなくなるだけだったかもしれません。現在はコロナショックで落ち込んでいる企業が多いかもしれませんが、21世紀という時代全体としては、育てられる先が世界中にぼこぼこ生まれてきており、さらにインターネットにより実際に届けられる国・企業が拡大しているかと思います。50年後くらいにできると思っていたこと、お金が届いて笑顔になるという景色を、未来ではなく今日お届けできるのが、クラウドクレジットの価値だと思います。

仲木氏:投資家だけじゃなくて自分も起業家になれる、従業員だけじゃなくて自分も経営者になれるという両方を自分の一生の中で体験できる時代になったので、これはものすごく面白いことだと思います。本当に今までの価値観を取り払って動いていければなと。ちょっとしたお金の不安に関してはまっとうな投資信託などに預けて、将来の安心を得ながら、自由にお二人がおっしゃる人生をみんなで歩んで笑顔につながれたらなと思います。

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