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【CIOインタビュー】ファンド運営部門のトップが語る「クラウドクレジットの提供するファンド、これからの方向性」

2019年11月1日、当社執行役員の中から新たに2人のCIOが誕生しました(※1)。今回はそのうちの1人であるChief Investment Officer(最高運用責任者)・大西 志麻里(おおにし しおり)にインタビューを行い、ファンド運営部門のトップとして当社が投資家の皆様にご提供するファンドのこれからの方向性について語ってもらいました。
※1 当社執行役員の新役職就任について詳細はこちら(https://crowdcredit.jp/info/detail/343)をご覧ください。

なお、大西のこれまでのキャリアの変遷等については、以下前回のインタビューをお読みいただければ幸いです。

全社的視点で見据えるクラウドクレジットの理想のCIO像

―11月1日にChief Investment Officer(最高運用責任者、以下「CIO」)に就任されました。当社、クラウドクレジットにおけるCIOとはどういったポジションなのでしょうか。

大西:当社のCIOには2つの大きな役割があると考えています。1つはファンド運営部門、商品部・投資管理部・運用部で構成されているのですが、それらの部に所属している「人」のマネジメント、つまりチームワークを育んでいくということです。

もう1つはファンド運営部門業務の執行です。とくにファンドの組成と投資管理、組成については新ファンドの準備、投資管理については資金を海外の資金需要者に届けた後にモニタリングをしていくということになりますが、これらの業務を、運用部の関連業務とも連携しながら、決まった時期までに確実に完了させることです。この2つが当社におけるCIOの主な責務だと認識しています。

その両者において全社的視点が大事です。ファンド運営部門だけでなく、ファンド運営部門が関わる横の部署、たとえばシステム管理部や法務コンプライアンス部などと、いかに効率的に連携して全社的視点でより良いファンドを投資家の皆様にお届けしていくか、こうしたところを常に意識して運営していくのが私の責任だと考えています。

―それでは大西さんにとって理想とするCIO像とはどういった存在でしょうか。

大西:あまり誰か、というのは頭に思い浮かびません。というのも、ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)で複数の国の複数のセクター(業種)に複数の通貨でお金を融資するというビジネス自体が、当社以外になかなか見当たらないからです。

ただ、当社のファンド運営部門は専門家集団です。その専門家集団が各々の専門性を発揮しながら、投資家の皆様の視点に立って「ファンドをつくり、モニタリングして、お金を償還していく」という一連の流れをしっかり遂行していくチーム体制を構築するのが、理想のCIOといえるかと思います。

「フィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営)」を念頭に置いた情報発信を!

―ざっくりとした質問になりますが、当社のファンド運営全般のこれまでとこれからについて教えてください。

大西:2018年後半からのここ1年くらいで多様なファンドラインナップを投資家の皆様に対してお届けできるようになったと感じています。たとえば、中東地域ファンドをご提供したり、小水力発電の分野をインパクト投資の中で手掛けたりするなど、様々なテーマ、地域や国に当社のファンドは広がっています。投資家の皆様にとって分散に耐え得るファンドラインナップになってきたと自負しています。

世界中にまだまだ魅力的な資金需要者が資金を必要としており、これからも新しいファンドはつくっていく予定でおります。ただ、その一方で当社が相対している投資家の皆様の大切なお金を届けているわけですから、当然にモニタリングしている資金需要者の数もどんどん増えていくことになります。

引き続き新しいテーマ性、分散を徹底する投資機会を投資家の皆様に提供することを意識しながら新しいファンドをつくっていくのですが、同時に資金需要者のモニタリングをより迅速かつ正確に図れるような体制づくりにも注力していきたいと考えております。

モニタリングをしていく中で新しいファンドをつくる時に役立つ教訓ですとか、あとはモニタリングをしながらより精緻化、高度化できるタスクも日々進化させているところですので、それを日々の業務の中に適切に取り入れていくことが重要かと思います。

あとこれは全社的に推進している取組みではありますが、ファンド運営部門としても「フィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営)」を念頭に置いて、投資家の皆様へよりわかりやすい情報発信に力を入れていきたいと考えています。

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クラウドクレジットのファンドシリーズのこれから

―現在、社会的インパクト重視ファンドやマイクロファイナンスファンドといった当社が2018年6月に公表した「社会的インパクト投資宣言(※2)」に則ったファンドシリーズとそれ以外のファンドシリーズを残高ベースで見ていくと、概ね1:9の比率になっています。お話にあった新しいテーマ性のファンドを今後つくっていくにあたってこの比率は変わっていくのでしょうか。
※2 当社の社会的インパクト投資に対する考え方についてはこちら(https://crowdcredit.jp/about/social-investment)もあわせてご参照ください。

大西:まず適切なリスクリターンを計測して、資金需要者側とコミュニケーションを図りつつ適切な利回りを付けて商品化していくことが重要です。

当社が目下取り組もうとしていることは大きく2つあります。1つはその9割のファンドシリーズの中の最も多くの残高を占めているノンバンクと呼ばれるペイデイローン(短期の小口融資)を手掛ける金融事業者への貸付案件は、より多様な地域や資金需要者へ平準化していく方針でここ1年間も取り組んでおりますが、今後もその方針、取組みは変えません。そうすることによって投資家の皆様がより分散できるファンドシリーズのラインナップができると認識しているからです。

2つ目はファンドシリーズを増やしていくにあたって、新しいセクターを新ファンドの中で検討しています。たとえば、「クリーンクッキング」と呼ばれる分野です。途上国では、石炭・木炭・薪のような固形燃料を、換気が十分ではない屋内で調理用に使い有害な煙が出て、健康を害しています。現在様々なイノベーションが起こっていて、健康を害さない、煙を出さない調理器具などが出てきているのですね。これらを手掛けている資金需要者への貸付を検討しています。

あとはモビリティ(交通サービス)に貢献するファイナンスを手掛けている資金需要者や農業のサプライチェーンにファイナンスを付ける資金需要者への貸付など、新しいテーマを追い続けています。これらはインパクト投資に分類されますので、インパクト投資において利回りの幅も意識しながら新しいセクターを追っていきたいと思っています。

世界的なインパクト投資への意識の高まりとクラウドクレジットの取組み

―2018年6月の「社会的インパクト投資宣言」に基づいて、今年、2019年10月から公式note「CROWD CREDIT」上に『社会的インパクト投資レポート(※3)』を順次発行しています。大西さんは直近のSDGsやESG投資、インパクト投資の国内外の動向についてどのように捉えていますか。
※3 当社の発行する『社会的インパクト投資レポート』は以下をご覧ください。

大西:日本の投資家の皆様にはあまり馴染みがないかもしれませんが、直近10月にブルキナファソという西アフリカに位置する国に行ってきまして、そこでは多くの社会的インパクト投資を行っている機関投資家の方と会ってまいりました。

そこで色々と対話してみますと、インパクト投資の分野について、経済的リターンは諦めなければならないという元々の認識だったのが、経済的リターンと社会的リターンは両立可能であるという認識に変わって浸透しつつあると感じました。これは当社が昨年6月に「社会的インパクト投資宣言」を行った考え方と合致していると思います。

こういった社会的インパクト投資を行っている海外のファンドは、実は日本の機関投資家の方々の資金を取扱っていたりしているのです。ですから、日本の機関投資家の方々もSDGsやESG投資を意識して、海外の投資機会を獲得する動きが見えてきています。その中で当社としても経済的リターンを諦めないインパクト投資の新ファンドを意識して組成していきたいと考えています。

同時に社会的インパクトを評価して定期的にレポートを出していくような組織も増えてきているというのが、今回ブルキナファソに行ってきて認識を新たにしたことです。こういった定期的にインパクトを計測する組織との連携やストーリーを、いかにして投資家の皆様にわかりやすく伝えていくかという動きは、今年10月から発行を開始した『社会的インパクト投資レポート』を含めて当社としても引き続き行っていきたいと思っています。

中長期的にはインパクト投資を手掛けていく資金の出し手というのは、個人の投資家の皆様だけではなく、機関投資家の方々も対象となるのかなというのが実感としてあります。こうした資金の出し手の多様化に当社も貢献していけるのではないかと考えています。

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―当社の『社会的インパクト投資レポート』はまさしく始まったばかりですが、今後どのような方向性で発行していく意向をお持ちですか。ブラッシュアップ・ポイントを含めて教えてください。

大西:インパクト投資というのは、資金を出していただいてすぐにインパクトが起こるわけではありません。5年後、10年後といった期間が経過して起こることのほうが多いわけです。

たとえば、『社会的インパクト投資レポート』の第1弾として出したAnantaka社の案件(※4)にしても、実際のインパクトは今後想定されるものです。現在、小水力発電所を建設しているわけでして、完工したら年に約300万本の杉の木が1年間に吸収する二酸化炭素(CO2)を削減できる見込みであるというのが現状です。
※4 詳細は以下をご参照ください。

そうしたことからすると、当社としては資金を出した後、数年先を意識しながら、そしてそのタイミングで投資家の皆様へレポートを発行することが『社会的インパクト投資レポート』の理想形と考えています。

Anantaka社の案件にしても完工するタイミングでもレポート発行しようと思いますし、1年程度経過したタイミングで、実際の発電容量の実績をヒアリングした上でどれくらいの世帯へ実際に電気が届いたか等の事実ベースをお伝えするのが最終形になるかと思います。

投資家の皆様に「ワクワクするような投資機会」を!

―最後に投資家の皆様へメッセージをお願いします。

大西:これまでも取り組んできたことではありますが、常に当社は通貨、国、タイミング等の分散をいただけるようなファンドをつくってきています。これについては引き続き体制面でも運用面でも強化していきます。

一方で、当社のファンドにリスクは付きものですから、何らか遅延等のアクシデントが起こってしまった場合でも、投資家の皆様の利益を最大化する、損失を抑えるといったようなアクションを迅速に行って情報発信をできる管理体制をしっかり構築していきたいと考えております。

これを含めタイムリーな情報発信を行っていくことで、投資家の皆様がワクワクするような、ストーリーを実感いただけるような投資機会を引き続きつくっていきたいと思っています。

投資家の皆様におかれましては引き続きご愛顧をよろしくお願いいたします。

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◇ファンドの手数料およびリスクについて
ご出資いただく際の販売手数料はいただいておりません。
なお、出資に対して、年率換算で最大4.0%の運用手数料を運用開始時に(または運用開始時および2年度目以降毎年度に)いただきます。
また為替手数料その他の費用をご負担いただく場合があります。
為替相場の変動、国の政治的・経済的なカントリーリスクや債務者の債務不履行等により、元本に欠損が生じるおそれがあります。
ファンドごとに、手数料等およびリスク内容や性質が異なります。
詳しくは、匿名組合契約書や契約締結前交付書面等をよくお読みください。クラウドクレジット株式会社
第二種金融商品取引業:関東財務局長(金商)第2809号
一般社団法人 第二種金融商品取引業協会 加入

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