見出し画像

【Colabo訴訟事件続編】暇空茜氏、弁護団を組織&他のフェミニスト団体とも係争開始?

(サムネイル画像:日本テレビ「HUNTER×HUNTER」111話より)

こんにちは、烏丸百九です。

既にマストドンなどでフォロワーさんにはお知らせしたのですが、ついにコロナウイルスに罹患してしまい、療養生活をしていました。
感染経路は不明で、対策を怠ったつもりもないのですが、各位にはご心配をおかけし、申し訳ありませんでした。

ようやく体調が回復してきた一方で、だけは豊富にできたので、前回取り上げたColabo訴訟騒動について、新たに入った情報などをまとめてみることにしました。経緯につきましては前回のnoteをご参照ください。

※本noteには話題の性質上、一部に性差別的な表現が含まれています。閲覧には注意してください。

1.3000万円は「巨額の寄付」と言えるか?

ここ数日で大きなニュースは、なんと言っても暇空茜氏が、「若草プロジェクト」等他の一般社団法人に関しても「ペーパーカンパニー(の疑いがある)」と言って調査を示唆したこと、Colaboに対しては弁護団を組織して逆訴訟を起こすことを提起したこと、さらにその費用としてカンパを募り、数日で3000万円を超える資金を調達したことでしょう。

これらの超強気な行動と集まった資金に関して、左派やリベラル派には「こんなに賛同者がいるなんて……」と素朴なショックを受けている人も多いようなのですが、私からすると、これぐらいの金額が集まるのは特に不思議ではないように思います。

以前、反LGBTQの陰謀論者であるマット・ウォルシュを批判的に取り上げるnoteを作成しました。

アメリカの右翼コメンテーターであるウォルシュは、自身の陰謀説を広める手段として、右派メディアのデイリー・ワイヤーの協力によりドキュメンタリー映画を一本作成しているのですが、例えばマイケル・ムーア監督の名作「ボーリング・フォー・コロンバイン」(2002年)の制作費は400万ドル(約5.5億円)と言われているので、物価の差がある現在では、ドキュメンタリー作品であっても、相当な制作費用が掛かったことが予想されます。

ウォルシュは自身の活動に当たって、右翼の金持ちやパトロンから多額の資金協力を受けていると言われており、また暇空氏のように「自分も資産家」というわけでは特にないと見られるので、少なくともアメリカ人の金持ち基準で言えば「右翼陰謀論を広めるために数億円を集めてぶち込む」のは常態的に行われている行為だと想像できます。
貧乏プロレタリア(含む>私)が多い左翼と違い、「右翼の方が資本家が多く、平均的に金持ち」なのはどこの先進国でも一緒です。

日本の例で言えば、先日国政政党に昇格した参政党は、反ワクチン派のネトウヨなどが中心になって作った陰謀論を主張する政党ですが、支持者によると既に3億円を超える運営寄付金を集めているということなので、日本にも同じような資力のある陰謀論者は一定のボリュームで存在していると考えるのが妥当でしょう。

ただ、それらを差し引いてもやはり寄付金の集まるスピードが異様に早い+暇空茜氏があくまでも一個人に過ぎないにもかかわらずこれほど話題になっているというのはあまり類例のない話で、彼と周辺の「勢い」がよくわかると思います。

参考:

2.炎上の拡大は壮大な自爆?

そんな暇空氏から「お金の匂い」を敏感に察知したのか、YouTuberなどの所謂ビジネス右翼系の人々も、積極的にColaboの話題を拡散、暇空支持を表明しているようです。彼らもまた、巨額の寄付に一役買っているのかも知れません。

暇空氏の動画を見た後で、私のYouTubeアカウントに表示された動画は↓以下のようなものがありますが、どれも殆ど同じ内容なので、見る必要はありません。サムネイルとタイトルだけ眺めてください。

唯一、独自の見解や情報を含んでいたのは、前回のnoteでも言及した山本一郎さんの動画だけでした。

「独自取材」に基づいた話のため、内容的には肯定も否定もし難いものがありますが、山本氏によると「暇空氏の弁護を多くの弁護士は嫌がっている」そうで、まあそりゃそうだろうなと思います。

そもそもの話ですが、例えば山口敬之の性暴行を訴えて勝訴したフェミニストの伊藤詩織さんのように、まず

  • 山口との裁判で勝訴(地裁)

  • →続けてはすみとしこ、杉田水脈ら中傷者へと裁判を起こす

……という流れなら、当初の裁判で「性被害を受けた」事実はとりあえず認定されているわけですから、誹謗中傷裁判でも勝てる確率は高くなります(実際完勝しました)。

しかし暇空氏の場合、

  • 本筋の仁藤氏との裁判結果が出ていない

  • それどころか名誉毀損による反訴さえしていない

段階で、いきなり「他の団体も訴えてやる!」と意気込んだとしても、名誉毀損では戦いようもないですし、何を裁判で争うのかさえ不明瞭です(Colaboと同じようにまずは監査請求をして、裁判はその後の話と考えているのかも知れませんが)。

勢いに任せて感情的に「正義を為してやる!」と叫んでも、たぶん裁判所は聞いてくれませんし、それどころか上記のような「Colaboへの中傷まがいの動画」がビジネス右翼の皆さんによって大量にYouTubeにアップロードされている状況では、「動画がアップされた原因」としての暇空氏への裁判所の心証は悪くなっていく一方でしょう。

いくらなんでも、この段階での野放図な戦線拡大は悪手中の悪手だと思うのですが、暇空氏はキメラアント編で自身の戦闘場所をとことん計算尽くで敵に挑んでいたネテロ会長に学ばなかったのでしょうか。

3.これは「政治的価値観」の争いである

ただ、「それでも仁藤氏よりは暇空氏を支持したい」という声が大きいのも事実で、実際に日本維新の会は、東京都での補助金の管理体制について「調査」を行っていくつもりのようです。

実際、世の中には「ジェンダー問題に税金を使うのは金の無駄なのでやめるべきである」と主張している人々が一定数存在しています。例えば、大学でのジェンダー研究を禁止したハンガリーのオルバン首相もその一人です。

ジェンダー研究は「税金の無駄」として排除
フォックスニュースによると、ハンガリー政府はジェンダー研究について「入学率が低く、税金の無駄」と表現。「サイエンスではなくイデオロギー」として学位の授与を禁止した。
8月にはオルバンの首席補佐官が「ハンガリー政府は、人間が男か女に生まれるという明確な見解を示している。ハンガリー国家は公的資金をこうした分野の教育に費やすことを望んでいない」と話していた。

これは2018年の出来事でしたが、当時より日本の一部の右翼やアンチフェミニストからオルバン政権が絶賛されるきっかけとなりました。

ハンガリーは他のいくつかの加盟国とともに、EUが提案した現行のロシア産原油に対する制裁を今のところ拒否している。ハンガリー政府は、ロシア産原油をやめるコストを軽減するため、数億ユーロをEUに要求しているという。EUは禁輸を実行するため27カ国全ての同意が必要となる。
オルバン氏は、最近ではLGBTQ(ゲイやレズビアン、トランスジェンダーなど性的少数者)の権利や法の支配の問題など、政策を巡ってEUと衝突を繰り返しているが、ハンガリーが北大西洋条約機構(NATO)に加盟していることの重要性が今ほど明白だったことはないと述べた。

反LGBTQ政策でプーチンと見解を同じくするオルバンは、親ロシア派としても知られており、未だにロシアの石油を輸入し続けています。「コスパ」を重視した彼の政策により、プーチンの懐は幾らか暖まったことでしょう。

こうしたネオリベ右翼的政治価値観の本邦での元祖は、維新の創設者でもある橋下徹氏が代表的でしょう。彼は2012年の大阪市長時代、「曽根崎心中がつまらなかった」という理由で、文楽に対する市からの数千万の補助金を削減しようと試みました。

こうして63年に発足したのが文楽協会だ。国や大阪府、大阪市などの助成金を受けて運営する体制が確立した。文楽は構造的に黒字化が難しい。生身の俳優より小さい人形を見せるためには歌舞伎のような大劇場での公演は難しく、料金も歌舞伎に比べだいぶ安い。

結局補助金削減はなされず、文楽に関心を持つ人々も増加したため、「結果オーライ」だったと言えなくもありませんが、たった一人の男の価値観によって、300年続く大阪文楽が消滅するかも知れない危機だったわけです。

暇空茜氏のツイート「性的に成功してない女性は全てフェミニストだよ」(ソース
暇空茜氏のツイート「女性は知的に男性に劣るっていうと女の人がバチギレするけど、プロ棋士のような到達点では生理がハンデになって劣るのは間違いない事実やろ プロ棋士いまだに女はおらんし」(ソース

今回の件に関して言えば、「フェミニストとしての仁藤夢乃に問題がある」と思っている人は彼女のColabo代表からの更迭を、「Colaboは杜撰会計で悪質だ」と思っている人は会計の是正、もしくは団体解散を求めれば良いのであって、貧困女性の保護事業や、フェミニズム思想自体を「」として糾弾して良いわけがありません。

それはオルバンと同じ極右的発想であり、また政治的主義主張として、弱者救済や福祉を否定する、ネオリベラリズム的価値観を肯定するということです。

ただでさえ景気悪化や少子化に歯止めが掛からず、特に若い女性が不利な立場に立たされやすい国家で、アンチフェミニズムを掲げる個人に「課金」することが、本当に社会を良くする役に立つのでしょうか。
そうした憎悪に基づく攻撃で、訴訟に便乗する悪質なビジネス右翼のような人々にカネを流すことによって、回り回って我々自身の首をも絞めているのではないでしょうか。

善意のお金は、「悪を糾弾する」ためではなく、自らが悩み抜き、それでも「正義」だと信じた相手に与えるべきだと思います。

私にご支援やカンパをしていただけるご意志のある方や、日本の右翼や陰謀論者に反対する方は是非↓から記事orマガジンを購入して支援をお願いします。
記事単位で購入すると、後で返金申請も可能です。

ここから先は

235字

¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?