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Plastic Tree Live Chronicle全部聴く(5)

この2枚がおそらく本ボックスの目玉だろう。

Disc 8-9 「男子限定ライブ『Boys Don’t Cry』」(2015年5月23日@渋谷GUILTY)

[DISC1]
Thirteenth Friday
涙腺回路
GEKKO OVERHEAD
みらいいろ
テトリス

リプレイ
Sink
カオスリロン
あバンギャルど
マイム

[DISC2]
ヘイト・レッド、ディップ・イット
バンビ
メランコリック
―――暗転。
puppet talk
ナショナルキッド
サイコガーデン
Ghost

プラが初の男性客限定ライブを行った際の音源。シングルの特典などで数曲映像や音源が公開されていたものの、フルで音源が発売されたのは今作が初めて。メンバーのナカヤマアキラ氏本人がエンジニアを務めた音は他の音源と比べてもまた違った迫力があり、ロックバンドとしてのプラスティック・トゥリーを強く感じさせる獰猛で攻撃的な演奏が収められている。

そもそも男の野太い歓声が上がる環境が普段のプラからすれば異色なわけだが、「あバンギャルど」のようにわかりやすくエキサイトメントする楽曲はもちろん、「リプレイ」のように弾き語りでも披露されるような柔らかい印象の楽曲でさえいかついアンサンブルが支配的であり、いかにこの空間が興奮の坩堝と化していたかが伝わってくるようだ。

選曲の面では「ヘイト・レッド、ディップ・イット」や「サイコガーデン」、「GHOST」といったわかりやすく盛り上がる楽曲を始め、個人的に好きな「GEKKO OVERHEAD」、「テトリス」といった『ウツセミ』からのギターロック・ナンバーが演奏されているのも嬉しく、また冒頭のシューゲイザー曲「Thirteenth Friday」やアルバム『ドナドナ』の中で印象的だったインスト「―――暗転。」などが採り上げられていたりと、彼らの音楽性の幅広さをフィジカルで理解できるようなセットリストだと言える。

全体的に演奏のクオリティがどうこうというより異様なテンションの高さと勢いで聴かせる音源のため好みは分かれるところだろうが、間違いなくライブ盤の名盤でありライブバンドとしてのプラスティック・トゥリーの代表作と言えるだろう。一方で別に収録されているようなオーケストラとの共演などもこなしてしまうあたりが彼らの一筋縄ではいかない魅力でもあるのだが。少なくとも他の音源が映像作品や何らかの特典として聴くことができる一方で、ここでしか聴けず、このためにファンは本ボックスセットを買ってもいいと思えるようなCD2枚。強くお薦め。

投げ銭してくれると小躍りしてコンビニにコーヒーを飲みに行きます。