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【3分でビジネス書④】言葉遣いは1日にして成らず<寄稿・前田康二郎>

こんにちは。前田康二郎です。

前回に引き続き、「3分でビジネス書」を担当させていただきます。4回に渡っての連載してきましたが、今回でいよいよ最後になります。

今回は、言葉遣いについて、お話ししたいと思います。

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これまでいろいろな職場で仕事をしてきて、とても気になる特徴の人がいます。それは、「日常的に言葉遣いがものすごく汚い人」です。

とはいっても、誰でも仕事をしていれば腹の立つことは一つや二つあることでしょう。もちろん私もそうです。いけないとはわかっていても、独り言で「くっそぉー」と言ってみたり、仲の良い人が近くにいれば「ちょっと聞いてくださいよ、本当に腹の立つことがあって…」と話しかけてみたりすることもあります。

でも、そのようなレベルではなく、常に一日中、何かあれば「くそっ」「この野郎」「むかつく」「こん畜生」「てめえ」などと言う言葉を吐き続けている人がいます。そのような人が同じ仕事場の空間にいると、気にしないようにしようとしても、やはり気になってしまい、自分の仕事に集中できなくなることがよくありました。

これだけの情報だと、そのような言葉遣いをする人は「年長者の男性」を思い浮かべる人も多いと思いますが、私が実際に経験した人に限っていえば、一人は当時の私と同じ30代の男性、そしてあとは全員女性で年齢も20代から50代までさまざまでした。
そして業種や規模に関係なく、さまざまな職場でそのような人が存在していました。

女性でも「くそ」や「てめえ」と、言うことはあると思いますが、ただ、なぜあえてそのような汚い言葉遣いを、わざわざ職場で、それも人に聞こえるように、そして日常的にしているのかということが私は気になりました。

誰が得をするのかな、誰も得をしないでしょう、と思ったのです。喋っている本人の印象も悪くなりますし、周囲の人達もネガティブな汚い言葉が常時耳に入ってくると、少なくとも良い気分にはなりません。

ある会社でアルバイトの学生に「あの人(言葉遣いの汚い人)について、どう思う?」と尋ねたら「びっくりしました。あんな言葉遣いでも社会で働けるんだって思いました」と言っていました。

皆、立場上、聞こえてきても黙っているだけなのです。そして周囲の人がそのことに対して誰も注意をしない、ということにも、アルバイトの学生は驚いていました。
私は以前仲良くなった一人に言葉遣いが気になる人がいたので勇気を出して「ちょっと言葉遣いが汚なすぎですよ!」と笑顔でお伝えしたことはあったのですが、私の前では一週間くらいは頑張って控えていましたが、結局元に戻ってしまいました。
言葉遣いは人の根幹を成すところなので、仕事上の注意と違って、注意することに躊躇してしまう人も実際には多いのではないでしょうか。

でも、そのような言葉遣いが乱暴な方達には、ある共通点がありました。
それは、社長や役員といった人達の前では、突然「普通語」になるという点です。「そんな汚い言葉遣いを職場でするものではありません」と叱られる関係性にある人の前では汚い言葉は一切吐いていませんでした。
そして社長や役員が部屋を去ると同時に「あー、マジこの資料使えねぇな」と、またパソコンを見ながら独り言を言い出すのです。

そのような人達と雑談をしていると「以前の職場で、高圧的で女性に対して差別的な男性の上司からひどい嫌がらせを受けた」ということを何度も聞きました。だから「ひょっとしたら、そのようなひどい目に遭わされた上司を、次に会ったら『てめえ、こん畜生!』と駆逐できるような強い人間に、自分はなるんだ」という心理がおありなのかな、とも考えたのですが、実際にはわかりません。

ただ、普段から言葉遣いに気を付けていないと、いざと言う時に、普段の口癖が出てしまうことはよくあります。ここまでひどい例ではなくても、普段は喫煙室や給湯室などで、高圧的で雄弁に語っている社員ほど、社外向けの会見や全社会議での発表会などでは消え入りそうな声でぼそぼそと話しているのを何度も見たことがあります。日本人だから日本語は何でも話せるわけではなく、普段汚い言葉遣い、高圧的な言葉遣いをしている人が、公式な場で、きれいな言葉遣いでいきなり流暢に話すことはできないのです。

皆さんが「自分らしくはたらく」ということをイメージした時に、その時の自分はどのような言葉遣いをしているか想像してみてください。
多くの人はきれいな言葉遣いをしている自分を想像することでしょう。

それであれば、仕事やプライベートに関係なく、普段からきれいな言葉遣いを心掛けることが自分らしくはたらくための第一歩だと思うのです。「言葉遣いは一日にして成らず」です。

皆さんは、普段どのような言葉遣いを心掛けていますか?



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