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つくば市の職員がカンボジアを「体感」ー街の未来につながる3ヶ月

今回お伝えするのは、カンボジアを舞台に実施したオンライン海外研修*です。参加したのはつくば市役所の職員7名。現地の人々と対話し、自分自身を見つめ直していきます。(*本プログラムは「オンライン型 社会課題体感フィールドスタディ」の枠組みで実施)

日々の業務に精一杯だった彼ら・彼女らは、3ヶ月にわたり「理想のつくば市」を本気で描き、実現に向けて走り出しています。その背景にあるのはカンボジアの人々から受けた刺激でした。7名はどんな経験をし、変化していったのでしょうか。 

プログラム概要

実施日時:2020年11月〜2月(3ヶ月)
開催方法:オンライン
参加者:つくば市役所より7名
現地団体:NPO法人SALASUSU

オンラインでカンボジア訪問

今回のプログラムはNPO法人SALASUSUにご協力いただきました。エシカルファッションブランドの製造販売と教育を通じて、カンボジアの貧困解決に取り組む団体です。

初日はオンラインでの現地訪問からスタート。首都から農村までの道のりを視聴し、工房との中継で現地を「体感」していきます。

使用予定の写真(SALASUSU様1)

その後、現地スタッフのレム・ヒンさんと対話を行いました。「子ども時代は教育を受けられなかったが、いまは働きながら教育を受け、自身の成長を感じている」と語るレム・ヒンさん。参加者は彼女へ質問を重ね、SALASUSUが彼女にとってどれほど大きな存在か実感していきました。

続いて、そんなSALASUSUを創業した青木健太さんと対話していきます。

"仕事を通じて、理想の社会をつくる"
最初に青木さんの仕事にかける「想い」を伺いました。

カンボジアでは、生まれた環境で教育の機会が決まってしまう。教育を受けられないと職に就けず、貧困の連鎖が断ち切れない。だからSALASUSUは生きるために必要な知識を伝える「ライフスキル教育」を全スタッフに実施している。
自分としても、誰もがライフスキル教育を受けられる社会を目指して、事業に取り組んでいる。

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理想の実現に向けて行動する青木さん。彼の姿に刺激を受け、「自分はどんな社会を目指してるんだろう?」「理想のつくば市って?」 と思い巡らせていきます。

"リーダーシップのあり方"
カンボジアでの起業・経営経験を踏まえ、リーダーシップについてもお話しいただきました。

リーダーシップって実は誰もが持っているもの。ただ、その形は一人ひとり違うんです。私はあるとき自分を見つめ直し、やっと「私らしい」形を見つけた。みなさんもじっくりご自身と向き合い、見つけてほしい

対話を通じて自分にもリーダーシップがあることに気づいた参加者たち。「私らしい形ってなんだろう」と、自分自身と向き合い始めていきます。

対話を繰り返し、内省を深める

カンボジアへのオンライン訪問で生まれた「理想のつくば市とは?」「私らしいリーダーシップって?」などの問い。その答えを見つけるため、3ヶ月にわたりクロスフィールズのプロジェクトマネージャーや他の参加者との対話を実施しました。そこでのアドバイスをもとに内省を深めていきます。

最終発表で考え抜いた成果を伝える

ひたすら自分と向き合った3ヶ月間。その成果を市長と副市長へ発表しました。以下では参加者の一人・馬場さんによる発表の一部をご紹介します。

3ヶ月で見つけたもの
プログラムを経て、リーダーシップの自覚が芽生えたという馬場さん。どんな変化を経験したのでしょうか。

私が見つけたのは「相手に寄り添うリーダーシップ」。ひとの悩みに寄り添い、頑張りを後押しする力があるんだと、気づくことができた。

このリーダーシップを活かして「誰にとっても心地のいいつくば市」を実現したい。入所当時の想いや今のモヤモヤを見つめ直すうちに「みんなが安心できてチャレンジできる。つながりがあって、居場所がある。そんな街をつくりたい」とはっきりわかった。

実現のため、まずは自分の職場から「誰もが心地いい環境」をつくり、外へ波及させていきたい。例えばいいアクションにはどんどん反応して、一緒に働く人々がベストを発揮するサポートに取り組んでいく


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そんな馬場さんに対して、市長からは

馬場さんの『寄り添う力』は天性のものだと感じていた。それに自信を持てたことが大きな変化。このリーダーシップを活かしてどんどん行動してほしいし、自分も伴走したい

とコメントが寄せられました。

担当者から見たプログラム

プログラム担当のプロジェクトマネージャー・北川はこう振り返ります。

従来のフィールドスタディは3日程で完結型が多いなか、今回は3ヶ月にわたり参加者に伴走しました。オンラインプログラムでこの形は新しく、自分にとっても挑戦に。しかし始まってみると、毎週一人ひとりが予想以上に変化し、驚きの連続でした。参加者3-4名で実施したチーム活動では、それぞれが考えや今後のアクションを共有して応援しあい、どんどん自信をつけていく姿が印象的でした。

1on1ではカンボジアでの対話を消化しつつ「理想のつくば市」を考え抜く参加者に伴走しました。そしていま、7名からは描いた理想を実現する強い意思を感じています。「自分らしいリーダーシップ」を発揮し、つくば市を変えていく姿に期待が高まります。

編集後記

プログラム担当者の北川から話を聞くうち「つくば市に住みたい!」と思うほど、市民の目線で街の未来を考える参加者に心が動かされました。それぞれが描いた「理想のつくば市」はワクワクするものばかり。実現に向けて走り出す7名と、つくば市のこれからがとても楽しみです。(広報・松本)


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