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『乃木オタ回顧録〜デビュー10周年を迎えるにあたって』#11

2014年春〜交換留学と「気づいたら片想い」


2ndバスラから2日後、乃木坂界隈はこの年最大の嵐に巻き込まれる。誰もが乃木坂史上最大のイベントの成功とその独自路線が見えてきた満足感に酔いしれていたそんな時、開催されたAKB48グループのイベント「大組閣祭り」に乃木坂メンバーやオタクは後頭部から思い切りぶんなぐられた。
「生駒里奈、AKB48兼任。交換留学生としてSKE48の松井玲奈が乃木坂46に加入。」
交換留学とは言え生駒里奈がAKB48に行ったきりではなく同時に乃木坂46の活動もする。松井玲奈も同じく乃木坂46の活動もAKB48、SKE48の活動もすると言う考えただけでも過酷なものだった。
絶対にこれ以上関わってきて欲しくないAKBグループが乃木坂に覆い被さるように大きく関わってくる事になった。せっかく乃木坂らしい路線と言うものがメンバーにもオタクにも見えてきた所だったのに!そんな思いが乃木坂界隈を覆った。
メンバーへの波紋は映画「Documentary of 乃木坂46 悲しみの忘れ方」でその光景をカメラは捉えている。暗澹たる空気がメンバーを覆っていた。自ら兼任を決めた生駒里奈は毅然と説明するのだがみんなすぐは納得できない様子。

ここから約一年間にわたり生駒里奈は乃木坂の仕事もAKBの仕事もする。松井玲奈もまた同じである。いや松井玲奈はAKB、SKE、乃木坂三足のわらじだ。

松井玲奈の乃木坂46への合流はオタクの間に大きな波紋を呼んだ。ネットでは俄かにCDの不買運動を煽るものがいたり、8thシングル「気づいたら片想い」の全国握手会ミニライブでのブーイングを呼びかけたりと殺伐とした空気が流れていた。

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「気づいたら片想い」は西野七瀬が初センター、その両脇をまたも白石麻衣と橋本奈々未がかためる。初選抜が樋口日奈、和田まあや、そして二期生から2人目北野日奈子。表題曲はミドルテンポの少し昭和歌謡感漂う切ない曲だが、このシングルのカップリング「ロマンスのスタート」は明るいノリノリのハイテンポアイドルソングでスッと耳に入ってきて一瞬で好きになった曲だ。コレぞNotスルメ曲!今でもアンコールの一曲目で会場をよく盛り上げている。
一方、アンダー曲「生まれたままで」は独特の世界観の歌詞で、当初こんなのアイドルに歌わせるんだ⁉︎と驚いたが、我が推しメン・橋本奈々未がリリースされたこの時から最後まで乃木坂46の曲の中で最も好きだと公言する曲だ。好きにならない訳はない。この時のアンダーメンバーも今では語り種の伝説の最強メンバーで、センターに伊藤万理華、その両脇が齋藤飛鳥と星野みなみ、さらに井上小百合、斉藤優里でフロントをかため、衛藤美彩や中元日芽香が2列目に、このシングルから正規メンバーとなった二期生の新内眞衣もいる。個人的にはここに橋本奈々未を持ってくれば選抜に対抗しうるアンダーではなく言わばBチームになりうるのではとさえ思っていたら、3年後橋本奈々未の卒業コンサートでそれが実現する。

「気づいたら片想い」全握ミニライブ
公式Youtubeの動画

さて、「気づいたら片想い」はまず2014年3月2日にパシフィコ横浜で開催された個別握手会会場でサプライズ披露された。この模様は「乃木坂って、どこ?」でも取り上げられたが、トレーラーの荷台をステージに披露されたため非常に無理なフォーメーションでパフォーマンスしなければならずセンターの西野七瀬は「2度とやりたくない」と言っていた。
そして翌月4月13日、幕張メッセにて行われた全国握手会ではついに松井玲奈が乃木坂46としてミニライブに登場。メンバーに加わり「気づいたら片想い」を披露した。当日は乃木坂史上でも最大級人数の集客で12000人が幕張メッセの9-10ホールに詰めかけた。懸念されていた松井に対するブーイングは、その多過ぎる人の喧騒にかき消されたか引っ込めてしまったか何事もなくミニライブ、握手会と行われた。
こうして松井玲奈と乃木オタ達の邂逅はなんとか第一段階を突破した。

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