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[機材レビュー]Ibanez AZ224F

Ibanezといえば、技巧派のギタリストが使用するRGシリーズやSAシリーズの印象が強かったが、近年ネオソウル系やフュージョン系でAZシリーズを使用しているギタリストをよく見かけるようになってきた。

ストラト寄りのボディシェイプ、シンクロナイズドトレモロブリッジ、太めのネックと、RGシリーズ、SAシリーズとは方向性がかなり異なり、どちらかというとSuhrをはじめとする近年のハイエンド系ストラトに通ずるところがある。実際に使用してみると、国内外のハイエンドギターと十分に闘える、最新の技術が盛り込まれたすごいギターだということがわかってきた。

ローステッドメイプルネックにステンレスフレット

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ネックは、近年ハイエンドギターを中心に採用例が増えてきたローステッドメイプルネックにステンレスフレットという組み合わせ。オイルフィニッシュの手触りもよく、またフレットの仕上げもものすごく丁寧で横方向の移動もチョーキング、ビブラートもとてもスムーズだ。同じIbanezのRGシリーズの薄いネックに比べると、AZのネックはだいぶ厚いCシェイプなので、最初は違和感があったが慣れるとむしろこちらの方が弾きやすいと感じるようになった。サイドポジションマークには蓄光性の素材が使われている。

GOTOH製 高さ調整機能付きのマグナムロック

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ペグは、高さを調整できるH.A.P.という機構付きの高性能なGOTOH製のロック式マシンヘッドが搭載されている。なお、購入時点で既に非常に弾きやすいテンションに調整されていたため、まだ自分で調整したことはない。

GOTOH製の専用ブリッジ

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ブリッジもGOTOH製だが、こちらはAZ専用のデザイン/スペックになっている。2点支持で可動は非常にスムーズ。アームの固定に工具が必要ないというのも良い。ただし、アームにはわずかな「遊び」があり、シビアなビブラートをかけたいような時に若干気になる。

Seymour Duncan製Hyperionと特殊配線

ピックアップには、Seymour Duncan製のAZ専用ピックアップHyperionが3機(シングルx2 + ハムx1)搭載されている。バランスの良いピックアップで、強力な個性はないがクリーンからディストーションまで、気持ちよくなってくれる。個人的な印象としては、ヘビーな歪みよりは若干マイルドなオーバードライブ気味のひずみが一番マッチするピックアップだと思う。リアのハムバッカーは適度に中音域のコシがあり、リードを弾く時にも使える。

フロントは自分の好みよりは若干マイルドな音だ。ステンレスフレット+シングルコイルという組み合わせなので、アタックの強い硬い音が出ることを想像していたのだが、比較的マイルドだ。

配線は5WAYスイッチとオルタースイッチ組み合わせで、合計9種類のサウンドが出るというかなり特殊な仕様になっている。サウンドのバリエーションが多いのは嬉しいが、複雑で曲の最中で切り替えていると迷子になる時がある。

Super All Accessネックジョイント

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RGシリーズもネックジョイント部分にはかなり大胆な加工が施されていて、ハイポジションの演奏性がとても高かったが、AZシリーズのネックジョイントはさらに大胆になっている。ボディ側にはかなり大きめのコンター加工が施されており、そのためかハイポジション演奏時のストレスがRG以上に少ない。

ワイヤレスがささらないジャック

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全体的に弾きやすさもサウンドも優秀なギターなのだが、個人的に一点困っているのがジャックだ。このギターのジャックはストラップピンの横に斜めに差し込むような形状になっている。立って演奏した際に、シールドが抜け落ちにくいようにするためのデザインだと考えられるが、残念なことに普段使用しているLine 6のワイヤレストランスミッターG10Tを挿すことができない。毎日でも弾いていたいギターなので、これは痛い。

追記: 2022/05 トランスミッターを挿せるようになる変換コネクターを見つけた

追記: 2022/10 ジャックを少し改造することでついにトランスミッターを挿せるようになった


まとめ

AZ224Fは既に生産終了しているギターで、現在販売されているのは後継のAZ226は新品で13万円前後で販売されている。上で述べた通り、使われているパーツはどれも最新のハイスペックなもので、木工にも力が入っており、フレットなど仕上がりも一流。国内外のハイエンドギターと十分に肩を並べられるようなギターがこの値段で手に入るというのはすごい。

個人的には、ワイヤレストランスミッターを差し込めない点、フロントのサウンドが若干マイルドめなことが残念だが、それでもこのギターは本当に良いギターだと思う。印象的だ。

AZには2ハムモデルや、より良い木材、パーツが使われ国内で製造されているPrestigeシリーズがある。機会があれば、こちらも試してみたいと思う。

2023.04追記 PrestigeのAZ2402を試した


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