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note版「女子プロ野球クライシス」12 選手達のアイディアを実現!


選手からのアイデア

 
 
私が女子プロ野球を設立する
と決めたのは

収益を上げたいとか、儲けたいとか

そういった考えからではありません。


野球を愛する女の子たちが

安心して大好きな野球を続けられるような
世界を、野球を諦めなくてもいい世界をつくるためです。

その大きな信念から
逸れることはしたくありませんでした。


なので、特に何を押しつけるつもりもなく、

当事者である選手たちは何が嬉しいのか


彼女たちなりのアイデアを
積極的にだしてほしい。

と片桐理事長に伝えたところ、


早速、いろいろと案をだしてくれました。


「試合の後にお客さんとハイタッチしたらどうかな」

「球場の掃除は自分たちでする?」

「この辺、毎週清掃活動してるんだって。参加してみない?」


「やっぱりアイドル的な、なんとか48みたいなのがあるといいかもね」


片桐理事長は選手たちの

積極性、主体性

を嬉しく思い、

可能な限り全てを実現させようと
動いてくれました。




しかしメディアは


ボランティアや清掃活動など、
彼女たちが行ってきた温かい活動については
ほとんど取り上げずに


「女子」


を前面にだした活動ばかりを
大きく報道していました。


一般大衆向けのメディアとは、


そういうものであること


を、ここではじめて知りました。


ほかにも選手たちは

「動画配信」や「観客とのキャッチボール」

などさまざまな提案をしてくれました。


これほど主体性を持って取り組んでくれているみんなの行動に水を差すのはよくない、

と思った私は


現場のことにはあまり口を挟まず、
自由にやってもらっていました。

 
だからこそ

これまではその手の運営批判には
あまり反応してきませんでした。

「あれは選手たちが言いはじめたことです」

なんて言い訳めいた反論をすることは  

せっかく考えてくれた選手たちに
申し訳ないし、それによって
女子硬式野球を盛り上げたいと
頑張ってくれている
選手たちのモチベーションが下がることも
嫌だったからです。

ただ、

当の選手たちはというと、
竹を割ったような性格の人が多く

「苦情なんて気にしないでくださいよ! 
ある意味注目されているんですから
結果オーライでしょう!」

と驚くほど
あっけらかんと笑い飛ばしてしまいます。

その反応を見るたび私は、

私などより彼女たちの方が
よほど強い心を持っているんだな、

と思うのでした。

 

 
女子硬式野球名物の誕生

 

「観客をどう増やすか。
みんな、何か案はある?」

女子プロ野球の選手たち、
女子プロ野球機構のスタッフ。

ほぼ毎日みんなで集まって
アイデアをだし合っていました。

さまざまなアイデアが
でては消え、でては消え……。

そんなとき、

選手から提案があったのが、


「ダンス」でした。

「ダンスはどうですか?」

「いいですね! 運動にもなるし!」


サクサクと話は進んでいきます。

選手の一人がすっくと立ち上がると、
他の選手もそれに倣いました。

決して上手ではありませんが、
元気で素朴な、明るいダンスでした。


なるほど
これが今のダンスなのか。


見ている私たちまで元気を貰えるものでした。


「こういうダンスをね、
試合がはじまる前と、後で踊るの。どう?」

「一体感が生まれていいんじゃない?」

選手たちの言葉に、
スタッフも顔を見合わせました。


「これはアリかもしれませんよ」

「ただ座って試合を見ているだけより、
誰もが参加できる方が楽しいと思います」

「小さい子からお年寄りまで覚えられる
簡単なものならどうでしょう」


そんな提案に対して

私はどちらかというと
乗り気ではありませんでしたが、

せっかく選手たち自身が
お客様を楽しませたい

と思って提案してくれているのを
無下にすることもはばかられます。

「みんながやりたいのであれば、
そのダンスを採用しよう。
新しく入ってくる選手や、
私のようなダンス未経験者、
お客様でも楽しめるような、
簡単なものにしてね」

選手たちはワッと楽しそうに笑いながら、
ハイタッチをしていました。


「女子プロ野球とは、こうあるべき」


という指針がない中

何もかもが手探りで、
何でもやってみよう精神で
試行錯誤している時間は、

大変でしたが楽しくもありました。
 

こうして、

女子プロ野球名物

となった球団ごとの
応援ダンスは誕生しました。


 
荒唐無稽に思えることも、

選手、運営、

そしてお客様が楽しんでくれるのであれば、

それは
「女子プロ野球」の正しい姿なのだ、
と思っていました。
 

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ここだけ! Note版 特別コメント

女子プロ野球リーグ2期生として入団。

現在も女子プロ野球選手として活躍。

2015年シーズンでは
角谷賞(MVP)受賞経験もあり、

昨シーズン

最多勝利投手賞
最高勝率投手賞
最多奪三振投手賞

3部門でタイトルを受賞。

今シーズンからは
愛知ディオーネの選手兼任コーチとして
更なる活躍が期待される
植村美奈子選手!


実は・・・!

女子プロ野球界ならではの

【勝利ダンス】

の振り付けも担当しているんです!

そんな植村選手から
【ダンス】についてお話を伺いました。

 
《植村選手コメント》

 
私は試合後の【勝利ダンス】の時に
必ずスタンドを見て踊っています。

ずっと応援してくださっている
ファンの方と一緒に笑顔で踊ることで
より一体感を感じているからです。

スタンドにいる子どもと目が合って
一緒に踊ってくれた時は本当に嬉しくて
こちらも笑顔になってしまいます。

 
私が振り付けを担当したのは
2014年~2016年の3シーズンです!

球場には様々な年代の方が来られるので

1 誰でも簡単に覚えられる

2 一緒に踊れる

ということをいつも念頭に置いて
考えるようにしていました。

 
こうやって野球だけではなく
ファンの方と交流できているので、
素直に楽しいんですよね!