見出し画像

3分で読める 2023年 建設業界動向予測

クラフトバンク総研

「2023年の建設業界の景気、受注、倒産、人材採用の動向はどうなるのか?」

2020年から始めたクラフトバンク総研の「建設業界予測年始レポート」も3年目。これまでも大手ゼネコンから中小の建設会社まで多くの方に読んでいただいています。今回も、2022年の振り返り→2023年の業界動向予測を3分で読める範囲でまとめました。

2022年→2023年の業界動向

住宅業界についてはこちら

2022年:建設投資が増え、倒産が増え、建設業就業者は高齢化

建設投資(受注)はコロナ禍から一服

国土交通省の発表する「建設投資」「建築着工統計調査報告」を見ると、建設投資は民間非住宅を中心に2021年比で若干増加見通です。公共工事は減りましたが、工場や倉庫などの民間非住宅需要が回復しています。コロナ禍で止まっていた投資が再開したことが影響しているほか、建物補修投資が増加しています。

国交省 建設投資実質値(年度、2022は見通)

他方、住宅は全体ではやや増加(2022年10月までの新設住宅着工の対前年同期間比)。持家(注文住宅)が減少し、分譲(分譲戸建やマンション)、貸家が伸びています。

倒産件数と建設業就業者の高齢化

コロナ禍も落ち着き、建設投資と新設住宅着工が伸びているなら受注も増え、景気は良くなったのでしょうか? 建設業の倒産件数に目を向けると、2022年は倒産件数が増えています
東京商工リサーチの2022年11月までの建設業倒産件数を見ると、2022年は11月までの対前年同期間比、倒産件数+13%資材高騰、職人不足、後継者不足、コロナ関連融資の返済開始などが要因です。

建設業 2021年→2022年月別倒産件数推移/東京商工リサーチ

倒産増と同時に、建設業で働く人の高齢化も進んでいます。総務省労働力調査を見ると、既に2021年度時点で「6人に1人が65歳以上」の状況で、この「65歳以上」の比率は東京、大阪、名古屋などの三大都市圏を離れるほど高くなっていき,、北関東・甲信、四国は特に高齢化が進んでいます。
建設投資の増加に対して現場の高齢化、若い人材の都市部流出が進んでいることで職人不足は生じています。

地方ほど「業務をデジタル化して若い人材を惹きつける」「生産性を上げる」「若い協力会社を探す」行動が不可欠です。

建設業就業者の地域別年齢構成(2018年時点)

資材高騰を受け、今期は大手企業の決算も「増収減益」であることが多いです。ウッドショックは落ち着いたものの、ガラス・セメント等の資材が高騰し、利益が出にくい構造になっています。
ハローワークにおける建築・土木・測量技術者(常用・除くパート)の有効求人倍率は6.68倍となっており、採用難も進んでいます。
「受注よりも利益と人材の確保が難しい」状況です。

このように、2022年は

「建設投資は増えているが、倒産も増えている」
「背景には資材高騰と職人不足、コロナ融資の返済再開等がある」
「受注から、どう利益・人材(社内も協力会社も)を確保するかに頭を切り替える必要」
「地方ほど業務をデジタル化して若い人材を惹きつける工夫が大切」

とまとめることができます。

2023年:さらに倒産が増え、職人は不足し、受注と人材は特定の会社に集まる

では、2023年はどうなるのでしょうか? 残念ながら2022年以上に倒産件数は増え、職人不足が進むと予測されます。協力会社が見つからない、職人がいないことによる受注機会の逸失や工期遅延も増えるでしょう。

先程の倒産件数の推移を見ると、3月、6月、9月、12月の「3の倍数の月」に建設業の倒産が増えています。複数の専門家が「2023年3月に建設業の倒産が増える」と予測しています。4~50社に1社のペースで廃業・倒産すると考えましょう。協力会社の数が減ればその分、元請の売上は減ります。

職人不足は加速します。2023年10月にインボイス(適格請求書)制度が導入されます インボイス制度は「一人親方」と呼ばれる個人事業主に特に影響します。インボイス制度対応は法人では進んでいますが、個人事業主は2022年9月時点で12%しか制度対応していません。制度開始後、約1割の一人親方が廃業を検討しているそうです。
50万人以上いるとされる一人親方の24%が65歳以上であり、インボイス制度導入が無かったとしても引退が迫っています。「いつまでも高齢の一人親方には頼れない」と考えるのが良いでしょう。

「発注者と受注者が直接つながる」弊社のマッチングイベント「職人酒場」に大手も含め多くの方が参加されているのも、協力会社の確保ニーズが年々高まっているためと考えられます。

クラフトバンク職人酒場の様子

では、「建設業はどこも苦しい」のでしょうか? 当総研の見解は違います。「自社の営業エリアは人口が減っているのに、不思議と売上が増えている」という報告が弊社に相次いでいます。

実際に当総研では建設会社のコンサルティングも行ってきましたが、今期決算が「増収増益」という会社も多いです。大手ではありません。地方の「下請」と呼ばれてきた塗装会社、設備会社などです。「倒産・廃業した会社から仕事が流れてきた」「他業種のノウハウも取り入れてまじめに経営してきた」ことで業績を伸ばしています。業績が伸びている会社はSNS等で口コミが広がり、人材も集まっています。

建設投資が増えながら倒産が増え、就業者は高齢化しているため、「工事ができる会社」「若手の採用・定着が進んでいる会社」は希少な存在になっています。これまで進んできた「二極化」がさらに加速するでしょう。
単純計算ですが建設投資額を建設業許可業者数で割り算した「1社あたり建設投資」はこの10年で1社あたり約2億円から2.7億円に増加しているのです。

他にも2023年のインボイス制度導入に加え、2024年電子帳簿保存法、2024年時間外労働上限規制などもあります。特定建設業は下請に対して法令遵守の指導が必要なため、法令を守れない、コンプライアンス意識の低い会社に大手は発注しなくなります。

まとめ:建設業は成長産業、ただし…

当総研ではあえて「建設業は成長産業」「ただし、その成長の恩恵は一部のまじめな会社に集まり、受注と人材は集約される」とゼネコンの安全大会やセミナー等でもお話しさせていただいています。
建設業成長のポイントについては弊社セミナーもしくは直接お問い合わせください。

クラフトバンクでは様々な工事会社の経営相談に乗っているほか、経営に役立つ成功事例のセミナー情報等をメールマガジン等を通じて配信、ご要望ある先にはコンサルティングも行っています。税理士法人社会保険労務士法人中小企業診断士保険代理店など建設業に強い専門家の紹介も可能です。

お気軽にお問い合わせください。初回相談は無料です。

この記事を書いた人:髙木 健次(クラフトバンク総研)

著者プロフィール


【講師のご依頼に関して】

【コラム等連載実績】

【業界リーダーに迫る】

【関連記事】


この記事が参加している募集

振り返りnote