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臨時号:3分で読める住宅業界とウッドショック(2021年5月末時点)

2021年3月ごろから住宅業界で「ウッドショック」についてよく聞くようになりました。本記事では、2021年5月時点の大手企業の動向、政府の支援制度等をまとめています。

1.ウッドショックって何?

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筆者が保育園で実際に聞いた話です。この例のように生活の中でもウッドショックの影響を聞くことが増えてきました。

ウッドショック:
住宅用輸入木材が不足し、戸建住宅の工期遅延、価格高騰が起きる現象で、今年3月くらいから影響が出始め、住宅に関わるハウスメーカー、大工、設備メーカー、商社等に波及
今後は国産材確保が各メーカーポイントになる

新建ハウジングが2021年4月に行った臨時アンケートでは既に56%の住宅関連事業者に影響が出ているとのことです。

農林水産省木材価格統計調査のデータを見てみましょう。

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製品(杉正角乾燥材)の場合、4月1か月で前月比13%の価格上昇が起きています。5月以降の推移がポイントになりますので、引き続き動向は注視します。

現場への影響です。大きいのは「木材が仕入れられず家が建てられないこと」次いで、「価格上昇分をどこが負担するか?」「住宅の買い控え、新築住宅着工への影響」です。図にすると以下になります。

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土地を含まない住宅価格に占める木材の価格は1~2割と言われています。その分が今回のウッドショックで影響を受けると言われています。

2.上場企業の動向

オープンハウス、ケイアイスター、三栄建築設計は国産材を製材工場から商社、問屋を通さず、直接購入を行う団体を本年4月設立しました。今後、同団体への加盟企業を拡大していく方針とのことです。

オープンハウスは第2四半期決算で「ウッドショックが業績に与える影響は軽微」と述べています。

大建工業は約70億円を投資し、北海道に新工場を建設、2024年めどに国産材の増産体制を強化します。

住友林業の見解
輸入材「夏ごろには輸入木材の需給も緩和すると考えていたが、コロナ禍でも好調を続けてきたアメリカの住宅建設がそのまま維持されている。資材高、供給不足は夏場を超え、年内いっぱい続く可能性が高い」

国産材「山林所有者は高齢者が多いなどの理由から、現状では伐採意欲に繋がっていかなく、短期的に木材調達の安定や価格低下につながる可能性は低い」

ポラテックの見解
「それほど心配していない。理由はこれまでのウッドショックと呼ばれる事態は、数カ月単位の比較的短期間で収束しており、今回もその轍を踏む可能性がある」

三井ホーム
「年間でまとめ買いしていたため、現状で大きな影響はない。数カ月先まで手当てできている」

LIXIL瀬戸社長
「6―7月に小規模の工務店で木材不足の問題が顕在化する懸念がある」

大和ハウス、積水ハウスは住宅値上げに踏み切っています

3.政府の支援策

2021年5月17日時点の国交省の通達では、日本政策金融公庫等で、ウッドショックの影響で資金繰りが困難になった工務店等からの相談を受け付けるとのことです。工務店に対する資金繰り支援は、特別枠(新たな助成金等)などを設けるのではなく、通常の制度の範囲内で行うとなっています。

新たに助成金情報等が出れば当総研のnoteやSNSでも発信します。

4.原因といつまで影響があるのか

日本の住宅木材は6~7割を輸入材料に依存しています。米国、中国ではコロナ禍をきっかけに戸建・DIY需要が高まり、2020年7月ごろから木材の消費量が増加、価格が上昇していました。2021年からその影響が日本にも波及しています。そのため、各社国産材の確保を図っています。

林野庁の見解は「2021年中は影響が及ぶ」というもので、2021年の新設住宅着工への影響が懸念されています。

5.今後どうなる?

2021年が始まるタイミングで当総研では動向予測を出しています。そこで、2021年は「過去最高益」と「廃業・倒産増」が同時に起こる「上り坂と下り坂の混在」が起きると予測し、2021年はこの二極化の分岐点とまとめました。ウッドショックはこの「上り坂と下り坂の二極化」を加速させるものと考えられます。

コロナ禍で建設投資額は減る一方、建材の価格は上がっているため、商社、ハウスメーカー各社でその価格転嫁が出来るかどうかで経営が左右されます。また、木材の調達ができるかどうかで今期の決算は左右されるでしょうし、工事会社や職人も「木材の調達ができない元請」に見切りをつけていくでしょう。

また、建材価格の上昇を受け、生産性向上の必要性を感じ、DXを進める企業も出てきています。デジタル化の有無による1人当たり生産性の差は最大146万円/人です。アナログ運用で生産性の低い企業はコロナ禍・ウッドショックで苦しくなるでしょう。(近日中に建設DXに関する記事を更新します

6月には上場各社の決算が出揃いますので、そこで政府統計も合わせて分析記事を公開する予定です。

6.今できる対策

施主との合意書等のサンプルが無償で新建ハウジング上に無料で公開されています。

この記事を書いた人:髙木 健次(クラフトバンク総研)

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クラフトバンク総研は、「Construct the Connection」をテーマに、民間建築業界のいまとこれからを研究・発信してまいります。 建設系専門紙で連載中 https://chikalab.net/rooms/112