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建設DX特集 ~ ①どこから手を付ける?

コロナ禍をきっかけに「DX=デジタルトランスフォーメーション」という言葉を各所で聞くようになりました。
・DX関連のメールがたくさん来るけど…
・ITツール導入のことなの?
・どこから手を付ける?等
DXという言葉が広がるにつれ、内容が肥大化し、混乱されている方もいらっしゃると思います。本連載では「施工会社発のIT企業」であるクラフトバンクが「建設DXのほんとのところ」を国内外の事例、自社の経験や様々な統計を踏まえてお伝えしていきます。

第一回は「DX=ITツール導入?」「どこから手を付ける?」です。
住宅関係で深刻な問題となっているウッドショックとの関係にも触れます。

1.「DX=ITツール導入」なの?

DXは「紙やハンコの廃止」等の「IT化」「デジタル化」だけではなく、もっと大きな範囲で企業や組織の変革を想定した言葉です。経済産業省の定義を確認してみましょう。

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しかし実際は、本来の定義では無く「DX=ITツール導入・活用」の意味合いでも使われており、混乱を招いています。「ツールを販売したい会社」の「営業トーク」になっているとも言えるでしょう。
ITは直ぐに問題を解決してくれる「魔法の杖」ではありません。
売上の確保、人材の採用や定着等、建設業が抱える課題は複雑で、「ITツール導入」に加え、人事制度の見直し、業務の棚卸等の「人材・組織」への根気強い対応が不可欠です。

筆者はDXを

「ITをきっかけにした地道な組織・業務全体の見直し」
「”昭和のやり方”から”令和のやり方”への世代交代の一環」

と整理して経営者の方にお伝えしています。

2.どこから手を付ける?

では、どこから手を付ければよいのでしょうか?

「取引先や顧客対応(社外)、働き方改革対応(社内)の二点から考える」
「まずは業務の棚卸から」

と筆者は整理しています。具体的には、以下二つです。

①取引先、顧客からオンライン商談やクラウドを活用した契約等を求められたのに、対応できず、機会を逃す「もったいない」事案は起きていないか
②3年後に迫る「働き方改革関連法対応」に向け、社内の人事制度や業務の棚卸が出来ているか

①売上:大手企業、行政、顧客のオンライン化に対応できているか?

DXを推進されている仙台の工務店、株式会社あいホームの伊藤社長は著書の中で「オンライン商談が月5回以下の工務店経営者はコロナ後の経営においてハンデを抱えている」と指摘されています。

コロナ禍をきっかけに建設業でもあらゆるプロセスがオンラインになりました。例えば、

・一部の大手企業では取引先の与信審査項目に「ITへの理解度」が追加
・元請の指定するITツール導入が協力会社会に加入する条件になっている
・各種助成金の申請はオンライン申請が前提
・住宅やリフォームを検討する顧客はまずホームページ・SNSで情報収集
・商談や面接はzoom、teams等のオンラインに移行
・人材採用のプロセスのオンライン化(リアルイベントの中止等)

「FAX必須」「zoom出来ない」「未だにガラケー」と言っている組織はビジネスにおけるチャンスを逃しています。取引先の与信審査で減点される等して、売上に影響しますし、採用においてもハンデを負います。技術力・実績のある会社であれば「もったいない」ことです。「もったいない」が起きていないかの棚卸が求められています。

既に大手各社は顧客対応を全国でオンライン化しています。

②2024年4月に建設業にも適用される「働き方改革関連法」

2019年4月施行の働き方改革関連法に伴い、時間外労働の上限規制が見直され、3年後の2024年4月から建設業にも適用されます。違反した場合は、刑事罰の対象になります。悪質な場合は違反企業の名前が公表されるなど、事業継続が困難になることも考えられます。

建設業の現場は「紙と電話」のアナログ運用と長時間残業・休日土日出勤の勤務体制が多く残っています。業務と人事制度の「棚卸」を行ったうえでITで効率化できるところは効率化し、「採用できる会社」「人が辞めない会社」への体質改善を残り3年で目指す必要があります。棚卸無しにツール導入ありきで進めてしまうと、本来の目的が達成できなくなってしまうこともあります。
また、法改正に関する政府の情報発信もオンラインに移行しています。(当総研では法改正に係る情報発信もしています)

建設業は発注側にも高度なスキルが必要かつ「発注者要因」のトラブルも多いので、特定の発注者への依存を見直すことも場合によっては必要です。既に「下請による元請の選別」を進めている会社もあります。

補足:DXは最大146万円/人の生産性の差に

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先述の働き方改革とも関連しますが、DXは労働生産性に影響します。一人当たり労働生産性(付加価値額)とデジタル化の関係性で見ると、上記の図のように最大で一人当たり146万円の差(28%)になります。
アナログな会社はデジタル化の進んだ会社の約3割、一人146万円分多く働かないと同じ付加価値(≒粗利)を生み出せない、ということになります。ウッドショック等の影響で建材の価格が上昇する中、この生産性の差は経営に大きく影響します。

建設業は「紙の請求書の郵送」「移動時間」「手戻り」のように「付加価値を生まない施工以外の業務」が多いですが、この施工外の業務の差が、付加価値の差の要因と考えられます。

建設業は他産業より年間出勤日数が29日多く、採用候補者に敬遠されがちですが、給与水準や正社員比率はコロナ禍の影響を受けている観光、飲食等の他産業より高いという特徴があります。労働環境の改善は採用競争力に繋がっていきます。DXを推進できる有力な人材を採用できれば、さらに改善は進み、競争力が強化されていくでしょう。
(参考:国土交通省 建設業における働き方改革、厚生労働省 毎月勤労統計調査)

次回は、「どこから手を付けるか」より先に進んで、具体的な施策(人事制度変更、採用力強化、ITツール導入の組み合わせ)と推進時の課題についてです。

弊社では初回無料で建設業経営者のDXに関する相談をお受けしております。

この記事を書いた人:髙木 健次(クラフトバンク総研)

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クラフトバンク総研は、「Construct the Connection」をテーマに、民間建築業界のいまとこれからを研究・発信してまいります。 建設系専門紙で連載中 https://chikalab.net/rooms/112