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建設DX特集② ~ 具体的に何をする?

コロナ禍をきっかけに「DX=デジタルトランスフォーメーション」という言葉を各所で聞くようになりました。本連載では「建設業発のIT企業」であるクラフトバンクが「建設DXの実際」を国内外の事例や様々な統計も踏まえてお伝えしていきます。
前回
・DXって結局何??
・なぜ必要なの?
ウッドショックを始めとする資材高の関係
・デジタル化への取り組み有無で生産性が146万円/人違う
といった内容でした。
第二回は「具体的に何をする?」「課題は?」です。

1.DXって具体的に何をする? ~ まずは人から

建設業の課題は大きく「人手不足」と「デジタル化の遅れ」の2点です。
「人手不足」は社員の採用と定着(内部)と協力会社の確保(外部)の2つの視点があります。
建設業の場合、社員、協力会社の数は売上に直結し、「人手不足=売上減」であると言えます。「人の問題」が建設業経営者共通の悩みです。

「人手不足」と「デジタル化」は密接につながっています。
不動産業の一人当たり生産性は建設業の8.5倍とも言われています。他産業がデジタル化によって「働き方改革」を進める中、若い人材は建設業に魅力を感じるでしょうか?
取引がコロナ禍をきっかけに次々とデジタル化していく中で、「紙とハンコ」を強要する建設会社に協力会社は集まるでしょうか?協力会社が集まらずに売上が減ってしまった「元請」もあります。
DXはこの「人手不足」対策を目的として進めていく必要があります。

具体的な考え方は以下の通りです。

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具体的な施策を整理したのが以下の図です。

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①労働環境の整備
「人が採用できない」「定着しない」という声は多いですが、「採用できるレベルの"最低限"の労働環境」は整備できているでしょうか?求職者が他社、他業種と比較した時にどう見えているでしょうか?多額のコストをかけて採用広告を打っている会社もありますが、並行して人事制度の変更や組織風土の見直し、社内業務のデジタル化を行うことが重要です。

②社内業務の棚卸

建設業は「暗黙の了解」が多く、様々な"仕事の決まり事"が文章になっていないことが多いです。「いつものアレで!」「はい分かりました!」と数百万円の受発注が電話とFAXで成立することもありますが、結果、齟齬が生じて修正が生じるなど非効率な進め方になっています。また、「暗黙の了解」に依存した仕事の進め方はベテランから若手への技能承継とデジタル化の妨げになります。

まずは社内の業務を文章化する「業務棚卸」の実施を弊社では各社にお勧めしています。その上で、ワークフロー、新しい設計ソフト導入等のITツール導入による業務改善(紙の稟議書、FAXの撤廃、設計の効率化)を行っています。業務棚卸が無いままITツールだけ導入しても、ほぼ「持ち腐れ」になり、「もったいない」ことになるでしょう。

③社外とのやり取りのデジタル化

コロナ禍をきっかけにオンライン会議の導入、リモートワーク、オンライン契約など社外とのやり取りは変化しました。取引先の与信審査において「ITへの理解度」を追加する大手企業もある中、デジタル化に対応していないと取引に支障が出るレベルになっています。協力会社も大手との取引の中でITへの理解度が上がっています。「元請」の②の業務棚卸において「デジタル化未対応による取りこぼし」が起きていないかの点検が必要でしょう。
なお、助成金に関する情報発信や申請といった行政関連のやりとりもコロナ禍をきっかけにデジタルへの移行が始まっています。

2.課題は? ~ お金より人の問題

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DXを進める上での課題はなんでしょうか?
中小企業白書を見てみると、各社
「アナログな文化・価値観」
「目的・目標が定まっていない」
「組織のITリテラシー不足」
といった課題に直面しています。
「資金」を挙げる会社は11.6%しかありません。ITツールがSaaSを中心とした「安くて大企業と同レベルのもの」に移行し、DXは「お金よりも人間の理解の問題」になっていることが分かります。しかも、ITツール導入は助成金対象になりますので実際の資金負担は少ないです。

「日本の大企業でDXに成功している企業は14%」
大手企業対象の調査結果です。この成功率の差も「人間の問題」です。先送りする、やる前から諦めているなどの体質の問題もあるでしょう。
DXは「今日の売上」に直ぐに繋がりません。ITに長けた若手や外部から採用した人材が活躍できるよう人事制度や業務を見直しますので、ベテラン社員の「着いていけない」という抵抗も想定されます。「慣れてないから少しずつ」と現場が言ったとしても、「働き方改革関連法」の法改正は3年後に迫っています。

そういった現実を踏まえても筆者は「中小企業こそスピード感を持ってDXに取り組める」と考えています。大企業は関係者も多く、大規模な基幹システムが導入されていることも多いため、調整に多大な時間がかかります。中小企業は経営陣の覚悟と判断一つで様々なことにトライできます。

弊社では「人が採れる環境づくりと業務棚卸」から関与する建設業向けのDX支援を行っています。前身の施工会社で人事制度の変更など様々な施策に実際に関与してきたメンバーが、建設業に即した支援策を具体的にご提案しています。

次回は、先行する海外の事例を見ていきます。

この記事を書いた人:髙木 健次(クラフトバンク総研)

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