WS事前メモ(山﨑美穂)
中心議題 : 展示はあったといえる or いえない??
今回の私のポジション :
・ 色々考えたけれど、あえて専門的なことは置いておく。ゼロから考える。
←専門家の視点については、野元さんからの提供を当て込む。
・ 私の意見としては、展示はあった。ただ、それは、本来成立するはずだった展示が成立しているというのとは別の意味での展示である。
概要 :
黄金町でのアーティスト・イン・レジデンスの成果展として2つの出版レーベルと共同で展示をすることになっていた。
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新型コロナウイルス感染拡大予防のため、展示は中止されることとなった。
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要は、展示会場 (室内) に人間が集まることが問題。
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会場 (室内) に人が来ない展示を行えばよい。
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会場に人を入れない展示を行った。
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人が入れない場所でものを展示している状態は「展示」といえるのか。
展示品 (作品) が見られないという事実をexposer (展示/暴露) した。
←フランス語のexposerには、展示するという意味と暴露するという意味がある。
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新型コロナウイルスのせいで展示品 (作品) を見せられないという事実をexposer (展示/暴露) した。
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ひいては、
黄金町に新型コロナウイルスが持ち込まれても不思議ではないと皆が認識しているという事実をexposer (展示/暴露) した。
この図式は
とかとも似ている気がする。
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12組のアーティストが福島原発の事故により帰還困難区域に指定された場所で展示→差し当たりは、放射能のせいで誰も見られない→放射線量が低下し、一般人の立ち入りがOKになったときに初めて作品が公開されることになる。
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[類似点]
・ 誰も観に行けないということが、危険なものが「そこ」に存在している/存在するようになる可能性があるという事実をexposer (展示/暴露) している。
[相違点]
・ 今回の東地さんの展示の場合は、残念ながらコロナが終息する前に会期が終わってしまった。
・ 会期を通じて、外から展示の一部は見ることができた。そして、そこに確かに展示はあった。
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この展示は
新型コロナウイルスのせいで展示品 (作品) を見せられないという事実をexposer (展示/暴露) したと同時に、
新型コロナウイルスが存在しているかもしれない環境の中で展示品を作ったり設置したりした人間がいたという事実をexposer (展示/暴露) した。
←展示品を作ったり設置したりすること=目に見えるものを作るアーティストにとっての「日常」
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非日常空間 (新型コロナウイルスのせいで当たり前の安全が保障されなくなった空間) の中に (アーティストである一個人の) 日常をexposer (展示/暴露) する展示だったともいえる。
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ここで、思った & 連想したことを…
・ 展示行為が持つ意味合いの反転 : 本来、普通の空間 (日常) のなかに非日常を呼び込むのがアートの主たる役割なはず。それが逆になった。
・ 日常風景は、取り出して非日常空間の中で展示すると異様に見える。
←(個人的な記憶ですが) 京大でイベント (非日常) があった際に、京大付属の「吉田寮」なる大学寮の日常をその住人が戸外で再演していたのを見たが、とてもシュールだった。
←現代アートでいえばリクリット・ティーラワニットなど
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