見出し画像

#8:『文化レベル』なるもの

茨城は文化レベルが低い、という話を茨城の人が言っていた。
地方によくある『自虐』というやつだ。

15年以上茨城に住んでいる僕は、話の流れから彼の言わんとしているところを理解しながら、どうも賛同しきる気分になれず、歯に物が詰まった言い方で「はあ...」と答えた。


『文化レベル』とはなんだろう。


僕のなかでそれは、例えば恋人と映画館に行ったときの帰り道に「さっきの映画、○○がよかったよね」「でも○○の描き方はちょっと疑問だなあ」といった感想が言い合える、そんな事のように思う。自分なりの感想が自分の言葉で言えたり、相手の感想を聞いて違いを受け入れたり議論したり。さらにそこで新たな気づきがあったら、それは『映画に対する文化レベルが高い』と言えそうな気がする。


とすると、『文化レベル』なるものを上げる行為というのは自分なりの感想を持って他人の意見を聞く行為なのかもしれない。

そして、それを妨げるのは「映画とか詳しくないし、」といった具合で何も言えないことだと思うので、「詳しくないなら発言するな」という圧力を心に感じてしまうような社会状況があるなら改善する必要があるかもしれない。



読書感想文が学校教育で必要かどうか、という議論を耳にした。

僕も夏休みの宿題で出された読書感想文が嫌いだった。読書は好きな方だったのに読書感想文が嫌いだったのだから、確かに課題として欠陥があるような気もする。

嫌いな理由が自分なりの感想が持てないという場合は、なんとなくいいなと感じたものを誰かに勧めるのを想定するのがいいかもしれない。そのほうが、『誰に』『何を』勧めるかを考えることで自然と『どうやって』を作りだしそうだ。読書が苦手なら別の好きななにかから始めてもいいと思う。


人に何かを勧めるメソッドを身に着けることで、その分野の『文化レベル』なるものは上がるのかもしれない。


当然、最初に例にした二人は映画を専門的に学んだわけじゃない。良い映画とはなにかといった正解は分からないと理解しながら「こうしたほうがいい」と言う。そのためにはある種の『無責任』を自然と受け入れているように思う。


『無責任』は当事者でないからとれる非当事者の重要な役割だ。




こちらの記事を面白いと感じて頂けた方は「♡マークのスキ」を押していただければ幸いです。(スキは非会員でも押すことができます)
また、フォローやシェアも大歓迎でございます。今後もnoteを通して皆様と交流できれば幸いです。

こちらの記事は、noteマガジン「蝉爆弾」(全8話) のひとつです。
2020.10.15~12.3の間、毎週木曜日にひとつずつ更新中。

↓↓↓ぜひtwitterやinstagramのフォローもよろしくお願いいたします!↓↓↓

twitter @crevasse_books
instagram @crevasse.books



こんにちは。crevasseの大滝です。よろしければサポートをお願いします。サポートしていだだくと、しばらくの間サポートしていただいた人に思いを馳せます。