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スウェーデンでは何料理を食べるべきか-人口構成の観点から考える-

街中でランチのお店を探しているときにふと東京に比べてやけにレバノン料理のお店が多いことに気づきました。そしてお店が多く競争があるためかレバノン料理店は美味しいお店が多い気がします。

何故レバノン料理のお店が多いのかと気になりスウェーデンとレバノンの関係を調べたところ、レバノン内戦の影響で1970年代・80年代に多くのレバノンの方が移民としてスウェーデンに移住してきていることがわかりました。2021年時点では約30,00人(全人口の約0.3%)のレバノン出生の方がいらっしゃいます。

このことよりスウェーデン国内の出生国別の人口構成を調べることで、スウェーデンにおいてどの国の料理が美味しいかわかるのではないかとの考えに至り、データを見てみることにしてみました。

実際に美味しいかは、実地調査が必要かつ個人の好みの問題もあるため、この記事では下記3ステップで美味しい料理の候補国を出すにとどめます。(今後候補国の料理を食べに行ったら都度記事にしようと思います。)

  1. 2021年時点で国内人口に占める人口割合が相対的に大きい国を抽出(A)

  2. (A)の内過去20年間で急激な人口増加がない国を抽出(B)
    食文化の醸成には一定の年月がかかると想定できるため

  3. (B)の国をgoogle mapで検索して10件以上ヒットする国を候補に認定

1. 人口割合が相対的に大きい国の抽出

まず相対的に大きいの基準を決めるために、出生国がスウェーデンでない方がどのくらい住んでいるかを調べてみました。

図1は出生地域別の人口割合を示したグラフです。これを見ると約8割の人がスウェーデン生まれで、残りの2割が海外生まれであることがわかります。残りの約2割に約200か国が含まれると仮定すると、0.1%の人口割合の国はスウェーデンにおいて”平均的な”人口規模の国と考えられます。
レバノン出生の方の割合は約0.3%のため、平均的な国よりも3倍人口が多いと考えられます。
今回の候補抽出の閾値もレバノンに倣い0.3%を基準にしようと思います。次ステップの抽出の際に楽なため、パーセントを絶対数に直しておきます。1,045万人×0.003=約30,000人。

余談ですが、アジア出生の方のほうがEU加盟国出生の方より多いことには驚きました。

図1
Statistics Sweden, (2022) "Population by country of birth, age and sex. Year 2000-2021"より筆者作成https://www.statistikdatabasen.scb.se/pxweb/en/ssd/START__BE__BE0101__BE0101E/FodelselandArK/

閾値が決まったため、実際に出生国別にスウェーデン国内の人口を確認します。図2が閾値の30,000人以上の国に限定した、出生国別の国内人口のグラフです。ここまでで候補の国は全部で19か国に絞られました。

余談ですが、これらの国は①地理上の距離が近い(フィンランド・ノルウェーなど)、②人口が大きい(中国、インドなど)、③そこそこ近くて・人口も大きい(ドイツ・イギリスなど)、④紛争がある(シリア・イラクなど)に分けられそうです。

図2
Statistics Sweden, (2022) "Population by country of birth, age and sex. Year 2000-2021"より筆者作成https://www.statistikdatabasen.scb.se/pxweb/en/ssd/START__BE__BE0101__BE0101E/FodelselandArK/

2. 急激な人口増加がない国の抽出

ここまでで2021年の人口に基づいて候補の国が19か国に絞られました。
その国の食文化が醸成されてスウェーデン国内に美味しいレストランができるには一定期間以上ある程度の人口が維持される必要があると思います。従って、次に19か国の過去20年ほどのスウェーデン国内での人口推移を確認して、だいたい閾値の30,000人以上を維持している国を抽出したいと思います。

図3が19か国の過去20年の年別のスウェーデン国内での人口を可視化したグラフです。赤い線が閾値の30,000人を示しています。
濃青の線はこの20年間で人口の伸びがあり20年前は30,000人に満たなかった国、つまりまだスウェーデン国内で食文化を醸成できていないであろうから今回の候補から除く国です。グラフ右側の国名が細かくて見えないかもしれませんが、シリアといった内戦のよる移民が多い国や中国・インドといった最近大国となってきた国が含まれています。

これで候補の国は薄青の10か国に絞られました。

図3
Statistics Sweden, (2022) "Population by country of birth, age and sex. Year 2000-2021"より筆者作成https://www.statistikdatabasen.scb.se/pxweb/en/ssd/START__BE__BE0101__BE0101E/FodelselandArK/

3. Google Mapでの検索による抽出

ここまでで下記10か国に対象の国が絞られました。
Iraq、Finland、Poland、Iran、Yugoslavia、Bosnia and Herzegovina、Turkey、Germany、Norway、Denmark
それぞれ「国名 + restaurant + stockholm」と検索して10件以上ヒットした国を最終おすすめリストに追加します。

4. 結論-おすすめリスト

  • イラン-ペルシャ料理

  • トルコ料理

  • ドイツ料理

上記3か国がすべての条件を満たすスウェーデンで食べるべきおすすめ料理の国候補として抽出されました。フィンランドやデンマークもあるのかと思うのですが、検索をしてもスカンジナビア料理にまとまってしまっており、ぱっと分けられないためいったん除外しております。

個人的にはイラン(ペルシャ)料理が気になっております。ストックホルムで検索すると約20店舗ほどヒットしましたが、東京では8店舗ほどしかヒットせず、人口比で考えるといかにストックホルムでイラン料理がポピュラーかわかるかと思います。ラーメン同様全店舗回ってみて感想を書きたいと考えています。

スウェーデンにお住まいの方・これから旅行などに来られる方は、是非スウェーデン料理以外にこれら3国の料理も味わってみてはいかがでしょうか?

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