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チームビルディングを考える映画

CraveOwlです。3回目の投稿にして、映画の所感です。

当初、noteでは本を読んだ所感をまとめていきたいと思っていました。ただ、本ではないけど、どうしても所感を書きたいものがあった。それが、この映画「七人の侍」です。

所感でありながら、どうしてもある程度の内容説明がないと、書くのが難しかったため、以下にはストーリーの所謂ネタバレが含まれます。
これから、観られようという方は、気をつけてください。

ただ、どなたかが「名作と呼ばれるものは、既に観た人は、まだ観たことが無い人を『これから、あの体験ができるなんて羨ましい』と言うことがある。しかし、七人の侍に関しては、見るたびに全く新しい体験ができて、まだ観たことが無い人を羨ましいなんて思うことは全く無い」と仰ってましたが、私も完全に同意です。

ストーリーを知っていようが、観るたびに新しい所感が生まれる、そんな素晴らしい映画です。

七人の侍(黒澤明 監督)

上記YouTubeで、レンタルすると綺麗な画質・音で観られます。このプレビューを観たり、音楽を聞くだけでもワクワクしてしまいます。。。

この映画のストーリーを一言でまとめてしまうと、「弱い組織が勝つためのストーリー」または、「自己犠牲溢れる人たちのストーリー」でしょうか。
しかし、実際には前述の通り、観る人によって・観たときの自身の状態によっても全く違ったストーリーが表れてきます。

さて、突然ですが、あなたは七人の侍の中で、誰が好きですか?



特に、どこかでアンケートを取ったとかでも無いですが、「久蔵」という方も多いのではないでしょうか。というか、私が好きなのですが。

久蔵は、七人の中でも(多分)一番剣の腕が立ち、危険な仕事も余裕でこなす、所謂職人タイプ・プロフェッショナルの侍。
ずっと、あんな風になりたいという憧れの対象です。もしかして今自分の職種がスペシャリスト型なのは、その影響もあるかもしれません。
昔は、七人が皆久蔵タイプであれば、もっとこの村を守るミッションは簡単に成功して、誰も死なずに済んだのではないかと思っていました。

しかし、最近観返してみると、ああ違うんだな、と。
この七人は、それぞれの役割が、絶妙なバランスの上でなりたっているんだなと感じられるようになりました。

少し、話が飛びますが、渋澤栄一の子孫で、ブサワ・アンド・カンパニー株式会社 代表取締役の渋澤健氏があるセミナーで論語と算盤について講演されているのを聴く機会がありました。

渋澤健氏曰く「『論語と算盤』で最も大事なのは、『と』という部分。「論語『か』算盤」では、選択になってしまう。そうではなく、「論語『と』算盤」で統合・融合していくことが重要だ」。

この言葉が頭に残っている中で、観た七人の侍は次のように見えました。

七人の侍が集まって、村を訪れた最初。単純に弱い組織(村)が、外部のプロフェッショナル(侍たち)を受け入れることはできず、中『か』外の選択になってしまい、対立ムードに。
その中で、菊千代がムードメーカーとなってチームをつないでいき、中『と』外の統合・融合になっていく。

統合して協力するようになっても、全ての人が救われるわけではなく、見捨てられる人も出てくる。しかし、それをしっかりと見極め島田勘兵衛がリーダーシップを振るう。

他の侍たちも、それぞれが自分の強みを活かして、役割を全うしていく。
ああ、これって普段の仕事と変わらないよなぁ(仕事では、命のやり取りはしませんが)と、実感しました。
逆に、仕事で本当に、私はリーダーになれているだろうか。皆の強みを活かして、役割を任せられているだろうかと自問自答してしまいました。

そして、迎える壮絶な最後。7人のうち3人しか生き残ることができない。しかし、それだけの犠牲があっても、勝ったのは侍でなく農民。決して、外部組織の侍たちが長く感謝されることはない。
これも昔は、農民って感謝の気持ちがないなぁと思っていました。

でも、これを今の会社や、仕事に当てはめてみると、どうだろ。
農民は自社の人間、侍は外部から来たプロフェッショナルであるコンサルやシステムベンダーでは無いでしょうか。

コンサルっていうと、「格好いい仕事」か「胡散臭い仕事」と評価が真っ二つに分かれそうですが、実際には、この本にあるように地味な仕事も多い。

外の人間として、中の人間をモチベートしながら変革を進めていき、危機が去ったら去っていく。そんな関係性。
(もちろん、聞く限りは、コンサルが入りすぎてしまって、彼らがいないと仕事が回らなくなる状態になってしまったという悪例も聞きますが)

中の人間からすると、いつまでも外の人間を頼っていられないですよ。だって、変革後の会社・仕事を進めるのは自分たちだもん。
でも、その仕事を進めていくときに、ふとしたときに「あ、以前よりも良くなっている」と感じて、外の人間に感謝を示す。

七人の侍で描かれた、侍と農民の関係も、こんな感じになったのではないかと邪推してみました。

色々と私の今の所感を述べさせていただきました。
多分いまのあなたがみると、七人の侍は全く違ったメッセージを示してくれると思います。そして、未来の私が観ても、また違ったメッセージを受け取ると思います。

ぜひ、これからも定期的に観返したい映画です。

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