チャンピオンシップ・オブ・ザ・リビングデット

 ゾンビと言う言葉は西アフリカから中南米に持ち込まれた民間信仰ブードゥーに由来するが、キョンシーとかレヴァナントとか、リビングデッド的な伝承は洋の東西を問わずあちこちに存在する。

 とは言え昨今のフィクションにおけるゾンビはだいたいウィルス感染だ。オカルトも別になくはないが、ゾンビと言ったらウィルスってイメージが強くなってる。発生源は暗黒製薬会社が云々ってパターンが多いのかな? 日本の有名なゲームシリーズみたいに。

 今USAで発生しているゾンビ禍もそのパターンだ。アゾース製薬ってクソ企業がひり出したクソが蔓延した。まぁメリケンが国境にぶっ建てた長くてぶっといクソ壁のおかげで、メキシコまではまだ及んでないがね。ざまあないぜ。

 とは言えこの国境都市は対ゾンビ戦争の最前線として危険と隣り合わせ。加えて他所からゴロツキ傭兵が集ったりして、ただでさえクソだった治安が更に悪化している。もっとも俺はゴロツキの側だけど。

 そんな日々を送る中、或る月のない夜の事。

「ぎゃああー!」

「ゾンビィィー!」

 すわ侵入か、と息を巻く俺や荒くれ連中が駆けつけたのは、壁際でも何でも無い路地。ブラッ! ブラッム! ブラタタタタ! 容赦なき弾丸がゾンビと襲われてる奴を殺した。ずいぶん簡単に死んだので検めてみると、「こいつゾンビじゃねえじゃん」。

 単にゾンビめいて理性を失っただけのドラッグ中毒者。人騒がせな。襲われてた方は無駄死にだったが仕方が無い。敬虔な奴は祈ってやれ。だがこの晩はこれで終わらなかった。

「うわああー!」

「ゾンビィィー!」

 お次は街の南端、壁の真逆。急行した俺たちが目撃したのは、今度こそ確かにリビングデッドだった。だがゾンビではなかった。

「骨!?」

 骨だ! まるで骨格模型のような骨格そのものが立って歩いている! 何が起こっているかわからぬまま、俺達は弾をばらまいた。すると!

「ぎょええー!」

「ゾンビィィー!」

 今度はなんだ!?

【続く】

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