見出し画像

不確かな今を、一生懸命生きていく。a flood of circle・佐々木亮介が音楽に気付かされたこと

2006年結成。つねにコンテンポラリーな音楽要素を吸収し、最新のロックンロールを更新しつづけているバンド・a flood of circle。

フロントマンである佐々木亮介さんは、音楽を通じて「生きていくことに対する不確かさ」に救われているのだとか。

環境問題を含めて、どうなるかわからない未来に対して、彼はどのように向き合っているのか。お話を聞きました。

佐々木亮介(ささき・りょうすけ)
a flood of circleのVo. Gt. 担当。日本屈指のロックンロールバンドの中心人物であり、ロックンロールだけでなく、多種多様な世界のミュージックシーンのトレンドに常にタッチし、個人としてメンフィスやUSシカゴなどで現地ミュージシャンと録音をした作品を制作する

俺らは、汚した酸素を吸ってんだ。

ーー佐々木さんは、環境問題についてどのような考えを抱いていますか?

…ずっと、ウジウジしつづけています。

最近、「花火を見に行こう」って曲を書いたんですけど、歌うってことは、自分で酸素を吸って吐いていることでもあるじゃないですか。だから、「汚れた」じゃなくて「汚した酸素」と書きました。

東京のスタジオで立っているとき、よく思うんですよ。このコンクリートを全部剥がしたら本当は全部草か土なんだって。人間ってすごいなと思うと同時にゾッとするんですけど、結局その上で生きているというジレンマを歌っていることもあります。

ーー矛盾がちょっと悔しいというか。

それを解決するパワーを持ってない、自分は弱い人間だなと。「このままでいいのかな」ってずっとウジウジしてるんですよね。でも、このウジウジをやめて開き直ったらおしまいだろうって思うから、もがいてる。

それに、「変わろうぜ!」って言ってみんなが変わるのは無理だろうとも思っています。自分は歌詞を書くから言葉を選ぶってことが大事だと思うんだけど、言葉で伝えることには、限界があるから。

それよりも、「風が気持ちいいな」「低音がズンと来るな」とカラダで感じてもらうことで、ポジティブな気持ちになれるような気がしているんですよね。

「THE SOLAR BUDOKAN」はポジティブなやり方を発信することで、みんなを巻き込むパワーを佐藤タイジさんが作ろうとしていることに衝撃を受けたので、「これは自分のできることかも!」と思って一生懸命やっています。

世界中を変えるのは無理だけど、この空間だけは太陽光だけでまかなうとか、放射線量を全部測定して食品に書いておくとか、まだ世界では実現してないことを試しにこの世界でやってみようっていう取り組みがすごくいいですよね。

「やってみなきゃわかんないよね」ってことをまずは第一人者としてやってるんだと思ったら…グッと来ちゃって(笑)。

そういうのちょっと弱いんですよね…

自分自身も過去の音楽から影響を受けてやってるわけですけど、つねに新しいトライがしたいとずっと考えているんですよ。

それに対してこの取り組みは、自分の人生とか世の中、誰かと一緒に生きていくことが、もう少し良くなったりするのかも、という可能性をすごく感じさせてくれる。

俺は、諦めの悪い人を見ると感動しちゃうんですよ。「こんなにもどうしようもないかもしれないのに、まだあるって信じてんだ!」って思うと、涙が出ちゃうというか。これは自分の美学でもあるんですけど、感動することを求めつづけたいんです。

floodだって、30年後には新曲が発売されるだけでもグッと来ると思う。30年後のその日に感動する条件は「やめていないこと」。ただそれだけだと思うんですよね。

このイベントが感動する理由も、10年間やりつづけているからだと思うし、メッセージの強さは続ければ続けるほど重なっていくと思うから、呼んでくれる限りずっと出つづけたいですね。

「不確かさ」をポジティブなエネルギーに転換していく

ーーCQは行動変容を促すプロジェクトなのですが、佐々木さんが音楽を通じて変わったエピソードはありますか?

僕にとって、音楽は「行動変容」そのものですね。ロックンロールとか人生とか愛とか、そういういいものを突き詰めると、あんま意味がわかんないじゃないですか。

たしかに


勉強して、いい大学や会社に入って、家を買って、いい車に乗って墓場に入るのがいい人生なのかなって思っていたころに、「もっとあるかも」と思わせてくれたのが音楽だったんです。

「世の中そういうもの」だと思っていたけど、本当は全部不確かなことだと音楽が教えてくれた。音楽によって自分の人生がちょっとマシになった。

その「生きていくことに対する不確かさ」は、自分の原動力でもありますね。

ーーなるほど。でも、不確かなことって不安になりませんか?

不確かなことをポジティブに捉えるかネガティブに捉えるかで生き方が変わってくる気がしているんですよ。

「将来がわかんない」って当たり前すぎることじゃないですか。結局、今積み重ねた結果が未来になる。10年前にやってたことや、10年前にサボったことが、今の自分と世の中だと思うので、最終的に「今しかないんだ」ってことに音楽は気付かせてくれると思いますね。

「不安になるな」とか、「誰かに攻撃されちゃうかも」とか、仮想敵を積み上げると、どんどんディフェンスしかできなくなっていくから。

不確かなのはすでに決定しているうえで、ポジティブなエネルギーに転換していくことにトライしています。

先ほど、「言葉で伝えるよりも、体験することが大事」と言ったんですけど、自分は音楽を通じて人生が変わった経験者であることが強みだと感じていますね。

みんなができることは、「今を一生懸命生きる」こと。

ーー最後に、佐々木さんが思う、「若者たちが環境に対してできること」を教えていただきたいです。

うーん、「今を一生懸命生きる」ことかな。

今を一生懸命生きてたら、今生きてる場所は結局地球なわけだから、遅かれ早かれみんなどこかで感じることだと思うんですよ。

「星が綺麗だな」って思ったときに、「いずれこの星が見えなくなるのかな」という想像力が働くようになる。それが芽生えたときに考えればいいんじゃないかな。

逆にこのインタビューを見てるってことは、もう気付いてるってことだから、俺から言いたいことは何もない(笑)。

でも、今これを見ていない人にどうアプローチするかを考えると、やっぱり音楽の力は必要になってくると思いますね。

だって、やっぱり言葉を伝えるだけじゃ説教だもん、って俺は思っちゃうから。

今はTwitter上で信じられないような醜い論争が起きていたりするけど、賛成と反対でぶつかるだけで、お互いの気持ちを考える余地がなくて、ぶつかり合うしか残っていないことが寂しいんですよね。

それを見るたびに、絶対に小手先の言葉では伝えられないだろうと思うから、相手が何を考えているかを想像することが、自分ができることなのかな。相手を想像する余地を失ったら音楽なんてもっと意味ないじゃんって思いますから。

そこに対して、自分は諦めたくないんです。世界情勢とかを見ると「人間っておわってんな」と思うこともあるし、諦めたほうがラクなんだけど、自分はもうちょっと何かあるって思いたい。

音楽をやるとき、オーディエンスのことなんてわかんないし、同じ考え方じゃないと思うけど、心のどこかはちょっとだけ似てるんじゃないかって思ってるんですよ。

みんな違うけど、ここは一緒だろって信じて投げる。それを信じられたら、曲を書いて聞いてもらう意味があると思いますね。

(取材・執筆=いしかわゆき(@milkprincess17)/撮影=友海(@6stom__

a flood of circleニューアルバム『花降る空に不滅の歌を』発売決定!

a flood of circleが2023年2月15日(水)にニューアルバム『花降る空に不滅の歌を』をリリース、さらに全国ツアーを開催することが決定しました。

アルバムには、10月20日に代々木公園野外音楽堂で行なわれたフリーライブで初披露となった新曲「Party Monster Bop」や、本インタビューにも登場したシングル「花火を見に行こう」も収録予定。

また、ニューアルバムに合わせた全国ツアー『Tour 花降る空に不滅の歌を』は全30公演。ツアーファイナルは来春オープンのZepp Shinjuku(TOKYO)での公演を予定しています。

ぜひ公式サイトからチェックしてみてください!

高めよう 脱炭素指数!

CQは、カーボンニュートラル社会の実現に向け、一人ひとりがライフスタイルについて考え、行動を変えていくことを目指すプロジェクト。イベント協賛やグッズ展開などを企画しています。
最新情報はTwitterを通じて発信中です。ぜひフォローをよろしくお願いいたします!

この記事が参加している募集

SDGsへの向き合い方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?