2023年おすすめ新譜アルバムVol. 52: Decuma「let's play pretend!」
新譜アルバム紹介Vol. 52です。
今回紹介するのは、ミシガンのラッパー兼プロデューサーのDecumaがリリースした「let's play pretend!」です。
Decumaはミシガン出身のラッパー兼プロデューサーです。
2010年代後半に登場。2019年のミックステープ「On The 180」の後、2020年にはアルバム「in the end, we were all undone.」をリリースします。2022年には「a cavern, where the light couldn't reach. (*thesis version)」と「A CAVERN, WHERE THE LIGHT COULDN'T REACH. (*CATHARSIS VERSION)」の2枚のアルバムをリリース。今作の後にもインスト作品「assorted instrumentals, pretend era.」をリリースしています。堅実に活動を行っている新進アーティストです。
「On The 180」はリラックスしたインストヒップホップ作品でしたが、その後アンビエントやエレクトロニカ、IDMなどと隣接する奇怪なスタイルに開眼。低めの声質で押し潰すようなラップやスポークンワードも取り入れるようになりました。時折初期のTyler, The CreatorやSpaceGhostPurrpあたりを思わせる瞬間もあります。
今作はこれまでの作品で微かに残っていたヒップホップ色がさらに後退し、エクスペリメンタルな方向に振り切った怪ラップアルバムに仕上がっています。Warp作品などが好きな方は是非。
2. gba.
ほぼドラムレスのアンビエントラップ。
ふうわりとしたシンセが効いた緊張感のあるサウンドで、ダウナーなラップを聴かせる好曲です。アウトロではエレクトロニカっぽいビートに変化。
今作のハイライトの一つ。
弾けるようなドラムや不穏なピアノとストリングスが印象的なビートに、迫力のあるラップを乗せた良曲です。途中で入ってくるギターも強力。
今作のベストトラック。
浮遊感のあるシンセと四つ打ちキック、噴き出すようなシンセがスリリングな空気を生み出した曲です。Decumaのラップにもキレがあります。
8. house.
タイトル通り(?)、この曲も四つ打ちキックを使用。
しかし感触としてダンサブルな要素よりも緊張感の方が勝っています。また、途中でよりエクスペリメンタルなビートに変化。
12. hide and seek.
穏やかなアウトロ的な曲。
優しいピアノに喋り声を加工したような音が絡むサウンドで、スポークンワード寄りのアプローチで声を聴かせる佳曲です。唐突な終わり方も印象的。
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