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2024年おすすめ新譜アルバムVol. 31: Ryan Leslie「You Know My Speed」

新譜アルバム紹介Vol. 31です。

今回紹介するのは、ボストンのシンガー兼プロデューサーのRyan Leslieがリリースした「You Know My Speed」です。

Ryan Leslieはヴァージニア出まれで、ボストンでキャリアを始めたシンガー兼プロデューサーです。

2000年代前半に登場。2003年にはシングル「The Way That U Move Girl! / (U Could Be) The One 4 Me」をリリースします。キャリア初期はどちらかといえばプロデューサー寄りの活動を精力的に行い、BeyoncéやBritney Spearsなどの曲を制作。2006年にはCassieのシングル「Me & U」がヒットし、一躍プロデューサーとしてブレイクを果たします。2008年にはソロ作「Ryan Leslie」をリリース。以降は2009年の「Transition」や2012年の「Les Is More」などのアルバムを発表しますが、2015年作「MZRT」以降は若干ペースダウン。2019年にEP「Fleurier Flows」を挟みましたが、アルバムとしては今作は9年ぶりのリリースとなります。

シンガーとしては、ナヨっとした甘いR&Bマナーの歌声を聴かせるアーティストです。時折ラップも披露します。プロデューサーとしては、ブレイク期はよれ気味のスウィング感と1980年代R&B的なファンクネスを持ったものが特徴でしたが、時期によってはトラップなどの要素も柔軟に取り入れています。

今作はトラップソウルやオルタナティヴR&Bといった近年の動きも踏まえつつ、随所でRyan Leslieらしさもきちんと聴かせる快作に仕上がっています。


1. Run It Back

808をダーティに鳴らすトラップソウル路線。

しかしミニマルなシンセの使い方は「Me & U」っぽくもあり、やはりRyal Leslieマナーです。甘い歌声も変わらない良さ。


3. Put It in the Air

ちょっと初期Frank Oceanがやりそうな曲。

Prince的なシンセと手数の多い808が印象的なサウンドで、ラップにも近い歯切れの良い歌声を乗せていく好曲です。アウトロでピアノのみになる展開が唐突ながら自然。


4. Plans

浮遊感のあるシンセが目立つ曲。

音数を絞った作りで、ドラムも小さめでシンプルな魅力があります。うねるシンセの切れ目がファンキー。


5. All the Ways

美しいピアノを使った曲。

生っぽい質感のドラムやフックで入ってくるシンセも含め、どこか2000年代っぽい香りが漂っています。ねっとりとした歌声とも好相性。


7. Falling Hard

今作のハイライトの一つ。

寸止め感のあるドラムに1980年代R&B的な甘酸っぱいシンセを絡めたビートで、ナヨっと歌い上げる佳曲です。Ryan Leslie印のグルーヴや音使いが堪能できます。


10. Sounds (feat. Bobby V.)

Ryan Leslieはラップを多めに聴かせる曲。

涼しげなギターと細かいドラムが印象的なビートで、Bobby V.の甘い歌声とクールなラップが絡む良曲です。途中でピアノのみになって戻り、アウトロで再びピアノのみで歌う展開も見事。

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