2023年おすすめ新譜アルバムVol. 68: MC Yallah「Yallah Beibe」
新譜アルバム紹介Vol. 68です。
今回紹介するのは、ウガンダのラッパーのMC Yallahがリリースした「Yallah Beibe」です。
MC Yallahはケニア生まれでウガンダ育ちのラッパーです。
1990年代後半に登場。活動休止を経て2018年頃から再始動してNyege Nyege Tapes(サブレーベルのHakuna Kulala)に加入し、2019年にはDebmasterとのタッグ作「Kubali」をリリースします。そのほかScotch Rolexや鼓童といった外部作品に客演で参加するなど、精力的に活動しています。
詰め込み気味のフロウも巧みに使うスキルフルなラッパーです。少しレゲエやグライムのようなニュアンスもあります。サウンド的にはNyege Nyege Tapes以降はレーベルのカラーに沿った、トラップやインダストリアルなどと隣接するようなエッジーなビートを好んで使います。
今作はトラップやダンスホールレゲエ、グライムなどに近いユニークなビートを、その柔軟なラップで見事に乗りこなした快作に仕上がっています。エクスペリメンタルというよりも王道のものとしてやっているような印象があります。
冷たい質感のトラップ。
ミニマルなシンセのループにボコボコとした低音を合わせたダークな曲です。MC Yallahの高速ラップもばっちり。
3. Tuli Mukintu (with Debmaster)
ゴムをトラップ風味に改編したような曲。
ヘヴィで緊張感の漂うシンセや手数の多いドラムが効いたビートで、MC Yallahがレゲエっぽいフロウを織り交ぜて聴かせる好曲です。カオスなようですっきりとしています。
5. Big Bung (with Chrisman, feat. Ratigan Era)
ウガンダのレゲエディージェイ、Ratigan Eraをフィーチャー。
Nyege Nyege Tapes流にダンスホールレゲエに接近したような、隙間のあるシンセを使った怪曲です。ヴォーカル面も好相性。
7. Yallah Beibe (with Scotch Rolex)
UKものっぽいベースが印象的な曲。
ミニマルで硬質、重厚なシンセも強烈な良曲です。MC Yallahのフリーキーなラップも鋭い切れ味。
痺れるようなシンセを用いたバンガー。
手数の多いドラムやダーティな低音の鳴りなどは現行トラップの流れでも聴けるものですが、やはりNyege Nyege Tapes作品らしい仕上がりです。MC Yallahの少しレゲエっぽいフロウも自然に馴染んでいます。
声ネタや重厚なシンセが目立つシリアスな曲。
次々と形を変えていくエッジーなビートに、押し殺したようなラップを乗せた佳曲です。今作のベストトラック。
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