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独立開業した専門家が乗りこえるべき「壁」

昨日の夜、スペース(clubhouseのtwitter版)にて、友人の弁護士・伊藤毅さんのお話しをお聞きました。人のキャリアを聞くことには、たくさんの学びがあります。これは新たな発見。せっかくなので、昨晩お話しして感じたことをつれづれなるままに。

独立開業して意識した「10%ルール」

人間、自分の過去については美化しがちです。自分がインタビューを受けたときなど、いつもそう思います。ああ、またつまらない自慢話してしまったなと、いつも若干のうしろめたさを覚えます。飲み会の席であれ、インタビューであれ、年寄りの昔話はロクなもんじゃありません。

その点、他人の話しは客観的に聞くことができます。その上「自分もそうだった」と、忘れていた”大切なこと”を思い出すことができる。

独立開業したばかりの30歳の伊藤弁護士は、お客さんに「提案すること」を心掛けたそうです。わかるなあ、それ。会計士も弁護士もそうですが、制度やルールの中で仕事することが多いため、「守り」に入りがちです。でも、独立開業してそれではダメなんです。
「守り」の仕事はライバルが多いため、どうしてもそのサービスがコモディティ化してしまい、低価格競争に巻き込まれる。これでは「仕事の楽しさ」が失われてしまいます。

画期的な提案ができなくてもいい。ほんのすこし、10%でいいから「クライアントの期待を上回る」ことを心掛ける。仕事の提案するときも、たとえメールひとつであっても気を抜かず、ユニークさ、意外性、「自分ならでは」を表現するよう意識する。

これはたしかにやったなあ、と若い頃を思い出しました。それはいまでも変わらず気をつけています。脱・定型、メールを「お疲れさまです」から始めないとか。

クライアントに提供すべき専門家の価値とは?

きのうの質問タイムで、伊藤さんが「経営者は自分で問題が整理できていない。この整理を手伝うことが大切」と話していました。これも本当に納得です。こちらから問題解決の手法や知っている知識を押し付けてはいけない。あくまでクライアントの問題解決をお手伝いすること。でも、多くの専門家は自信があるからこそ(あるいは自分を守るために)、自分の知識を話しすぎ、押し付けてしまう。

私も30代の頃、それに気がつきました。自分のアドバイスが通じないのは「押し付けて」しまっているからだと。経営者はおしなべて「押し付けられる」ことを嫌います。だから彼らが「自ら気付く」方向へ持っていかねばならない。そのことを体験的に学びました。これはこちらからすれば「手柄を譲る」行為であるため、若い自分にとっては少々高い精神性を必要とする行為でした。でもこれは乗りこえないといけない壁だな、とは自覚していました。

・・・と、まあ、伊藤さんの独立当時の話を聞きながら、「自分もそうだったなあ」と若き日を懐かしく思い出すわけです。

学んでいいこと、学んではいけないこと

そんな昨夜の話を聴いてくれた方から、「『自分で気付く』方向へ持っていくのはサラリーマンの対上司についても同様ではないか」とのコメントがありました。これはほんと、そう思います。「自分のアイデアだけど、相手に気付かせる」のは、コミュニケーションをとる上で持っておいたほうがいい「技」のひとつ。

それから、「それはコーチングの手法ですね」とのコメントもありました。そうかもしれません。たぶんそうなのでしょう。でも、だからといって、「相手に気付かせる」手法を学ぶためにコーチングを学ぶべきか? --これについて私はそう思いません。

こういうのって、「自分で身につける」ことに意味があると思うのです。なぜなら、どこかに通って「コーチングの型」を学んでしまうと、「他の人と同じようなスタイル」になってしまうから。事実、「どこかでコーチングを学んだな」と感じる話法の人って、すぐわかります。なんとなく話の進め方や質問の仕方が似ている。

これ、個人的には良くないと思う。こういった基本的な部分は他人から学ぶべきでない。いま私が独立したての30代だったら意地でも誰かに教わらないし、それはきっと伊藤さんも同じだと思う。

独立したての頃、不安もあって「うまくいくノウハウ・金の稼げるノウハウ」はノドから手が出るほど欲しい。でも、だからといって誰かから安易に教わっていては自らのオリジナルをつくれません。
誰かに学んでいいことと、自分で考えねばならぬこと--これを見極めなくして自分のスタイルやブランドはつくれないと思うぞ。孫子の兵法でいう「迂直の計」、遠回りに見えても近回りの戦法がよろし。

・・・とにかく、いろんなことを考えさせてくれるtwitterスペース、来週以降も続けます。次週の6/14(月)21:00~も伊藤さんとともに。

次回6/14はDXをテーマにお話しします。
コロナになって突然騒がれはじめたキーワード「DX」ですが、私と伊藤さんは10年前からデジタル・アーキテクチャを意識してきました。
独立開業した専門家として、われわれがどんなことを考え、ビジネス展開してきたか。例によって勝手にお話しします。
お聴きいただけば何かのヒントがあるかもしれません(ないかもしれませんが)。
ご興味ある方、お気軽にご参加ください!

#田中ナイト 6/14(月)21:00~
https://twitter.com/i/spaces/1djGXqQqzVdJZ

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