#100【絵本】ティラノサウルスシリーズの5冊で、宮西達也さんの伝えたいことを思う
絵本感想の記録、100回目!
実はちゃんと読んだことがなかった、宮西達也さんの『おまえうまそうだな』のシリーズ絵本。
ティラノサウルスシリーズは現在16冊刊行されています!さすがに人気なのですべてを一気に読むことは叶わず、5冊だけ借りてきました。
5冊読んでみて感じたのは、主人公ティラノサウルスの物語が時系列で続いているわけでもないんだということ。
シリーズなので順番に繋がっているものと思っていたのですが、どうやら違うようで…最後で死んじゃってるのにまた次の絵本では生きてます(笑)
少しあらすじを抜粋。
絵本のはじまりは、この言葉で共通しています^^
『おまえうまそうだな』
シリーズ1
作・絵/宮西達也
発行所/ポプラ社(2003年)
旨そうでも食べられないところが、このティラノサウルスの愛らしい所。孤高の最強恐竜は情に弱い?!割とすぐに父性が発動するものの、種族の違いを超えて一緒には居られない弱肉強食の世界もしっかり感じさせる切ないストーリー。自分を慕ってくる子どもに対する思いにも切ない別れにも、初心者パパさん・ベテランパパさんもグッとくる絵本。
『あいしてくれてありがとう』
シリーズ7(2008年)
ここで、ティラノ死んじゃう?!
シリーズ2~6が読めていないのでちょっと不確かですが、絵本のシリーズ化が時系列ではないと思った一冊です。
ここでもティラノの優しさ、見返りのない愛が色濃く出ていて感動。自分も同じく寂しがり屋なのに、パウパウサウルスの泣き言には怒りそして思いやる行動。どんなにみんなから怖くて恐れられた存在であっても本当は違っていたりするもので、心の目で見ることを考えさせられる1冊。
『いちばんあいされているのはぼく』
シリーズ9(2010年)
今度は5つ子恐竜の子育て。
ティラノ、板についてきてる?!とっても面倒見の良いパパぶりです。
親を好きと思う気持ちが強いと、兄弟間で取り合いや誰がイチバン!という喧嘩・問題も避けてはとおれない時期もあるわけで…でもそれは実は親にとってとても名誉で嬉しいことだったりすることに気づく1冊。ここでのラスト、ティラノは生きているはず。
『わたししんじてるの』
シリーズ10(2011年)
最強恐竜でも今回は苦戦…。でも初めはご馳走のため、途中からはリケラのためにあきらめずに岩に体当たりを続けるティラノ。リケラもまた血を流してもあきらめないティラノに、約束以上の信頼が生まれる。いつもながらティラノのカッコ良さと優しさが心温まる1冊。
『おまえうまそうだな さよならうまそう』
シリーズ16(2023年)
星空のある絵本
うちの息子達は、あまり恐竜に対して興味を示さなかったけれど男の子は好きな子多いですよね。あのフォルム、あの大きさ、カッコいいしロマンもある。
そんな男の子の心と、絵本を読み聞かせするパパ達の少年心も刺激するこのシリーズは、絵も特徴的で私は特に星空の描かれているページが好きです。
この時代にはいつも夜になると満天の星がキラキラしていたんでしょうね、どの絵本にも必ず綺麗な夜空の絵が入っていました。
宮西さんは子どもたちに自然の素晴らしさも感じていて欲しいと願いを込められたのかなと思いました。
弱肉強食の世界
ティラノサウルスは、強くて怖くてみんなを食べちゃうヒドイやつです。そう弱肉強食の世界では、食うか食われるかしかない。
でもやっぱりそこにも愛はありました^^
絵本の中のティラノサウルスは、自分を慕ってくる恐竜の子どもたちには手をかけるどころか、面倒を見、生きる術を教え、敵から守り、まるでパパのように子どもたちを守ります。
恐竜なので余計に変な思考が入らないのか、単純で本質的な愛。見返りの要らない本来の愛のかたちを宮西さんは描かれているので感動します。
でもどんなに自分を慕ってくれてもやはり弱肉強食の世界。パパにはなれない、一緒に生きる事ができない事も暗に書かれていて切ない別れの繰り返し。
ここまで書いてきて、主人公ティラノサウルスがストーリー中でたとえ死んでしまっても、シリーズの中で時系列は関係なくその時々で出会った愛を表現しているんだなぁと思い至りました。
これからもティラノサウルスシリーズは続刊するでしょう。宮西さんの愛のかたち、また楽しみです^^