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#099【絵本】ティーカップ

今日もステキな絵本の世界へ📚
記録として感想を書いています。




今日の絵本

『ティーカップ』

文/レベッカ・ヤング
絵/マット・オットリー
訳/さくま ゆみこ 
発行所/化学同人(2023年)





この絵本のテーマは・・・

著者が絵本で伝えたいことや絵本に込めたメッセージ。
私が感じたこの絵本のテーマは、


【何かが変わるのはほんの些細な事】





私が感じた事

図書館の児童書コーナーで『この本読んで』という雑誌を見つけました。
季節ごとに発刊されていて、新刊の絵本がたくさん掲載されています。気になる絵本がいっぱい^^
(ひとつ前の記事、絵本『ピアノ』もここから)

最新号ではなかったから、この絵本も去年のものですが私にとっては比較的新しい絵本です。


とっても美しい絵!
原画は油絵の背景に繊細は線をペンとかで描かれているのかなぁ?どのページも本当に綺麗です。文字のフォントも今風というか、かわいい字体です。

ストーリーは、こんな文章から。

あるところに、ふるさとでくらせなくなった男の子がいました。
生きていけるところを、あらたにさがさなくてはなりません。

『ティーカップ』より


男の子は1冊の本と1本のビンと1枚の毛布が入ったカバンと、故郷の土が入ったティーカップを持って、手漕ぎボートで1人で海へ出ていきます。

衝撃的でした。
故郷で暮らせなくなった、生きていける所を探さなければならない理由って…。戦争や災害があって住めなくなってしまったのか、それとも追い出されるような出来事があったのか。

漂流中、食べ物はあったのか?水はあったのか?海の真ん中で真っ暗になってしまったらどんなに心細いだろうか。
そんな心配をよそに広々とした海と空の素敵な絵が続いて、引き込まれます。

雲がむくむくわいてきて 空をおおうのを見ると、
なにもかもが、ふとしたきっかけでかわってしまうのだと男の子は知りました。

『ティーカップ』より


絵本にはあとがきや作者紹介がなかったので、どこの国の方がどんな背景があって書かれたの絵本だったのか想像でしかありませんが、この言葉が一番私にはどきっとしました。

毎日移り行く色んな表情の海と空を見ていた男の子は、悟ったのかもしれません。

今晴れていたかと思ったら雲がかかり雨となる。
今おだやかだと思っていた海が急に荒れて嵐となる。
今まで穏やかに暮らしていたのに急に大変な事に巻き込まる。

それは、ふとしたきっかけで…。
それは自分の意識の及ばないところで起こることもあるのだということを。


海に漂いながら生きていく場所を探すうちに、ティーカップに入れてもってきた故郷の土からも、変化が起こります。
これもまたふとしたきっかけで、知らないうちに起こること。そしてストーリーはまたさらに素敵な変化が描かれます。

何かを変えるふとしたきっかけは、ほんの些細なこと。
何かをしなければならないというわけでなく、待っているとそのうち見つかったり、時が満ちればこちらにやってくるのかもしれませんね。

悟りのような、前向きに人生を生きていける勇気をもらえるような絵本です。

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