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随想 ーー心を澄ますーー

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心の奥底に潜む声を掬い上げるエッセイ・詩など
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#コラム

共依存

 英雄になり損ねた怪物、怪物になり損ねた小心者--すなわち境界例に殺されかけたあの時に引…

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coyoly
4年前
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はぐれざくら

 高校の校舎の裏手、図書室と私たち吹奏楽部の練習場の間に桜の木が一本植わっていた。よく、…

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coyoly
6年前
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桜月夜

 満開の桜の木を見上げていると、胎内から毛細血管やその周りの肉を見つめているような気分に…

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coyoly
6年前
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険路

 7年前の3月、いくつもの街を消し、原子力発電所を爆発させ、2万人以上の命を奪った蠢きは、…

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coyoly
6年前
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呪文

 二十代のある日、突然話すことができなくなった。その状態でも可能な仕事を探していたら美術…

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coyoly
6年前
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罪深かるべき者

  股間に古傷がある。七歳の時に公園で遊んでいて足を滑らせた拍子に剥き出しのコンクリート…

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coyoly
6年前
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母性の沼

 仏様よりマリア様に縋り、抹香臭い数珠より舶来物のロザリオやメダイに心惹かれるが、復活より前世や生まれ変わりを信じ、結局のところキリスト教の服にも仏教の服にも馴染めぬまま、最終的に仏式で送られるーー  典型的な葬式仏教を身内として体験するも何かがしっくりこず、違和感を覚えた部分を精査して気づいた。私の宗教観は隠れキリシタンによく似ている。  公立共学育ちの友人は言った。  「キリスト教の学校の人って祈る時はマリア様に祈るよね」  キリスト教の学校にも色々ある。が、彼女の

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海の処方箋

 雪の結晶が好きだ。  ある冬の朝、中学への登校途中に横断歩道で立ち止まると、ちらつき始…

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coyoly
6年前
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折り返し地点に立って

 四十歳の誕生日を目前に控えた昨夏、原因不明の体調不良により伏せっていた。毎日毎日、目を…

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coyoly
6年前