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「万願寺とうがらしの炊いたん」と「春巻き」/第12回十八番料理教室(先生:ますみさん)


『ふだん、夫や息子にごはん作っても、わざわざ“おいしい”を言ってもらうことのない至ってふつ〜うの家庭料理を求めてくれているひとがいることに驚いたんよ』


ますみさんは、Kitch Hike(キッチハイク)という、食べるのが好き!な人同士があつまれる“ごはん会”の開催を中心に「食でつながる暮らしをつくる」仕組みを運営している企業の公式企画であった「みんなの食卓」というサービスにて、cook(料理するひと)を担当し、月に1〜3回、ごはんを食べに来た人たち(Hiker)に家庭料理を作っていた。
※Kitch Hikeの「みんなの食卓」企画そのものは現在は終了。


なぜcook(料理するひと)をはじめたのですか?と訊ねると、

『数年前に実家(大阪)の父が亡くなって。そのときに親戚から「ますみちゃんこれからどうするん?」と言われたの。息子(現在高校生)の育児もひと段落してきたし、どうしようかなぁ〜って。そのとき、小学4年生から家族のごはんつくりをしてきたこともあって、誰かに料理を作りたいなぁと思って。テレビで日本にきた外国人のかたにごはんを作っているひとを見たことあって、それを頼りに調べていたら、たまたまKitch Hike(キッチハイク)をみつけてん』

そして、キッチハイクでクックすることを通じて、冒頭のように感じ、“おいしい”のひとことがこんなにも嬉しいものなのか、と感じたそうだ。うん、毎日、家族のためにごはんを作り続けているひとなら、誰しも共感する想いだ。

『これから先、どこかの小さな会社の、社員さんのために昼ごはんつくるようなおばさんになれたらええなぁ、って。そんな風に思うようになってきたのは、つい最近かなぁ』

ますみさんの、いまだから抱ける、夢。とっても素敵だ。十八番料理を作りながら、教えてくださった夢の話を聞きながら、わたしが思ったことは、「数年後、ますみさんのように子育てが落ち着いたとき、夢を堂々と語れる自分でいたいな」ということ。それくらいに、その時のますみさんの姿が素敵だった。そして、その姿は、今まで見えそうで見えていなかった“子育てがひと段落したあとの人生”への視点を引き上げてくれた。

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ますみさんの十八番料理

ますみさんが十八番料理として教えてくれたのは以下の2つだ。

●万願寺とうがらしの炊いたん
●春巻き

『“万願寺とうがらしの炊いたん”は、おばあちゃん・お母さんがずっと作ってくれはってたから、なんとなく家庭の味で思入れがつよい料理で。春巻きは、夫と息子に「わたしの十八番料理なんやと思う?」と聞いたら、ふたりとも即答で春巻き!って言うて。そうなん?って思った(笑)』


万願寺とうがらしは、大阪出身のますみさんにとって、“夏になると出てくる野菜”。まだ万願寺とうがらしを口にすることがない幼少期から、頻繁に“炊いたん”が食卓にあがったという。大人味のその料理を、いつからますみさん自身も口にするようになったかは覚えていないが、「いつも食卓にあった料理」としてインプットされていたのか、しぜんと自分でも作る料理になっていたとのこと。

『子どもがいると、どうしても子ども基準の“食べてくれるもの”が食卓にならぶけれど、大人が食べたいものだっていっしょに食卓に出しておいていいと思うねん。子どもは、くちにしなくても、料理そのものの存在を知るきっかけになるしな』


春巻きは、現在高校生の息子さんの大好物。春巻の皮ひとパック10枚分を作っても、5〜6本一気に食べてしまうそうで、ますみさんが食べる分はほとんどないそうだ。初め、本でレシピを見て、作り出したこの春巻き。事前に具を炒めないため、手間が少なく、自然と十八番料理になっていったとか。
元レシピは豚こま肉で作るものだったが、息子さんは小さいころお肉が苦手だったそうで、食べやすいひき肉で作るようにアレンジが加わったそう。

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それではレシピを紹介!


●万願寺とうがらしの炊いたん●○

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材料:
・万願寺とうがらし 2袋(10本程度)
・ちりめんじゃこ  適量(乾いたタイプのじゃこ)
・みりん 大さじ1
・酒  大さじ1
・薄口醤油 大さじ1.5
・ごま油  適量


作り方:
1:万願寺とうがらしを洗って、食べやすい大きさにカットする(その際、タネはとってもとらなくてもOK。ますみさんはヘタ部分もつけたままカットしていた)

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2:ごま油を敷いたフライパンで、1を焼く。(★焦げ目がつくまで焼くのがポイント)

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3:ちりめんじゃこを加え、全体を軽く炒める

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4:酒・みりん・薄口醤油を入れ、しばらく煮込む

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5:全体の汁気がなくなったら出来上がり!

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●春巻き●○

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材料:
・春巻の皮 1袋(10枚入り)
・豚ひき肉 300g
・ニラ   1/2本
・もやし  2/3袋
・醤油   大さじ1.5
・オイスターソース 大さじ1
・片栗粉  大さじ1.5〜2

作り方:
1:ニラは3cmほどの大きさにカット、もやしは洗っておく

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2:材料を全てボウルに入れて混ぜ、ひとまとまりにする

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3:2のタネを10等分し、春巻の皮で巻く(★春巻の皮を最後とめるときには水溶き片栗粉を使うと良い)

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4:フライパンに敷いた油で揚げ焼する(★中火程度でじっくり揚げることがポイント!)

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5:両面がこんがりと狐色に揚がったらできあがり!

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※タネに下味がついているのでこのままでも美味しいですが、ますみさん宅ではアクセントにからし醤油で食べることも多いそう!


いざ実食!

万願寺とうがらしの炊いたん
野菜とじゃこだけのシンプルな料理なのに、これがなんと、白米に合う絶品!。「ごはんがススんでススんで仕方ない野菜料理」といえよう。
とうがらしの辛味がピリッと効いて、酒・みりん・醤油の甘辛〜い味がクセになる、夏にぴったりな料理。出来立ての温かいときはもちろん、冷めてもおかずとしてしっかり役目を果たす存在感のある味付け。それなのに胸やけさせない日本人の食べ慣れた味。なんだか、なつかしいのだ。肌に合う、いや、胃腸に合うかんじ。
濃いめの味付けなのに、じゅわぁ〜じわわ〜とからだにゆっくり入り込んでくれるかんじ。  お い し い !
後日、ピーマンでも同じように作り、すこし味付けを薄くしてみると、子どももパクパク食べていた。


春巻き
材料はいたってシンプルなのに、なぜか、「あれ…?ほかで食べたことがないぞ」と思わされる春巻き。通常の中華料理で食べるあんかけ具材のような春巻きと比較すると、わりとあっさりとした味なのに、お肉の味がしっかり伝わる。
豚ひき肉は生のまま包むため、油で揚げるときに、ゆっくりじんわりときつね色に仕上げていくわけだが、それゆえに外がわの皮はサクサクっと、中はじゅわわっと仕上がっている。具材がシンプルなので、パクパクと何本でも一気に食べれてしまう魅惑の春巻きだ。ますみさんによると、からし醤油で味を変化させながら食べるのもおいしいとのこと。残念ながら当日我が家にからしがなかったので試せなかったが、次回はぜひからし醤油でチャレンジしたい。ぜったいおいしい。間違いない。息子さんが5〜6本を一気に食べてしまう、という気持ちがわかる。子どもはこのまま、おとなはからし醤油で、のように、みんなで楽しめる春巻きになりそう!なにより作る手間がすくない、これ最高。まちがいない。

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しぜんと育児相談会

ますみさんにお料理を教わりながら、うかがいたいこと、話したいことはたくさんあったのだが、結果的に育児のはなしが多くなってしまった。ますみさんには、現在高校3年生になる息子さんがいる。受験を前にさいごの夏休み中。「あとはもう、本人ががんばるしかないからね(笑)」と、ますみさんは大きくかまえる。


わたしは3歳の息子を育てる毎日、なにもかもが息子ありきで進行される日々。そんなわたしにとって、ますみさんは「子育ての大先輩」。ますみさんも息子さんが小さいころ、子育てしながらフルタイムで働くワーキングマザーだったそうだ。


『あの子が小さいころ、前の夫と離婚してね。働かないといけないから、近くの大学で働きはじめたの。ほんっとにまわりの人に助けてもらいながら子育てしたって感じかな〜!おなじ職場の人にも、子どもの友達の親御さんにも、近所の人にも、もちろん私の親にもね』

(ひとりで育てていて、なんというか、ほんとうに大変ではなかったですか?ほら、お子さんが熱出したときとか)

『一時期、新型インフルエンザの影響で、学校が休校になったときあったこと覚えてる?あのときはどうしよう!ってなったわ〜。でも職場のひとたちが「連れておいでよ!」と言ってくれて。仕方なく職場に連れて出勤したの(笑)そしたら、職場が大学だったから、研究室の学生たちがワラワラ交代交代で来てくれて。子どもと遊んでくれたのよね。息子にとっても、ありがたい経験だったと思う。もちろん私もとってもありがたかった。』

ますみさんの口からたびたび登場する“まわりに頼って子育て”ということばに、ますみさんの人柄と強さとやさしさがつまっている気がした。私はふと「いま子育てしているわたしたちも、もっと、声を出してまわりに頼っていい気がしてきました」と言っていた。すると、ますみさんは、こうとも。


『わたしね、あの子が生後数ヶ月のとき、ベビーカーに乗せて、どこかのデパートだったかな、エレベータに乗ろうとしたのね。いざ乗るぞ!というときになって、あの子が大泣きしちゃって。エレベータのなかで、まわりのひとに「ごめんなさい、すみません、ほんますんません」って言いながら思ったのよね。あぁわたし、これからこうやって、なんども「すんません」と「ありがとう」をたくさん言って、子育てしていくんだろうな、って』


きもちが大きいなぁと感じる。これぞおかあさん、って感じがする。そっかぁ…街のなかで、子どもが大きな声出したり、泣き喚いたり、ベビーカーがかさばって電車で迷惑がられたり、そんなときでも「すんません」と「ありがとう」のふたつで、実は、自分もまわりも気持ちがクサクサならなくて済むのかもしれない。いろいろ考えすぎているのかもしれない。


『とにかくふたりで生きて行かなあかんから、必死よ(笑)頼れるところにはぜんぶ頼って。でもみんなやさしいから、案外。どうとでもなる。それに息子も、なんだかんだ自分の状況ようわかってるからな。自分でなんでもするようになるし。わたしね、再婚して、関東に引っ越してくるってなったとき、あの子に聞いたんよ。おかあさんといっしょに関東にくるか?それとも大阪で、じーじたちと暮らすか?おとうさんと暮らすか?って(笑)あの子、自分で考えて。当時、小学6年生、12歳よ。転校はいややけど、ちゃんとごはん食べれるようにおかあさんといっしょに関東いくわ、言うて(笑)じーじやおとうさんのところじゃ、ちゃんとしたごはん食べれないって思ったみたいよ(笑)』


関東に引っ越したあと、息子さんは地元の中学に通いながら、自身の性格を踏まえて、自由度の高い高校へ進学したいと決める。そして、最初は偏差値が追いついていなかった高校を志望し、見事合格。その高校での3年間を楽しく過ごしているとのことだ。今夏は、大学受験まっただなか。ここでもますみさんは、ほぼ口出ししていない。


ますみさんは、息子さんを小さいころからひとりの人間として、きちんと尊重しているんだなと感じた。2人で生活していた頃から、母親として息子を育てるという役目は追っているものの、息子さんと「協力してともに生活する」ことをずっとやってきていて、だからこそ、息子さんの人生や選択を、尊重しているのだと思った。

そして、おなじように。

ますみさんは、自身の人生もたいせつに尊重している、と感じる。がんばらなきゃいけないフェーズにはがんばる、楽しむときにはしっかり楽しむ。これってシンプルだけど、意外とできていないなと思うことがある。

『ようこさんは、いま、子育ても仕事もされながら大変やろうけど、それでもあと数年、ふんばって色々やってみたらええで!何年か後に、子育ても落ち着いてきたとき、きっとこの日々がようこさんを支えてくれるはずや』

とふわっと背中を押される。ああ、そうだ。わたしは、こういうひとと話がしたかったんだ、と思う。子育てについてひととおり経験をして、ひと段落して、母親としてだけではない自分の人生を見つめる視野が広がっているひと。そして、「子育てっちゅうのは〜!」みたいに上から目線で押しつけたりしないで、「だいじょうぶだいじょうぶ、なんとでもなるで」って言ってくれるひと。

料理を教わるつもりが(いやもちろん教わった)、気がついたら子育て相談会になってしもうた(←)。でもほんとうにありがたかった。

ますみさん、「すんません」、そして、「ありがとう」。

ますみさんが、これから益々、ご自身の人生をめいっぱいに謳歌されて、「どっかの小さな会社のお昼ごはんつくるひとになりたいねん」っていう夢がむくむくむくと育ち、実現していく姿をこれからもぜひ追わせてくださいね。ますみさんの生きかたそのものが、子育てまっただ中にいるわたしにとって、灯台の光のようだったり、あったかくおなかを満たしてくれるごはんのようだったりするんですよ。

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お読みいただきありがとうございました!
ますみさんのおいしいnoteはコチラです↓


【次回予告】

次回は、ますみさんを紹介してくださった、真美さんの十八番料理を紹介します!おふたりは、5年ほどまえに、よこはま里山研究所が主催するイベントで知り合い、その後も仲の良いお友だちで、ちょくちょく会われているそう!おふたりの仲良しぶりが垣間見える十八番料理教室第12回目でした。

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真美(まさみ)さんのnoteも公開になりました!(2019.9.12)


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#クレイジータンク所属「ひとの十八番(おはこ)料理を習う」旅に出ており、“十八番料理教室”を連載中✍️ 食/育児/膝/尿/雑多/#スーパーマーケット マガジン運営中🌈 http://twitter.com/yoko_matto

コメント4件

ヤバイです、、自分のことなのに読んで号泣してますww、、ほんとにあったかい文章にまとめていただき、ありがとうございました。
ようこさん、素敵なnoteでした!
ますみさんの、方言がまた沁みました…。。。素敵な方なのが伝わる。そして料理が美味しそう。春巻き作ってみよう。(万願寺とうがらしは我が家も大好き!!)
『とうがらしの炊いたん』めちゃくちゃ懐かしいです。
子供の頃は地味で滋味な『炊いたん』が苦手だったのに、
今、思い出して懐かしく思うのは、『炊いたん』なんですよね。

春巻きは手間暇がかかるので苦手でしたが、これなら作れそう✨
万願寺とうがらしは大好きなので、こちらも作ってみたいです。
ますみさんの子育てのお話、同じような境遇なのでとても共感できました。
私もこれから、自分の人生を楽しみたいなぁ。
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