⑮サラエボを歩く
11日目、前回の続き
ポーランドのワルシャワから乗った飛行機はセルビア航空のもので、セルビアの首都ベオグラードで乗り継ぎがあった。2時間程度の短いトランジットだったけれど、ベオグラードの空港ではWi-Fiも使えず、時間を潰すのに少し苦労した。
ベオグラードからサラエボまでの飛行機も、時間としては短かった。サラエボの空港は小さかった。僕は空港の外に出て、周りを見渡してみた。他の乗客たちは誰かが迎えに来ているのか、みな車で空港を出ていった。僕は空港の外にあるベンチに座っていた女の人に声をかけた。
空港から市街地へ
「あの、すみません。英語は話しますか?」
「ええ。何かお困り?」
「市街地までどうやって行けばいいんですか?バスとか電車とか」
「この空港にはバスや電車といった公共の交通手段はなくて、タクシーに乗るしかないかな」
事前に調べていたとおりだった。
「でも空港に来ているタクシーは高いから、イエロータクシーを呼んであげましょうか?それだったら市街地まで15KM(マルカと呼ばれていた。約1,000円)ぐらいだと思う」
「本当ですか。お願いしていいですか?」
「ええ、もちろん。私は旅行会社の人間で、他の旅行客を待っているところだから。マルカは持っている?」
「持ってないです。両替しようと思うんですけど、レートって空港と市街地で差はありますか?」
「うーん、同じだと思うよ」
「ではとりあえず両替してきます」
「じゃあ私はタクシー呼んでおくね」
近くのベンチに座っていたタクシードライバーたちに声が聞こえていたみたいで「イエロータクシー」と笑われた。僕は空港の中に戻って、手持ちのカナダドルをマルカに両替し、女の人の隣でタクシーを待っていた。黄色のタクシーは5分ほどで来た。
「ありがとう!」
僕は女の人にお礼を言ってタクシーへと向かった。
「旅行楽しんでね!」
彼女もベンチから手を振った。僕はタクシーのトランクにバックパックを載せ、タクシーに乗り込むとドライバーに宿泊先のホステルの住所を見せた。
「ここまでお願いします。どれぐらいかかりますか?」
「20分ぐらいかな」
サラエボの印象
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