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【音楽×本 鑑賞録】"366日の西洋音楽" 2月10日~ジャコモ・プッチーニ オペラ『蝶々夫人』

音楽観を鍛える鑑賞録。
2月10日のテーマは、
【周辺】
とりあげる作品は、
ジャコモ・プッチーニ /
オペラ『蝶々夫人』
です。

いますぐ聴きたくなる! 1日1ページでわかるクラシック音楽の魅力
1週間で7テーマ! 1年で「クラシック音楽」の虜になる!
本書には、いまでも多くの人に愛好されているクラシック音楽の名曲の数々を、より深く楽しむための知識や情報を盛り込みました。366の名曲を、「音楽史」「主題」「ジャンル」「逸話」「作曲・演奏」「周辺」「謎」といった7つの共通テーマで考察・解析・推理・解説します。

ジャコモ・プッチーニ(伊: Giacomo Antonio Domenico Michele Secondo Maria Puccini)
前回のトゥーランドットに続き、プッチーニの「ご当地三部作」のひとつ、『蝶々夫人
長崎を舞台に、没落藩士令嬢の蝶々さんとアメリカ海軍士官ピンカートンとの恋愛の悲劇を描く。
日本が舞台ということもあり、プッチーニの作品の中では特に日本人になじみ易い作品。特に第2幕のアリア「ある晴れた日に」は非常に有名。
プッチーニのソプラノ諸役の中でも特にテッシトゥーラが低く、中低音域に重点を置いた歌唱が求められるため「ソプラノ殺し」の作品とも言われる。

ソプラノ殺し!最高の異名ですね。
蝶々夫人というタイトルはどこかで聞いたことがありました。
ただ、情報全般としては今回の機会で知ったことがたくさんあり、考えさせられたところを今回記事にしたいと思います。

プッチーニはこのオペラで日本的旋律を引用していますが、ここに至るまでの経緯を思うと、成功をもたらすためのデザインについて学ぶところがあります。
発端は、フィラデルフィアの弁護士ジョン・ルーサー・ロングが1898年に発表した短編小説(Madame Butterfly)」で、アメリカの劇作家デーヴィッド・ベラスコが制作した戯曲を歌劇台本化したものをプッチーニが観劇して感激しました。
それから日本の情報や資料を求め、当時の日本大使大山綱介の妻・久子に再三会って日本の事情を聞き、民謡など日本の音楽を集めたそうです。
いくつものボトルネックを経たうえで制作されたプッチーニの「蝶々夫人」ですが、初演は失敗したそうです。そして何度も改訂を重ね、1906年に発表された第6版が現在も続く決定版になったとあります。

ここで、読み解けることは、
なにが成功をもたらすかは分からないが成功するまでやり続ければ成功する
というトンチみたいなことです。

当時いくら人気が高かったプッチーニとはいえ、馴染みのない、しかも本人は行ったこともない異国の地を舞台にして、聴衆は戸惑い、「なにこれ?」となったはずです。
それでもめげずに手を加え続け、納得するまでやり抜く。
その姿勢が可能性を押し広げていく。
自信と気合い、作品を担保する品質と審美眼のブラッシュアップ。
あまねく課題を包含する肯定感が作品を高いところへ押し上げていきました。
発端を考えれば、この作品が100年を経ても脈々と受け継がれているとは当時の人は誰も想像できなかったでしょう。

なにが起こるかなんて分からないんだから、
 やりたいことを本気でやっていればいい。


そんなことをこの作品を見聞きしながら思い至りました。
なにが起こるかわかりませんから、
これからも、手を動かし続けていきましょう。

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