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【音楽×本 鑑賞録】"366日の西洋音楽" 2月18日~モーリス・ラヴェル 『クープランの墓』

音楽観を鍛える鑑賞録。
2月18日のテーマは、
【謎】
とりあげる作品は、
モーリス・ラヴェル /
『クープランの墓』
です。

いますぐ聴きたくなる! 1日1ページでわかるクラシック音楽の魅力
1週間で7テーマ! 1年で「クラシック音楽」の虜になる!
本書には、いまでも多くの人に愛好されているクラシック音楽の名曲の数々を、より深く楽しむための知識や情報を盛り込みました。366の名曲を、「音楽史」「主題」「ジャンル」「逸話」「作曲・演奏」「周辺」「謎」といった7つの共通テーマで考察・解析・推理・解説します。
モーリス・ラヴェルの名言
"I am not one of the great composers. All the great have produced enormously. There is everything in their work - the best and the worst, but there is always quantity. But I have written relatively little."
「私は偉大な作曲家ではありません。 偉大な人は他にたくさんいます。 彼らの仕事にすべてがあります。最高も最悪もですが、たくさんあります。 それに比べたら、私は少ししか書いていません。」

ジョゼフ・モーリス・ラヴェル
Joseph Maurice Ravel(フランス語: [ʒɔzɛf mɔʁis ʁavɛl])
 1875年3月7日 - 1937年12月28日
フランスの作曲家。バスク系フランス人であり、『スペイン狂詩曲』やバレエ音楽『ダフニスとクロエ』『ボレロ』の作曲、『展覧会の絵』のオーケストレーションで知られる。

『クープランの墓』(フランス語: Le Tombeau de Couperin)は、ラヴェルが1914年から1917年にかけて作曲したピアノ組曲。第一次世界大戦で戦死した知人たちに捧げられ、ラヴェル最後のピアノ独奏曲でもある。
1919年に4曲を抜粋した管弦楽版が作曲者自身により作られた。
原題中の Tombeau (トンボー)はフランス語で「墓石・墓碑」を意味する一般名詞ではあるが、音楽用語としてはバロック時代のフランス音楽に特徴的な「故人を追悼する器楽曲」を指すもの。

ということで、「クープランの墓」というタイトルとは裏腹に、曲調が優雅で華やかなものなのは、かつての友人や偉人への賛美を贈っているからだそうです。
この楽曲、太鼓の達人でも使われているみたいですね。

ラヴェルの優雅な音楽と、可愛らしい太鼓の達人との世界観のギャップが最高ですね。
後世でこうした利用のされ方があるとは想像だにできないものですが、ここから読み解けるものは、
敬意の昇華が受け継がれた」ことです。
『クープランの墓』は、第一次世界大戦で亡くなった知人たちへ捧げられていますが、この時期は最愛の母を亡くすなど、ラヴェルにとって失意の時期だったようです。
それでもこの組曲だけは仕上げた。
当時、なぜこの組曲だけは仕上げたかったのか。
それは、元来抱いていた過去の偉人たちへの敬意と、母への感謝を作品に捧げずにはいられなかったからでしょう。
その敬意の念が作品に込められ、いまも普遍的な胸を打つ美がある。
だからこそ、太鼓の達人というまさかの作品にまで想いが届くほどの昇華があった。
この謙虚な姿勢こそラヴェルの態度であり、作風ともいえます。

わたしの目標は「技術的な完成度」です。 そこにはけして到達できないと確信しているため、無限に到達しようと試みることができます。 重要なことは常に近づいていくことです。
モーリス・ラヴェル Wikipediaより抜粋

この謙虚な想いが強いあまり、身動きがとれなくなることもある。
そんな思想があるなか、この楽曲以降でも苦悩にさいなみながらも名曲を捻り出すのがすごいところです。

たしかに制作された楽曲は少ない。
それでも敬意の昇華としての名曲をしたためたからこそ、価値がある。
あらゆる誹りを受けて、もがきながらも遺すための手を止めなかったこと。
それこそがわたしたちの学ぶべき姿勢なのだと思います。

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