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【音楽×珈琲 鑑賞録】12月1日~モデスト・ムソルグスキー 交響詩『禿山の一夜』

音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【31日】
12月1日のテーマは、【謎】

とりあげる作品は、
モデスト・ムソルグスキー /
交響詩『禿山の一夜』

です。

モデスト・ペトローヴィチ・ムソルグスキー
Моде́ст Петро́вич Му́соргский
Modest Petrovich Mussorgsky
1839年3月21日 - 1881年3月28日
ロシアの作曲家で、「ロシア五人組」の一人

交響詩『禿山の一夜』(露:Ночь на Лысой горе, 英:Night on Bald Mountain)ニ短調は、さまざまな版のあるムソルグスキーの代表作です。
ディズニー映画「ファンタジア」で取り上げられるなど、冒頭の旋律から聴き馴染みがあり、現在でも頻繁に演奏される人気の作品です。

タイトルの「禿山の一夜」は、シェイクスピアの「夏の夜の夢」のモチーフと同様に、「聖ヨハネ祭前夜(夏至の前夜)の禿山に地霊チェルノボーグが現れ手下の魔物や幽霊、精霊達と大騒ぎするが、夜明けとともに消え去っていく」というロシアの民話を元に作られているものだそうで、やや不気味でファンタジー感のある音響がこの作品の醍醐味ではないでしょうか。

モチーフの初出は1864年の未完のオペラ「サランボー」にあるようですが、その後1867年、1872年、1880年と作品の母体を変えながらモチーフが現れていて、ムソルグスキーにとって重要な旋律だったことが窺い知れます。

ところが、当時のロシア音楽の重鎮であり、ロシア5人組のまとめ役でもあったミリイ・アレクセエヴィッチ・バラキレフに、オーケストレーションの稚拙さを指摘され、ムソルグスキーも修正を拒んだため、ムソルグスキーの原典版はお蔵入り。
その後ムソルグスキーはアルコール依存症がたたり、42歳の若さで亡くなってしまいます。
それを悼んだ同じロシア5人組のリムスキー=コルサコフが編曲し、洗練された現代版に発展しました。現在でも演奏されるのはコルサコフの編曲版がほとんどなようです。

原典版も演奏される機会があり、映像作品でも見聞きできますが、たしかに作品の雰囲気はだいぶ違うように聴こえます。
もちろんどちらが良い悪いはなく、好みの問題でしょうが、個人的にはコルサコフ版の方が好みに聴こえました。

そこでふと、なぜバラキレフがオーケストレーションにダメ出ししたのかが気になります。
おそらくプロの作曲家ならばオーケストレーションにおいての常識があるのでしょう。
その指摘がどこにあたるのか窺い知れない自分の未熟な知識に気づかされます。

音楽は知識ではなく体験の楽しみが重要ですが、その体験の理由を突き詰めることもまた重要で、ただ好きか嫌いかで止めておいてはいけないなと自分を戒める機会にもなりました。

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