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【音楽×本 鑑賞録】"366日の西洋音楽" 2月7日~ジョージ・ガーシュイン 『ラプソディ・イン・ブルー』

音楽観を鍛える鑑賞録。
2月7日 本日のテーマは、
【ジャンル】
とりあげる作品は、
ジョージ・ガーシュイン /
『ラプソディ・イン・ブルー』
です。

いますぐ聴きたくなる! 1日1ページでわかるクラシック音楽の魅力
1週間で7テーマ! 1年で「クラシック音楽」の虜になる!
本書には、いまでも多くの人に愛好されているクラシック音楽の名曲の数々を、より深く楽しむための知識や情報を盛り込みました。366の名曲を、「音楽史」「主題」「ジャンル」「逸話」「作曲・演奏」「周辺」「謎」といった7つの共通テーマで考察・解析・推理・解説します。

ジョージ・ガーシュイン(George Gershwin)
アメリカ、ニューヨークのブルックリン生まれ。
1919年以降、ポピュラーとクラシック両面で活躍した作曲家。
表題曲は1924年発表。ジャズとクラシックを融合した『シンフォニック・ジャズ』の代表的な作品。
現在もさまざまなタイアップに起用される耳馴染みよい楽曲です。

この楽曲の雰囲気は、ジャズの軽快さと即興感、演奏家によって個性が出て、その時々の演奏を楽しめるものです。
そして、時代を感じさせるユーモアのあるフレーズや、メロディラインが郷愁を思い起こさせ、「のだめがピアニカで弾いてたのって14年前って、ま!?」って気持ちになりました。本曲は100年近くも前ですからね。こんなモダンな楽曲がパブリックドメインになっちゃったなんて、時代の進行と感覚のズレが甚だしいというものです。

このシンフォニック・ジャズのような他分野での共演というのは、シンボリックなものは金字塔を打ち立てますが、後続しにくいきらいがあります。
現代でもシンフォニック○○と語れる協奏に挑戦している音楽はありますが、『ラプソディ・イン・ブルー』ほどの成功は産出していません。
この演奏を聴いてわかる通り、かなりワクワクするジャンル間の融合であり、これが主流になってもいいくらい、音楽の贅沢さが味わえるように思います。
ただ、これはまだジャンルとジャンルの融合で、シナジーはあるものの、主流となるような破壊的イノベーションではなかったし、ブレイクスルーでもなかった。
後続はどうしても足し算にしかならず、"クラシックと○○"に収まってしまう。
そうすると、どうしても借り物の道具で競争しているような感覚になってしまうのではないかな〜と。
そんなふうにあぐねるなかで、出てきたのが"テクノロジー"を使った音楽なのかな、と思うと、現代音楽の変遷から人類の進化の構造も見えてくる気がします。

いま改めてこの『ラプソディ・イン・ブルー』を聴くと、そんな新しいジャンルに向かう端境期に生じた、かすがい的な音楽のようにも思えました。

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