Brendan Benson/Dear Life (2020)感想

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じゃない方

Jack Whiteと地元の仲間たちThe Raconteursのツインギター/ボーカルの片割れ、つまりJackじゃない方としてもお馴染みのBrendan Benson、前作「You Were Right」(2013)から7年振りの7thです。前作は連作シングルをまとめたものだったので純粋なオリジナルアルバムとしては8年振りということになるのでしょうか。この辺のカウントはよく分かりません。

ラカンターズ 6:パワーポップ 4

The Raconteursで彼のことを知った私ですが、遡ってPavementが全力でパワーポップを演奏したみたいな初期作を聴いてあっという間に虜になりました。JackよりもBrendan派です。Brendanが持ち込んだと思しき曲(「Hands」等)の方が圧倒的に好きです。それを踏まえてThe Raconteursを聴くと何で入ったの?と言いたくなりますが、以降のソロ作にはThe Raconteursからのインプットを多分に感じるロック、ブルージーな曲が増えたように思います。もともとルーツにはあったのでしょう。

今回はそんな曲と従来のパワーポップ成分の割合が6:4くらいでしょうか。The Raconteurs成分強めな曲でも一人多重コーラスやシンセで軽やかにまとめてバンドとの違いを出すのは流石、匠の業です。その他にもシンセベースにオートチューンが弾む「Good To Be Alive」など新機軸も忘れずに用意された安心品質です。

でもパワーポップなBrendanが好き

しかし私は悲しいかな1st「One Mississippi」を彼の最高傑作と考える懐古ばかりの迷惑なファンです。アルバムのThe Raconteurs成分が高くなればなるほどもうパワポ成分をもう一声、と思ってしまいます。流石に1stのローファイ感は諦めていますが。

「My Old, Familiar Friend」( 2009)、「What Kind Of World」(2012)あたりはいい塩梅でした。ラカ 3:パワポ7くらいでしょうか。

そんなわけで、どうしても前述のオートチューンなどの新機軸路線で攻める冒頭~パワーポップ成分多めの中盤~ロック・ブルージーな後半という今作の構成は中盤の曲に愛着が湧きすぎて後の曲が頭に残らないという現象が起きています。

おススメ曲

その1:Baby's Eyes

これぞ!なアルバム随一の美メロパワーポップです。2分過ぎのコーラス~ブレイクの流れるような展開といったらもう匠の業オブ匠の業です。メロメロな歌詞の世界観も合わさりこの曲が嫌いなパワーポッパーがいるでしょうか、いやいません。

君は鍵を持って、そよ風に吹かれてやってきて/ドアのように僕のロックを解除した/偽りのない僕がここにいる/僕のベストなところがベイビーの瞳の輝きに写ってる/ベイビーの瞳に

その2:I Can If You Want Me To

ガツンと入るギターにおいおいThe Raconteursか!となるアルバム1曲目。ベタですが恰好よろしいです。いい曲とは得てしてベタなものです。多重コーラス等アレンジの妙でハードロック一辺倒にしないところとJack Whiteの素っ頓狂な(誉め言葉)シャウト、痺れるギターソロが無いところがバンドとの違いでしょうか。普通のテンションで聴く時はこちらの方が好みです。

その3:Richest Man

跳ねるシンセベースにオートチューンで私を不安にさせた「Good To Be Alive」から一転、アルバムリリース前に公開されて安心品質を確信したシングル曲です。ブラスを駆使した、未だかつてここまではなかったんじゃないかという超王道のパワーポップです。


点数

6.2

The Raconteursが前年に出てその勢いで作ったと思しき今作(確認していないので本当はどちらに先に取り掛かっていたのかは知りません)。レーベルも今回からJack White主宰のThird Man Recordsへ移籍していますしね。次作はまたパワーポップ成分多めでお願いしたいところです。


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