「カウンセラーからみた精神科(医)との協働」#cotree研究所ラヂオ 第14回レポート

cotree研究所に所属する千葉と原田がカウンセリング研究の現在について喋ったり喋らなかったりするラジオです。ゲストをお招きして毎週水曜日の19時からYouTubeにて配信しています。


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今回のゲスト:佐藤カウンセラー(仮名)

cotree登録カウンセラー。
精神科、教育領域(スクールカウンセラー)、専門学校講師などで活躍。
カウンセラー歴20年以上のベテラン。
精神科では、単科病院とクリニックの経験がある。

 今回は「『協働』というのは、言われたことをやるだけじゃなくて、自分がしたいことを伝えるのも必要」と語る佐藤カウンセラーにお話をうかがいました。そもそも精神科でカウンセラーは何をしているの?という点から、豊富な経験に基づく連携のための戦略まで、盛りだくさんの1時間でした!

精神科領域でカウンセラーは何をしているの?


 病院の規模や医師の方針により求められるものはかなり変わるものの、おおむね共通する業務として、心理面接と、アセスメントのための心理検査があります。そのほか、カンファレンスの主催や、科をまたいで、他職種への心理教育を行う場合もあるとのことです。
 ここ20年で、心理職の存在は十分認知されるようになってきたと佐藤カウンセラーは実感を語ります。ただ、カウンセラーは診療報酬上保険点数がとれる仕組みになっていないので、病院の収入源になりづらく、経営上立場が弱くなりがちという側面があります。「それでも、『いるよね』と思ってもらえる存在であるのはすごいこと」と佐藤さんは述べていました。
 一方で、病院の方針によっては心理検査専門のように使われる心理士もいるそうです。それをどう考えるかは人それぞれですが、心理面接のイメージから心理士を志す人も多く、葛藤を抱える人も多いのではと佐藤さんは指摘しました。

カウンセラー歴20年のベテランが語る、
精神科における多職種連携のあり方

 「わからないことを医師が聞いてきてくれたとき、あ、私の努力が報われた、と感じましたね。」と語る佐藤さん。「お互いに役に立ってるなって思える」ケースを次のように語りました。

たとえば、児童精神科の場合、親子をひとりの精神科医が両方みる場合があって、子どものことを診ているんだけど、どうも親御さんのことがよくわからないとなって、
「心理士さん、こういうケースがあるんだけど、親御さんの側に何かありそうなんだけど、どういう風に見立てる?」などと相談してきてくれて。
「あ、もしかしたら、子どもにこういうふうにかかわるってことは、親御さんの側にも同じような経験があったんじゃないかな」と世代間連鎖の話をしてみるとか、心理士の見立てを発揮して、「わからんけどこういう考えられるかもしれないですよ」と先生に言ったら、「なるほど!」って言って、「それヒントに次回の診察で親御さんに聞いてみるわ」となって。

このようなお金にならないなんとなくの雑談、ミニカンファレンスで、医師と話すことが医師にとって役立っているから、心理士が必要とされ続けているんだろうなと思うとのことでした。
 医師との連携では、医師の考えに応じて、相手に受け入れられる形でのコミュニケーションを心掛けるといいます。
医師にとっての「いい連携」は①自分にとってやりやすい②患者さんのためになるの2種類があり、互いの考えを尊重しながら患者さんにアプローチしていきます。心理士もベテランになると、若手医師から信頼され教えを請われるときもあるそうです。
 カウンセラーは少数精鋭であることから、専門性に偏りすぎて、「よくわからない人」になると仕事にならないのだといいます。他の職種の人と丁寧に関わりを持って、他科とのつながりを作って研修などで入っていくことが必要だそう。人数が少なくても、かえって上の役職の人とつながりやすいことをうまく活用して、きちんと希望を通すことができるといいます。このように、組織のなかで、立場を確立して何かをしようとするには、全体を把握できる常勤が有利で、非常勤では難しい側面もありそうです。
 佐藤さんは、コミュニケーションをとりつつ、自分の専門性をあげていくのはハードさはあるとしながらも、丁寧に関係性を構築すれば、病院内でできること、やりたいことを実現することの両方ができると教えてくださいました。

次回予告:11月25日(水)21:30~

次回の放送は11月25日(水)21:30からスタート!
(いつもより遅い時間の放送となります)
ゲストは早稲田大学の桂川泰典先生です。
学校カウンセリングを専門に研究と臨床実践をしている桂川さんと「医療モデルのソトで学校のカウンセリングを考える」というテーマでお話をしていきます。

お楽しみに!


次回放送はこちら

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