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熱中症体験談(コミケ74)

チケット制になったコミケだが、今夏は人数制限を大幅緩和すると言う。1日あたり十数万人の来場を見込むようだ。根強いマスク、テレワークによる体力不足。熱中症の可能性は言うまでもない。

自分はコミケ74で熱中症になった。覚悟のススメのTシャツを着て、買い物リストも備えての参加だった。流れを伝えるので反面教師にして欲しい。

まず仕事を終え、大江戸温泉で仮眠した。
この時点でNG、前日は家で寝よう。

始発で国際展示場に向かう。
開場まで5時間近く屋外(NG)
朝食は食べた。水分もとった。
開場1時間前には栄養ドリンクも飲んだ(NG)
利尿作用とか、糖分とか色々まずいらしい。
明確に体温が上がった。

開場10分前、入場列が立ち上がる頃に限界が来た。
進んだら東の通路でくたばると思った。
スタッフに相談。
脇に冷却剤を挟まれる。
動けないので車椅子で運ばれる。
それだけで迷惑なのに、用意していたポケットの100円玉が運ばれる途中にバラバラ落ちる。道行く人が2・3人拾ってくれ、そのうちのメガネをかけたお兄さんが「頑張ってください!」と言った。ポケモンのサトシみたいな帽子と服装だった。顔はスラムダンクのヤスに似ていた。

「ヤスシ殿・・・」

心の中で感謝を述べ、揺られること10分ほど、目的地に着く。おそらく会議棟の1階、入口から入ってすぐのところに救護室がある。まずは検温、思ったより低い。名前と住所、知り合いの電話番号を書く。朝食、睡眠時間など尋ねられ、軽度の熱中症と診断。救護室には十数人が寝ていて、自分も同じように横になる。脇だけでなく、足の付け根にも冷却剤を挟み、それでもずっと体が熱い。

目の前で横になるおじさんの背中は汗でぐっしょり濡れていて、ヒソヒソと何かを呟いている。後悔なのか、苦しんでいるのか、頭痛もあってうまく聞こえない。自分は汗をかきにくい体質だ。汗が出ないと体温が下がらない。とにかく水分を取り続けようと思った。

1時間後、体がびくんとして目が覚める。本寝か、あるいは気絶か、11 時過ぎとなっていた。動けないほどの吐き気はもうなくなっていた。スペースが限られているので、動けるなら出なければと思った。出ることを伝えると、スタッフは注意点を伝えてまた冷却剤をくれた。コミケは本当に、スタッフの丁寧な対応で支えられている。

救護室を出ると、熱気が再び吐き気を呼んだ。何も買わずに駅へ向かう。これは真剣な忠告で、軽度でも熱中症になったら無理をしてはいけない。当日中の回復は起きえないし、いざキツくなっても一度人の波に巻き込まれたらすぐには脱出できないのがコミケだ。物欲を優先したら死んでしまう。

国際展示場駅は帰る人でごった返していた。目的の物を得て昼前に帰る勇者たちは紙袋を必死に守っている。数回押し飛ばされる。電車に乗ると身動きが取れないほどの満員。大崎でへばる。駅員に謝って事務室のソファで30分ほど横になる。

再び電車へ。渋谷で降り、満喫に入る。涼しいところで5時間ほど寝る。

満喫から出るとまた気持ち悪くなる。暑さを味わう度にぶり返すのだ。それは10月まで続いた。熱中症の恐ろしさを味わった夏だった。そして以降、2015年までコスプレを封印した。

あくまでチケット制、空調も強化された今、いくらかマシだとは思う。しかしちゃんと寝ておかないと夏コミは死ぬ。それを覚えておいて欲しい。健康さえ守り抜けばコミケはサイコーのイベントだ。諸君の健闘を祈る(´・Д・)」

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