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例トレ#2 「〜ばいいですか?」

「疑問詞+〜ばいいですか」は、「アドバイスを求める」時に使う言い方です。このフレーズ、学習者にとって場面の日常性、緊急性から言って、大変有用なフレーズではないでしょうか。でも、なかなか上手に使っている初級学習者に遭遇したことがありません。

「疑問詞+〜ばいいですか」は、どんな場面、どんな状況、どんな切迫ぐあい、どんな困り事で使うことが多いのでしょうか。さっそく、例文をあげて、使い方を見ていきたいと思います!

「疑問詞+〜いいですか」で例文を挙げてみた!

<会社で新入社員が先輩社員に>

・このファイルのありかって、誰に聞けばいいのかな?
・このファイル、どのフォルダーに保存すればいいのかしら?
・イベント当日は何時に出社すればよろしいでしょうか。
・担当者が不在の場合、どうすればいいですか。
・もう自分の仕事は終わったんですが、次、何をすればいいですか。
・これ、どこに置いておけばいいですか?


ここまでくると、少しは自分で考えて動けって怒られそうですが、、、新入社員の必死な感じがひしひしと伝わってきます。笑

「~ばいい」には、それさえすれば必要十分という意味があります。

アドバイスを求めるほうはそれなりに必死です。 だから、「これ」という明確なアドバイスがほしいときに「ば」が出やすいのかもしれません。

ちなみに、答えるほうは、「ば」以外に「たら」「と」「なら」、いずれの条件形も出現します。アドバイスではなく方法を尋ねる場面だと、「じゃ、次は〜てください」というような指示やインストラクションの文型になります。

ちょっと視点を変えて、もう少し例文を挙げてみます。

・村上春樹って、まずは何から読めばいいのでしょうか。
・ビートルズって、どのあたりから聞けばいいのかな。
・大英博物館って、どこから攻めればいいと思う?
・タコスを作りたいんだけど、どのサイトを見ればいいかな。
・T D Lまでなんで行けばいいと思う?


上の例文はどれも「今さらだけど、詳しい人に教えを乞いたい。」という場面です。日本の学習者からよくある質問 「先生、漢字ってどうやって勉強すればいいですか?」これもそうですね。

「〜ばいいですか?」はとても使い勝手がいい文型なのですが、うまく使える学習者が意外に少ないように思います。「アドバイスがほしい」「やり方を聞きたい」など日常的に老若男女問わずこのような場面は起こりうるので、サラッと言えるようになると便利ですよね。

「〜ばいいですか?」はなぜ上手く使えないのか。

ズバリ2つの理由が考えられます。

理由1:「ば形」を使う文型だから
日本語教育における「ばfrom」の提出は、初級後半(みん日35課、げんき18課初出)と遅いから。

このレベルに来るまでに使いたい場面に遭遇した学習者も多いだろうに、残念すぎます・・・。そして後半に出てくるがゆえに、学習者、講師ともに、何か難しそうな文型だなという刷り込みがあるような気がしています。至極日常的な場面で使用されることが多いので、早めに紹介したいです。

理由2:日本語の疑問詞の複雑さ
<How系> どうやって、どう、なんで(手段)

<what系> 何に、何を、何から、何時に

<where系> どこに、どこから、どのあたりから

<which系> どっちに

<who系>  誰に

いやあ、多種多様。そこに、敬語の要素も入ると、、、大変なことになりますね〜。日本語が助詞を持つ言語ゆえの悲劇も!「疑問詞+適切な助詞」というのは、なかなかハードルが高いです。

「〜ばいいですか?」を使ったレッスンアイデア

今回は「疑問詞+〜ばいいですか」を例に挙げましたが、文法の積み上げを意識しすぎると、日常的によく使うフレーズが後回しになってしまうということが多々あります。よく使うフレーズはまるっと覚えてしまい、テキストでその文型が出てきた時に「あ〜、なるほど、そういうことだったのね」と後から理解するのもありなのでは。「〜ばいいですか?」を使ったレッスンアイデアはこちらのブログ記事をご覧ください。

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