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ほんとうの星✖️そらごとの月 その1

よく分からないけど、なんかいい

2020年8月、長田真作さんの新刊『ほんとうの星』『そらごとの月』が303BOOKSさんから2冊同時に発売になりました。

率直に申し上げると、第一印象は「わけの分からない絵本だな」でした。
分からないけど何かありそう。と思って「原画展したいです」と303BOOKSの営業さんに申し入れ、コロナ禍で延び延びになりながらも、ようやく、10月2日から原画展開催の運びとなりました。

長田真作絵本原画展『ほんとうの星』『そらごとの月』

よく分からないけど、なんかいい。
絵本に限らず、絵や小説や音楽やファッションも、そういう感じで心に引っかかってたものが、ふとした時に「いい」の理由が見つかっていく。
ところが、長田さんの絵本は見れば見るほど、分からなさが深まっていく。
非常に感覚的な世界で、開かれてはいるけど自由に出入り出来るような気軽さでもなくて、作品と対面して、こちらに訴えたり語りかけているわけでもなく、作家の眼差しをなぞろうとしても同じ目線でものを見てる感じでもない。

でも、何か覚えがあるんだよなぁ・・・と記憶を辿ってみると、うちの子たちが小さい頃、白いスケッチブックに顔を近づけて一心不乱に描いていたのを横から眺め、「何、描いてるの?」と声をかけてた。聞いてみよう。長田さんに、「何、描いてるの?」って。
出来上がってる作品を前にして「何、描いてるの?」って、かなり失礼です。そこは重々承知しておるのですが、このリアクションが一番素直な私の感想なんだから仕方ない。大事な原画をお預かりして原画展も開催しますし、長田真作さんを初めてご覧になるお客様に「分からないところがいいんです」と言ってもね、「もうちょっと、手がかりを」って、なるじゃないですか。
と言い訳を用意して、版元さん経由でインタビューを申し込み、約1時間ほど、電話でお話をうかがいました。

(会話部分は、ーに続く。太字は長田さんの発言。)

ー分からないって言われる方が嬉しいです。分かるって言われると、なんで分かるの? そんなにすぐ分かるようなものなの? って思います。

電話の趣旨を告げると、笑いながらそう仰る。

ー『ほんとうの星』『そらごとの月』は、本当と虚言、星と月、赤と青といった相反するもの、対になるものというのは重要なんですか?

ー意識しているわけではないです。僕の作り方は、最初の1枚の絵から、どんどん膨らんでいく感じで物語が進んでいく。

ー『ほんとうの星』『そらごとの月』はどちらを先に作られたんですか?

ーこれは、全く同時進行です。

ー既刊の『もうひとつのせかい』(現代企画室)は、はじめの方は色やモチーフも要素が多くて、後半は赤と青、対になるもの、星、太陽という絞られていって、『ほんとうの星』『そらごとの月』は続きの世界ですか?

ーそういう想定はしてなかったんだけど、自分が作ったものだから続いてるのかもしれない。

ー「真っ赤な嘘」って言葉もありますけど、どうして『ほんとうの星』の方を、赤のイメージにされたんですか?

ーどうしてだろ? そういうことも、なんでだろう? って思いながら読んでもらいたい。『ほんとうの星』の中にフラミンゴが出てくるんですけど、なんか挟まってて本来の姿ではないんだけど、優美なもの、優雅なものってイメージがあって、関係してるのかな。赤と青っていうのは好きな色ってこともあるけど、自分で気付いてないだけで意味があるのかもしれない。

これはちょっと……思ってた以上に感覚的な世界かもしれない。

(続く)


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